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誕生日会⑵
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レベッカの顔は一言でいうなら蒼白だった。
「い、妹!? ウソ.......だって妹がいるなんて一度も」
そりゃ知らないだろう。アルフレッドが密かに作ってた子供の存在なんてこの子が知ってたらそれこそ大事だ。
「疑うならお兄様に聞いてみますか?」
こてり、といかにも無垢な子供を演じてみせる。
「べべべつに疑ってるわけじゃ、そう、アナタアイザック様の妹なのね」
羨望の眼差しを向けられたじろいだ。そんなに羨ましいのか、まぁそうだろうな。少し口元が緩みそうになるのを懸命に堪えた。
「それで、お兄様とレベッカ様はどのような関係なんですか? ただのお友達同士なら私に向かってとやかく言うのはおかしいですよね」
あれれ~と鈍い振りをすればレベッカは顔を真っ赤にして慌て始めた。
「違うのよ、ワタシは別に意地悪をしようとしたわけじゃなくってね」
「やだな~そんな事分かりきってますよ。お兄様がそんな女性を好きになるわけないですもんね! お兄様と付き合うお方はさぞ皆様から好かれているに決まってるんです!!」
あざといな。顔が引きつってないか心配だがレベッカの反応を見るに上手くいったらしい。彼女は染め上がった顔を覆い隠すようにして踵を返してしまった。これで平穏が戻りそうだ。
レベッカはアイリーンに唆され主人公をいじめていた取り巻きの一人、これからの行動に気をつけるべき重要人物になりそうだな。
嵐のような少女が去ったところで食事の続きをしようと皿を手に取った。
「お~いアイリーン」
耳に入った声で渋々皿を元に戻す。
「お元気そうですね、ブラウン様」
なんで居るんだ。
「騎士は身体が資本だからな! お前も元気そうで良かった」
満面の笑みで走って来たブラウン・ギルバート、婚約者の顔合わせ以降会っていなかったが以前に比べ少し背が伸びただろうか? 子供の成長は早いな。
「わざわざこのような遠方まで」
「お前の兄上ってことは俺にとっても義兄上だからな、誕生日を祝うのは当たり前だろ」
当たり前なんだろうか?大方彼の父オスカーがベーカー家の様子を見に来る口実に使ったんだろう。
「お兄様に挨拶するなら早めになされた方がいいですよ、人気者ですので」
人溜まりになっている場所に視線を向けながらそう言えばブラウンは不思議そうに私を見た。
「お前はいかないのか?」
「私は先に祝いの言葉を伝えました。それに帰ってからいくらでも口に出来ますしね」
「でも、皆が祝っている所で自分だけ祝えないのはつまらなくないか?」
「それは.......」
どう、なんだろう。気にしていなかった。
「私が行くと皆気を使いますから」
突如ベーカー家の者として紹介されたはいいものの、私の扱いに大人までも頭を悩ませていた。どう接すればベーカー家に取り入れるだろう、どうすれば機嫌を損ねないよう近づけるだろう、そんな思惑が垣間見える度嫌気が差してしまう。祝いの席でぐらいそんな顔をしたくなかった。
「ふーん、ならいいや。俺がお前の分も義兄上のこと祝っていきてやるよ」
任せろと胸を張られ目を丸くしてしまう。私に出来ないことを代わりにしてやるといった彼の優しさが不器用で、それでいてどことなくアイザックに似ていたからだ。
「ありがとうございます、ブラウン様」
それは心底から言えたお礼だった。ブラウンは照れくさそうに目をそらしながら思い出した用に呟く。
「手紙、読んだぞ」
サラに書けと促されて書いたやつか。お元気ですか、私は元気です、ぐらいの内容だったけど。
「今度返事を書く。ちゃんと読めよ」
「はい.......ブラウン様読み書き出来たんですね」
「お前俺の事馬鹿だと思ってるだろ!!」
バレてしまったか。クスクスと笑う私にブラウンが不貞腐れながらもきっちり別れの際に頭を下げ、アイザックの元に駆け寄っていった。
ブラウンは素直ないい子だ、叶うなら彼には幸せになってほしいと思う。アイザックやクラリスの次にだが。
「お嬢様があんな風に振る舞うのも珍しいですね」
「ルイ。名前を呼んだ覚えはありませんが?」
「すみませんつい、サボっていると思われたら厄介なので」
どういうことだ。そう聞き返すより先に答えが歩いてきた。
「アイリーン、こちらへ」
アルフレッドだ。私は余韻に浸ることすらできないようだ。
「ブラウン様の前では随分幼い顔をしていたのに」
「仕事の時間ですよルイ」
私はアイリーン・ベーカーの務めを果たさなければならない。
貼り付けた笑顔で元の形が分からなくなりそうになった時、ようやく解放された。どこの貴族もこぞって私に近寄り今まで表舞台に登場しなかった新しいキャラクターを品定めしているかの如く、容赦なく好奇の目を向けてくる。つらいなんて言ってみろ、アルフレッドに馬鹿にされるだけだ。完璧な元病弱娘を演じきった私は疲れた身体を休める為人気のない場所を求めていた。アルフレッドが病弱設定にしたのは正解だったかもしれない、私はベッドの上だけが世界の全てだった苦しみを知っている。誰よりも自然に語り尽くせるだろう。
だからといって気が休まるわけでもないが。
こんな時、会いたくなるのはアイザックだ。前までならクラリス一択だったのに不思議とあの少年の優しさに触れるのが私にとって救いになっているかもしれない。まるで、ゲーム内のアイリーンがアイザックを溺愛していたように。
「ですから、そういった話は」
私の願いが届いたのか、ふとアイザックの声が聞こえた。誰かと話しているらしいのでこっそり忍び寄る。万が一アルフレッドだったら何もせず逃げよう。
「出歯亀みたいな真似していいんですか?」
「ルイは不可視化していて下さい」
人差し指を口元に当てて静かにするよう命令して、ゆっくり近づいていく。
どうやら話しているのはアルフレッドよりもずっと歳上の男性らしい。こんな場所で何してるんだ?
「私だって無理にとは言わないさ。でも考えてみてくれないかい? これがベーカー家にとっても我が家にとっても最適だと思うんだが」
「でも、そのお宅のお嬢さんとは歳が」
「確かに娘のバーバラは君よりずっと歳上だ。でも政治には歳上の意見がつきものだろう? 君ともきっと相性がいいよ」
バーバラ? 聞いた事のない名前だ。歳上だと言うからにはアイザックの花嫁候補に上がらない程歳の離れた子なんだろう。
「それに君のところのアイリーン嬢だったかい? 彼女にとってもこれが一番いい選択だと思うけど」
私? 聞き耳を更に立てる。
「私は仕事柄情報が集めやすいんだよ。アイリーン嬢のこともよく知っている、妾の子なんだろう? これが婚約相手のギルバート家に伝われば婚約破棄だってあるだろうね、大丈夫そんな顔をしないで。私に任せてくれればその辺の情報操作もお手の物さ」
何を言っているんだこの男は。
心臓が冷えていくのを感じた。
「だから君が一言アルフレッド公爵に申し出てくれればいい、うちの子と懇意になりたいと。それだけで皆が救われるんだよ」
「優しい君ならどうするのが一番か、分かるだろう?」
「い、妹!? ウソ.......だって妹がいるなんて一度も」
そりゃ知らないだろう。アルフレッドが密かに作ってた子供の存在なんてこの子が知ってたらそれこそ大事だ。
「疑うならお兄様に聞いてみますか?」
こてり、といかにも無垢な子供を演じてみせる。
「べべべつに疑ってるわけじゃ、そう、アナタアイザック様の妹なのね」
羨望の眼差しを向けられたじろいだ。そんなに羨ましいのか、まぁそうだろうな。少し口元が緩みそうになるのを懸命に堪えた。
「それで、お兄様とレベッカ様はどのような関係なんですか? ただのお友達同士なら私に向かってとやかく言うのはおかしいですよね」
あれれ~と鈍い振りをすればレベッカは顔を真っ赤にして慌て始めた。
「違うのよ、ワタシは別に意地悪をしようとしたわけじゃなくってね」
「やだな~そんな事分かりきってますよ。お兄様がそんな女性を好きになるわけないですもんね! お兄様と付き合うお方はさぞ皆様から好かれているに決まってるんです!!」
あざといな。顔が引きつってないか心配だがレベッカの反応を見るに上手くいったらしい。彼女は染め上がった顔を覆い隠すようにして踵を返してしまった。これで平穏が戻りそうだ。
レベッカはアイリーンに唆され主人公をいじめていた取り巻きの一人、これからの行動に気をつけるべき重要人物になりそうだな。
嵐のような少女が去ったところで食事の続きをしようと皿を手に取った。
「お~いアイリーン」
耳に入った声で渋々皿を元に戻す。
「お元気そうですね、ブラウン様」
なんで居るんだ。
「騎士は身体が資本だからな! お前も元気そうで良かった」
満面の笑みで走って来たブラウン・ギルバート、婚約者の顔合わせ以降会っていなかったが以前に比べ少し背が伸びただろうか? 子供の成長は早いな。
「わざわざこのような遠方まで」
「お前の兄上ってことは俺にとっても義兄上だからな、誕生日を祝うのは当たり前だろ」
当たり前なんだろうか?大方彼の父オスカーがベーカー家の様子を見に来る口実に使ったんだろう。
「お兄様に挨拶するなら早めになされた方がいいですよ、人気者ですので」
人溜まりになっている場所に視線を向けながらそう言えばブラウンは不思議そうに私を見た。
「お前はいかないのか?」
「私は先に祝いの言葉を伝えました。それに帰ってからいくらでも口に出来ますしね」
「でも、皆が祝っている所で自分だけ祝えないのはつまらなくないか?」
「それは.......」
どう、なんだろう。気にしていなかった。
「私が行くと皆気を使いますから」
突如ベーカー家の者として紹介されたはいいものの、私の扱いに大人までも頭を悩ませていた。どう接すればベーカー家に取り入れるだろう、どうすれば機嫌を損ねないよう近づけるだろう、そんな思惑が垣間見える度嫌気が差してしまう。祝いの席でぐらいそんな顔をしたくなかった。
「ふーん、ならいいや。俺がお前の分も義兄上のこと祝っていきてやるよ」
任せろと胸を張られ目を丸くしてしまう。私に出来ないことを代わりにしてやるといった彼の優しさが不器用で、それでいてどことなくアイザックに似ていたからだ。
「ありがとうございます、ブラウン様」
それは心底から言えたお礼だった。ブラウンは照れくさそうに目をそらしながら思い出した用に呟く。
「手紙、読んだぞ」
サラに書けと促されて書いたやつか。お元気ですか、私は元気です、ぐらいの内容だったけど。
「今度返事を書く。ちゃんと読めよ」
「はい.......ブラウン様読み書き出来たんですね」
「お前俺の事馬鹿だと思ってるだろ!!」
バレてしまったか。クスクスと笑う私にブラウンが不貞腐れながらもきっちり別れの際に頭を下げ、アイザックの元に駆け寄っていった。
ブラウンは素直ないい子だ、叶うなら彼には幸せになってほしいと思う。アイザックやクラリスの次にだが。
「お嬢様があんな風に振る舞うのも珍しいですね」
「ルイ。名前を呼んだ覚えはありませんが?」
「すみませんつい、サボっていると思われたら厄介なので」
どういうことだ。そう聞き返すより先に答えが歩いてきた。
「アイリーン、こちらへ」
アルフレッドだ。私は余韻に浸ることすらできないようだ。
「ブラウン様の前では随分幼い顔をしていたのに」
「仕事の時間ですよルイ」
私はアイリーン・ベーカーの務めを果たさなければならない。
貼り付けた笑顔で元の形が分からなくなりそうになった時、ようやく解放された。どこの貴族もこぞって私に近寄り今まで表舞台に登場しなかった新しいキャラクターを品定めしているかの如く、容赦なく好奇の目を向けてくる。つらいなんて言ってみろ、アルフレッドに馬鹿にされるだけだ。完璧な元病弱娘を演じきった私は疲れた身体を休める為人気のない場所を求めていた。アルフレッドが病弱設定にしたのは正解だったかもしれない、私はベッドの上だけが世界の全てだった苦しみを知っている。誰よりも自然に語り尽くせるだろう。
だからといって気が休まるわけでもないが。
こんな時、会いたくなるのはアイザックだ。前までならクラリス一択だったのに不思議とあの少年の優しさに触れるのが私にとって救いになっているかもしれない。まるで、ゲーム内のアイリーンがアイザックを溺愛していたように。
「ですから、そういった話は」
私の願いが届いたのか、ふとアイザックの声が聞こえた。誰かと話しているらしいのでこっそり忍び寄る。万が一アルフレッドだったら何もせず逃げよう。
「出歯亀みたいな真似していいんですか?」
「ルイは不可視化していて下さい」
人差し指を口元に当てて静かにするよう命令して、ゆっくり近づいていく。
どうやら話しているのはアルフレッドよりもずっと歳上の男性らしい。こんな場所で何してるんだ?
「私だって無理にとは言わないさ。でも考えてみてくれないかい? これがベーカー家にとっても我が家にとっても最適だと思うんだが」
「でも、そのお宅のお嬢さんとは歳が」
「確かに娘のバーバラは君よりずっと歳上だ。でも政治には歳上の意見がつきものだろう? 君ともきっと相性がいいよ」
バーバラ? 聞いた事のない名前だ。歳上だと言うからにはアイザックの花嫁候補に上がらない程歳の離れた子なんだろう。
「それに君のところのアイリーン嬢だったかい? 彼女にとってもこれが一番いい選択だと思うけど」
私? 聞き耳を更に立てる。
「私は仕事柄情報が集めやすいんだよ。アイリーン嬢のこともよく知っている、妾の子なんだろう? これが婚約相手のギルバート家に伝われば婚約破棄だってあるだろうね、大丈夫そんな顔をしないで。私に任せてくれればその辺の情報操作もお手の物さ」
何を言っているんだこの男は。
心臓が冷えていくのを感じた。
「だから君が一言アルフレッド公爵に申し出てくれればいい、うちの子と懇意になりたいと。それだけで皆が救われるんだよ」
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