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すれ違いは何を呼ぶ?
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何を言われているのか一瞬分からなかった。
「はい?」
「だからお前はテンペラー先生が好きなのかって聞いてるんだ」
好きか嫌いかで言うなら好きだ。私の努力を認めてくれ、あまつさえ嫌がっていた補習までしてくれた。こんないい先生中々いないだろう。でも今聞かれているのは人柄や対応のことではなく、所謂恋慕を抱いているのか? なんて質問に他ならない。なら答えは一択だ。
「いえ全然」
「へ? そうなのか?」
「はい。それに私には形ばかりとはいえ婚約者いますし」
流石に婚約者のいる手前他の男に熱を上げるのは許されないだろう。いくら目の前にいるオズワルドに惚れていてもそれを隠し通さなければ、日々そうやって悩んでいる私の身にもなってほしい、めちゃくちゃつらいんだからね。
せめてケイレブがもう少しマシな男なら.......いや立場上選べないのは百も承知なんだけど。
「そんな事を聞くために待ち伏せしていたんですか?」
怪訝そうな顔をしてしまう私に口どもるオズワルド。最近妙におかしいんだよな~もしかして体調でも悪い? 変なものでも食べたのだろうか。
「.......別に少し気にかかっただけだ」
私が婚約者以外に気を向けていると知って、一体何をするつもりだったのか。これがケイレブなら嘲笑うなり不貞を訴えるなりしていただろうがオズワルドがどういう意図なのかいまいち分からない。
「そんな事、貴方に関係ないでしょうに」
言ってしまいオズワルドの反応を見てからまずかったと気づく。どういった訳か一瞬肩を落としたように見えたオズワルドは次に目をやった時には不機嫌そうな顔を隠しもせず私に向けていた、つまりいつも通りだ。
「あぁそうだったな、お前が何を誰とどうしようが俺には全く関係ない」
本人の口から並べ立てられた事実に改めて胸が痛んだ音がした。
せっかく少しでも話せる機会だったのに.......。
「時間を取らせてすまなかったな。俺はこれで失礼する」
「清々お気をつけて」
自分の口から出た言葉もオズワルドに負けず可愛げのないもので、言ってからまたやってしまったと後悔した。けれどいつも全部遅い。
すっかり見えなくなったオズワルドの背中を探すことも出来ずただ俯いてその場に立ち尽くした。
「.......クロア?」
オズワルドが居なくなったのを確認したのだろう、ジャックが再び顔を出して私の様子をうかがっている。
「泣いてるのか?」
私は黙って首を横に振った。声を出してしまえば嗚咽が零れると分かっていたからだ。気をつかってか何も言わないジャックを抱き上げて私は部屋までとぼとぼと歩き出した。
「なぁクロア」
「黙ってて」
頼むから。
部屋に着いたら着替える間も惜しんでベッドに身体を寄せた。うつ伏せになって項垂れながら足をばたつかせる。
何も上手くいかない、せっかくいいことがあったのに上げて落とされた気分だ。
「クロア」
「もういっそオズワルドにとことん嫌われてしまおうか」
それなら諦めもつくかもしれない、中途半端に構われるから気になるんだ。いっそゴミでも見るような目で見られれば.......泣きそう。
「お前さんのその思考がここまで関係悪化させてきた原因だと思うぞ」
ジャックの言葉なんてこの時の私には届いておらず、たった今固めた決意を掲げる事しか頭になかった。
「はい?」
「だからお前はテンペラー先生が好きなのかって聞いてるんだ」
好きか嫌いかで言うなら好きだ。私の努力を認めてくれ、あまつさえ嫌がっていた補習までしてくれた。こんないい先生中々いないだろう。でも今聞かれているのは人柄や対応のことではなく、所謂恋慕を抱いているのか? なんて質問に他ならない。なら答えは一択だ。
「いえ全然」
「へ? そうなのか?」
「はい。それに私には形ばかりとはいえ婚約者いますし」
流石に婚約者のいる手前他の男に熱を上げるのは許されないだろう。いくら目の前にいるオズワルドに惚れていてもそれを隠し通さなければ、日々そうやって悩んでいる私の身にもなってほしい、めちゃくちゃつらいんだからね。
せめてケイレブがもう少しマシな男なら.......いや立場上選べないのは百も承知なんだけど。
「そんな事を聞くために待ち伏せしていたんですか?」
怪訝そうな顔をしてしまう私に口どもるオズワルド。最近妙におかしいんだよな~もしかして体調でも悪い? 変なものでも食べたのだろうか。
「.......別に少し気にかかっただけだ」
私が婚約者以外に気を向けていると知って、一体何をするつもりだったのか。これがケイレブなら嘲笑うなり不貞を訴えるなりしていただろうがオズワルドがどういう意図なのかいまいち分からない。
「そんな事、貴方に関係ないでしょうに」
言ってしまいオズワルドの反応を見てからまずかったと気づく。どういった訳か一瞬肩を落としたように見えたオズワルドは次に目をやった時には不機嫌そうな顔を隠しもせず私に向けていた、つまりいつも通りだ。
「あぁそうだったな、お前が何を誰とどうしようが俺には全く関係ない」
本人の口から並べ立てられた事実に改めて胸が痛んだ音がした。
せっかく少しでも話せる機会だったのに.......。
「時間を取らせてすまなかったな。俺はこれで失礼する」
「清々お気をつけて」
自分の口から出た言葉もオズワルドに負けず可愛げのないもので、言ってからまたやってしまったと後悔した。けれどいつも全部遅い。
すっかり見えなくなったオズワルドの背中を探すことも出来ずただ俯いてその場に立ち尽くした。
「.......クロア?」
オズワルドが居なくなったのを確認したのだろう、ジャックが再び顔を出して私の様子をうかがっている。
「泣いてるのか?」
私は黙って首を横に振った。声を出してしまえば嗚咽が零れると分かっていたからだ。気をつかってか何も言わないジャックを抱き上げて私は部屋までとぼとぼと歩き出した。
「なぁクロア」
「黙ってて」
頼むから。
部屋に着いたら着替える間も惜しんでベッドに身体を寄せた。うつ伏せになって項垂れながら足をばたつかせる。
何も上手くいかない、せっかくいいことがあったのに上げて落とされた気分だ。
「クロア」
「もういっそオズワルドにとことん嫌われてしまおうか」
それなら諦めもつくかもしれない、中途半端に構われるから気になるんだ。いっそゴミでも見るような目で見られれば.......泣きそう。
「お前さんのその思考がここまで関係悪化させてきた原因だと思うぞ」
ジャックの言葉なんてこの時の私には届いておらず、たった今固めた決意を掲げる事しか頭になかった。
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