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社畜の休日⑴
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休日、それは労働者に与えられた僅かな憩いの時間。
ある人は惰眠を貪り、ある人は趣味に没頭。俺? 俺は勿論前日に残した仕事を終わらせる.......はずだった。
「暇だ」
暇なんて言葉を吐いたのはいつぶりだろう。あぁ俺今やることないんだな~としみじみ実感しながら布団から顔を出す。習慣とは怖いもので頭では休みだって分かっいるのにいつもの時刻に目が覚めてしまった。
「あっ起きたんだねおはよう」
なんで朝イチから普通に居るんだよ浅木。
「今変なルビ振ってなかった?」
「別に」
変ではなくただの事実なので素っ気ない返事をする。
「.......味噌汁の匂い」
「今日は咲也くんの好きな赤だしだよ~すぐ準備するね」
相変わらずの家事スキルで俺の腹を鳴らす。もうこんな光景は慣れたもので大人しく椅子に腰かけ両手を合わせた。
「いただきます」
「そういや浅木は今日予定あるのか?」
「うん、咲也くんのこと一日中見てるよ」
それ予定って言わない。
「.......どっか出かけるか」
「えっじゃあ急いで準備しないとね」
「別にそんな遠出はしないぞ?」
「だって咲也くんの後ろ張り付くんだからカメラとか色々必要な物が」
こいつあくまでストーキングする気かよ!?
「一緒に出かけんだよ」
「えっデー」
「余計なこと言ったらやめる」
「羽休めだね!! 日頃頑張ってる咲也くんにはとても必要な事だと思うよ大賛成」
久しぶりすぎる休日に血迷った俺は一日中自分を観察しようと目論むストーカーを連れ出し出かけることになった、なったはいいんだが。(別に良くねぇけど)
「お前本当にその格好で行くのか?」
「何か変かな」
目立つんだよ!!
いつものTシャツにジーパンでも顔がいいから人目を引くのに今日は薄黄色のニットにチェスターコート、細身のパンツという身体のライン特に足の長さが嫌味な程強調されるカジュアルスタイル。隣に並んだら俺の地味さが際立つだろふざけんな。
「もうジャージとかにしろよ」
それでもどうせ騒がれるんだろうがな。
「えぇせっかく咲也くんの隣歩けるんだからオシャレしたいじゃないか」
「女子か」
「いつもは後ろ姿だけだったから今日は横顔堪能しようって決めてるんだ」
こいつこのまま警察署まで連れていくべきかもしれない。
「で、何処に行くの?」
「決めてない。お前行きたい場所とか無いのか?」
休日自体が珍しすぎて何をすればいいのか咄嗟に思いつかないんだよな~悲しい社畜の習性。
「行きたいところ? 咲也くんの家の寝室とか咲也くんの実家とか咲也くんの母校とか咲也くんの勤め先とか咲也くんの」
「もういい、映画でも観るか」
これ以上浅木を喋らせてはいけない。そんな危険信号が頭に鳴り響く。
「映画か~咲也くんはどんな映画が好き?」
「聞き心地いいやつ」
「寝る気じゃないか」
ある人は惰眠を貪り、ある人は趣味に没頭。俺? 俺は勿論前日に残した仕事を終わらせる.......はずだった。
「暇だ」
暇なんて言葉を吐いたのはいつぶりだろう。あぁ俺今やることないんだな~としみじみ実感しながら布団から顔を出す。習慣とは怖いもので頭では休みだって分かっいるのにいつもの時刻に目が覚めてしまった。
「あっ起きたんだねおはよう」
なんで朝イチから普通に居るんだよ浅木。
「今変なルビ振ってなかった?」
「別に」
変ではなくただの事実なので素っ気ない返事をする。
「.......味噌汁の匂い」
「今日は咲也くんの好きな赤だしだよ~すぐ準備するね」
相変わらずの家事スキルで俺の腹を鳴らす。もうこんな光景は慣れたもので大人しく椅子に腰かけ両手を合わせた。
「いただきます」
「そういや浅木は今日予定あるのか?」
「うん、咲也くんのこと一日中見てるよ」
それ予定って言わない。
「.......どっか出かけるか」
「えっじゃあ急いで準備しないとね」
「別にそんな遠出はしないぞ?」
「だって咲也くんの後ろ張り付くんだからカメラとか色々必要な物が」
こいつあくまでストーキングする気かよ!?
「一緒に出かけんだよ」
「えっデー」
「余計なこと言ったらやめる」
「羽休めだね!! 日頃頑張ってる咲也くんにはとても必要な事だと思うよ大賛成」
久しぶりすぎる休日に血迷った俺は一日中自分を観察しようと目論むストーカーを連れ出し出かけることになった、なったはいいんだが。(別に良くねぇけど)
「お前本当にその格好で行くのか?」
「何か変かな」
目立つんだよ!!
いつものTシャツにジーパンでも顔がいいから人目を引くのに今日は薄黄色のニットにチェスターコート、細身のパンツという身体のライン特に足の長さが嫌味な程強調されるカジュアルスタイル。隣に並んだら俺の地味さが際立つだろふざけんな。
「もうジャージとかにしろよ」
それでもどうせ騒がれるんだろうがな。
「えぇせっかく咲也くんの隣歩けるんだからオシャレしたいじゃないか」
「女子か」
「いつもは後ろ姿だけだったから今日は横顔堪能しようって決めてるんだ」
こいつこのまま警察署まで連れていくべきかもしれない。
「で、何処に行くの?」
「決めてない。お前行きたい場所とか無いのか?」
休日自体が珍しすぎて何をすればいいのか咄嗟に思いつかないんだよな~悲しい社畜の習性。
「行きたいところ? 咲也くんの家の寝室とか咲也くんの実家とか咲也くんの母校とか咲也くんの勤め先とか咲也くんの」
「もういい、映画でも観るか」
これ以上浅木を喋らせてはいけない。そんな危険信号が頭に鳴り響く。
「映画か~咲也くんはどんな映画が好き?」
「聞き心地いいやつ」
「寝る気じゃないか」
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