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STKと平和な食卓
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帰ったら当たり前のようにストーカーが玄関に居た。
「おかえり咲也くん、今日は早かったね。あまり遅くなるなら迎えに行こうと思ってた所だったんだよ」
「お前俺の会社先まで把握してるんだな」
「僕が把握してない君の事柄を探す方が大変だと思うよ。あっ、お風呂にする? ご飯にする? そ・れ・と・も」
「腹減った」
「.......うん、分かってたよ」
おっ、今日はコロッケか。
既に慣れつつある自分の順応能力が怖い。冷えた緑茶で喉を潤してから両手を合わせる。
「いただきます」
「はい召し上がれ」
相変わらず飯だけは最高なんだよな。先人の知恵は馬鹿にできないと思う。
「男の胃袋をつかめ」俺が浅木を無下に出来ないのはこのせいだろう多分。
「味つけ濃くないかい?」
「あぁ」
好きな味だ、そう言いかけて浅木が調子に乗りそうなのでやめた。噛み締めながら食べていく。
「そういやお前どうやって家の中入ったんだよ」
前からちょくちょく侵入されてるので気になっていたんだ。
「普通に合鍵で入ったよ?」
「俺渡してないよな」
「未来の合鍵だね、夢があるな~」
犯罪臭しかしない。
「ご飯お代わりいる?」
「結構尽くすタイプだな」
こいつが男だって知らない時から思っていたがよくそんなに人の為人の為動けるよな~。
「好きな人には、が、つくけどね」
「好かれる理由がない」
浅木自身一目惚れとか言ってたし。
「はぁ.......本人見るまでは奥ゆかしい女性だって思ってた俺が馬鹿みたいじゃないか」
「そんなふうに思っててくれてたんだ、嬉しい」
喜ぶなよ馬鹿。
「僕だって最初から君の衣食住を管理しようとしてたわけじゃないんだよ?」
えっ何サラッと怖いこと言ってんだ。
「でも咲也くんがあまりにも文化的な生活から遠ざかっていくから.......見てられなくて」
「俺ストーカーに同情されてんのか」
ちょっと情けない、いやちょっと所じゃねぇけど。
「それで思い切ってみました!」
「思い切って住居不法侵入してんじゃねぇよ。俺じゃなかったら即通報してんぞ」
「君も通報するべきだけどね。咲也くん以外ストーカーしないから大丈夫だよ、あっそろそろ衣替えの時期でしょ? スーツとかクリーニングに出しといたからね」
至れり尽くせりだな本当に。
「お前が女なら嫁に貰ったのに」
「僕男だから咲也くんを嫁に貰うね!」
「俺も男だ」
世界一不毛なことをしているストーカー浅木。こいつが俺に寄せる好意を気の迷いだと吐き捨てるにはあまりにも生活に馴染みすぎていて、それでいて何処までも自分の存在を深めてくる彼に俺はどうしてか苦笑することしか出来なかった。
どうせ一ヶ月後には終わる関係だしな。
「咲也くんピーマン残してるよ。苦手なのは知ってるけどいい加減克服しないと」
「お前オカンポジも狙ってんの?」
「おかえり咲也くん、今日は早かったね。あまり遅くなるなら迎えに行こうと思ってた所だったんだよ」
「お前俺の会社先まで把握してるんだな」
「僕が把握してない君の事柄を探す方が大変だと思うよ。あっ、お風呂にする? ご飯にする? そ・れ・と・も」
「腹減った」
「.......うん、分かってたよ」
おっ、今日はコロッケか。
既に慣れつつある自分の順応能力が怖い。冷えた緑茶で喉を潤してから両手を合わせる。
「いただきます」
「はい召し上がれ」
相変わらず飯だけは最高なんだよな。先人の知恵は馬鹿にできないと思う。
「男の胃袋をつかめ」俺が浅木を無下に出来ないのはこのせいだろう多分。
「味つけ濃くないかい?」
「あぁ」
好きな味だ、そう言いかけて浅木が調子に乗りそうなのでやめた。噛み締めながら食べていく。
「そういやお前どうやって家の中入ったんだよ」
前からちょくちょく侵入されてるので気になっていたんだ。
「普通に合鍵で入ったよ?」
「俺渡してないよな」
「未来の合鍵だね、夢があるな~」
犯罪臭しかしない。
「ご飯お代わりいる?」
「結構尽くすタイプだな」
こいつが男だって知らない時から思っていたがよくそんなに人の為人の為動けるよな~。
「好きな人には、が、つくけどね」
「好かれる理由がない」
浅木自身一目惚れとか言ってたし。
「はぁ.......本人見るまでは奥ゆかしい女性だって思ってた俺が馬鹿みたいじゃないか」
「そんなふうに思っててくれてたんだ、嬉しい」
喜ぶなよ馬鹿。
「僕だって最初から君の衣食住を管理しようとしてたわけじゃないんだよ?」
えっ何サラッと怖いこと言ってんだ。
「でも咲也くんがあまりにも文化的な生活から遠ざかっていくから.......見てられなくて」
「俺ストーカーに同情されてんのか」
ちょっと情けない、いやちょっと所じゃねぇけど。
「それで思い切ってみました!」
「思い切って住居不法侵入してんじゃねぇよ。俺じゃなかったら即通報してんぞ」
「君も通報するべきだけどね。咲也くん以外ストーカーしないから大丈夫だよ、あっそろそろ衣替えの時期でしょ? スーツとかクリーニングに出しといたからね」
至れり尽くせりだな本当に。
「お前が女なら嫁に貰ったのに」
「僕男だから咲也くんを嫁に貰うね!」
「俺も男だ」
世界一不毛なことをしているストーカー浅木。こいつが俺に寄せる好意を気の迷いだと吐き捨てるにはあまりにも生活に馴染みすぎていて、それでいて何処までも自分の存在を深めてくる彼に俺はどうしてか苦笑することしか出来なかった。
どうせ一ヶ月後には終わる関係だしな。
「咲也くんピーマン残してるよ。苦手なのは知ってるけどいい加減克服しないと」
「お前オカンポジも狙ってんの?」
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