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STKは身近に潜んでいる
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浅木をストーカーとして通報すれば警察が動くだろう。事情聴取やら何やらでこいつの言う通り時間と金、労力が奪われるのは目に見えている。だからといって見過ごせと? こんなストーカーを野放しにしておいて大丈夫なのか?
「安心して、僕は君の同意がない限り絶対君には触れないから」
「さっき抱きしめてなかったか」
「緊急事態だったからね」
信用出来ないにも程がある。
「君だってこの半年間満更じゃなかっただろ? 現に一度も通報してないし」
「あれはお前を女だと思っていたからで」
まさか男にストーカーされているなんて想像もしていなかった。
「ストーカーに性別なんて関係ないよ。前から思ってたけど咲也くん危機管理能力死滅してるよね」
これだから心配なんだと怒られてしまった。お前にだけは言われたくない。
「あと気安く名前で呼ぶな」
「妄想で呼んでたからつい、僕のことも陽一さんでいいよ」
「スト男でいいか」
「せめて浅木にして欲しいな~」
苗字を呼ぶのですら面倒くさい。だが一々スト男なんて蔑称するのも手間なので浅木でいいか。.......じゃなくて。
「忘れるところだった、お前を通報しないとな」
「それなんだけどさ、僕にチャンスをくれないか?」
「断る」
何がチャンスだふざけるのも大概に────。
「了承してくれたらコレを君にプレゼントするつもりなんだけどな~」
「それは!!」
伊藤その先生の名前入りサイン本じゃないか!! しかも最新刊!
「どうしてお前がコレを」
「咲也くんが仕事忙しすぎてサイン会行けずに落ち込んでたから」
「代わりに行ってきてくれたのか?」
「惚れ直した?」
惚れてはないけど感動してしまった。目の前にチラつかされる本と浅木を見比べて唾を飲み込む。ほ、欲しい、めちゃくちゃ欲しい。
恋愛小説から本格ミステリーまで幅広く手がけている新進気鋭の天才作家伊藤その大先生。数年前に彼(伊藤先生は男性なんだ!)の本を初めて読んで以来どっぷりハマってしまったのだ。
「お前、いいストーカーだったんだな」
「チョロすぎて本当に心配だよ」
渡された本を抱きしめた。俺には趣味と呼べるようなものはなく、かろうじて存在する休日はひたすら惰眠を貪る以外する事がないんだが唯一この人の本を読むのは好きなんだ。
「ありがとう、伊藤先生」
「あっ僕じゃないんだ」
「お前の評価も少しだけ上がったぞ。総合評価はまだマイナスだけどな」
そもそも俺が伊藤そのを好きだと知ってる時点で怖い。
「そのうちプラスにしてみせるよ!」
ストーカー行為やめたら一発だぞ。
「.......で、チャンスが欲しいって何だよ」
伊藤その先生に免じて少しなら機会を与えてやってもいい、俺にはそんな甘い考えが過ぎっていた。
「一ヶ月だけ通報を待って欲しい。一ヶ月経ったら君の好きなようにすればいい、咲也くんが望むなら僕は君の前から姿を消すよ。勿論もう二度とストーキング行為はしない」
「どうして一ヶ月なんだ」
「それだけあれば十分だからね」
何が十分なんだろう。
「君の衣食住を完璧に管理して僕なしじゃ生きられなくなるよ」
「ヤンデレか」
俺はそういうの好きじゃないからお断りします。
とにかく一ヶ月だけ!! と縋りつく浅木の圧に押されて俺はつい「.......不埒なことをしようとした時点で殺す」と殺害予告して首を縦に振った。
「不埒って言い方なんかヤラシイよね、可愛い」
「お前ちょっとは遠慮しろよ」
グイグイくるなこいつ。
「今日のところは見逃してやるから取り敢えず帰れ」
「うん、また明日ね咲也くん」
また明日、なんて返すわけねぇだろ馬鹿野郎!!
疲れが一気に押し寄せてきて早く風呂に入って寝てしまいたい俺は浅木を追い出した。どうせ何を言っても明日また来るんだろうな、ストーカーだから。
浅木が玄関の扉を閉めた直後、横の壁から物音が聞こえてきた。そういえば少し前に新しい住居人が来たんだったっけ.......あれ?
そういえば隣人の表札が『浅木』だったことを思い出した。
「安心して、僕は君の同意がない限り絶対君には触れないから」
「さっき抱きしめてなかったか」
「緊急事態だったからね」
信用出来ないにも程がある。
「君だってこの半年間満更じゃなかっただろ? 現に一度も通報してないし」
「あれはお前を女だと思っていたからで」
まさか男にストーカーされているなんて想像もしていなかった。
「ストーカーに性別なんて関係ないよ。前から思ってたけど咲也くん危機管理能力死滅してるよね」
これだから心配なんだと怒られてしまった。お前にだけは言われたくない。
「あと気安く名前で呼ぶな」
「妄想で呼んでたからつい、僕のことも陽一さんでいいよ」
「スト男でいいか」
「せめて浅木にして欲しいな~」
苗字を呼ぶのですら面倒くさい。だが一々スト男なんて蔑称するのも手間なので浅木でいいか。.......じゃなくて。
「忘れるところだった、お前を通報しないとな」
「それなんだけどさ、僕にチャンスをくれないか?」
「断る」
何がチャンスだふざけるのも大概に────。
「了承してくれたらコレを君にプレゼントするつもりなんだけどな~」
「それは!!」
伊藤その先生の名前入りサイン本じゃないか!! しかも最新刊!
「どうしてお前がコレを」
「咲也くんが仕事忙しすぎてサイン会行けずに落ち込んでたから」
「代わりに行ってきてくれたのか?」
「惚れ直した?」
惚れてはないけど感動してしまった。目の前にチラつかされる本と浅木を見比べて唾を飲み込む。ほ、欲しい、めちゃくちゃ欲しい。
恋愛小説から本格ミステリーまで幅広く手がけている新進気鋭の天才作家伊藤その大先生。数年前に彼(伊藤先生は男性なんだ!)の本を初めて読んで以来どっぷりハマってしまったのだ。
「お前、いいストーカーだったんだな」
「チョロすぎて本当に心配だよ」
渡された本を抱きしめた。俺には趣味と呼べるようなものはなく、かろうじて存在する休日はひたすら惰眠を貪る以外する事がないんだが唯一この人の本を読むのは好きなんだ。
「ありがとう、伊藤先生」
「あっ僕じゃないんだ」
「お前の評価も少しだけ上がったぞ。総合評価はまだマイナスだけどな」
そもそも俺が伊藤そのを好きだと知ってる時点で怖い。
「そのうちプラスにしてみせるよ!」
ストーカー行為やめたら一発だぞ。
「.......で、チャンスが欲しいって何だよ」
伊藤その先生に免じて少しなら機会を与えてやってもいい、俺にはそんな甘い考えが過ぎっていた。
「一ヶ月だけ通報を待って欲しい。一ヶ月経ったら君の好きなようにすればいい、咲也くんが望むなら僕は君の前から姿を消すよ。勿論もう二度とストーキング行為はしない」
「どうして一ヶ月なんだ」
「それだけあれば十分だからね」
何が十分なんだろう。
「君の衣食住を完璧に管理して僕なしじゃ生きられなくなるよ」
「ヤンデレか」
俺はそういうの好きじゃないからお断りします。
とにかく一ヶ月だけ!! と縋りつく浅木の圧に押されて俺はつい「.......不埒なことをしようとした時点で殺す」と殺害予告して首を縦に振った。
「不埒って言い方なんかヤラシイよね、可愛い」
「お前ちょっとは遠慮しろよ」
グイグイくるなこいつ。
「今日のところは見逃してやるから取り敢えず帰れ」
「うん、また明日ね咲也くん」
また明日、なんて返すわけねぇだろ馬鹿野郎!!
疲れが一気に押し寄せてきて早く風呂に入って寝てしまいたい俺は浅木を追い出した。どうせ何を言っても明日また来るんだろうな、ストーカーだから。
浅木が玄関の扉を閉めた直後、横の壁から物音が聞こえてきた。そういえば少し前に新しい住居人が来たんだったっけ.......あれ?
そういえば隣人の表札が『浅木』だったことを思い出した。
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