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神様の遊び(NL/異物/拡張/羞恥)
かみさまの誤算_3
しおりを挟むウタはそっとノイを抱きしめた。
「なっ――! なによ、急に――!」
「……よく分からないけれど、多分人間は、こういう時、こう言う行動をとるんでしょう? 見習ってみたの。別に、ノイを壊したり、傷つけたりしたいわけじゃあ無いから」
「……うっ」
「……ちょっと、立て続けに物語に飛ばしちゃったのがいけなかったかな」
「やっばり分かってなくない!?」
「え、でも、休息は必要でしょ?」
「そ、それは……そう、だけど……」
「だから、ちょっと休もっか?」
「……元の世界にでも帰してくれるの?」
「うーん、無理」
「ですよね!」
「そうだなぁ、何が良いかな……」
ブツブツと独り言を言い始めたウタの腕の中で、ノイは心が満たされていくような、こんな感覚を覚えていた。
“ハグにストレス軽減作用があるって、本当だったんだな……”
一方的に抱き締められる形だったが、ノイもウタの背中に腕を回した。
「どうしたの?」
「……ハグすると、ストレスが減るって言うから……」
「だから?」
「……ウタのストレス、ちょっとでも減ったら良いな、って思っただけ」
「あはは、やだなぁノイ。……そんな可愛いこと言ってくれるの?」
「えっ、なっ……!! か、可愛いとか、そういうのじゃなくて……!!」
「ハグして、ノイは落ち着いた?」
「……落ち着いた」
「満たされた?」
「……ちょっと」
「じゃあ、もっとノイの身体を覆ったら、気持ちが落ち着いて満心もたされて、今あるストレスがドドン――って減るのかな?」
「――ん? ちょっと、言ってる意味が――」
「こういうの、どう?」
――パチン。
ウタは指を鳴らした。
「――じゃじゃーん!!」
「は――え――?」
指が鳴らされた後、静かに空間が裂け、その割れ目からボトボトと何かが落ちてきた。水溜まりのような形を作り、それぞれがウゴウゴと脈打っている。
――液体のような、固体のような。
“……ちょっと、気持ち悪い……かも……”
吐き気を催すほどの嫌悪感はない。だが、得体の知れない動きと見た目に、頭の奥でカンカンと警報が鳴っている気がして仕方がない。
――それは互いに引き寄せられるよう一塊を中心に集まると、作成に失敗したゴーレムのように崩れた人形を成していた。
ゆっくりと迫り来る大きな波のように、ソレはノイへと近づいて来る。
「な、なに、これ――」
「あれあれ、【スライム】ってやつ! これなら、粘度も高いからめちゃめちゃ密着するし、隅々まで吸い付くように寄り添ってくれるよ!?」
「……分かんない。え、分かんない! なんで、何で今スライムを出したの……!?」
「だって、スライムなら余すところなく抱きしめてくれるよ? そしたらもっと落ち着いて、リフレッシュできるよね?」
「……ぜんっぜん! ウタの言ってる意味が! わからない!」
「まぁまぁ。物は試しでしょ? ――ホラ、行っておいで?」
抱き締めた身体を解放してノイの身体の向きをくるりと反転させると、ウタはそっとその背中を押した。
「――あ」
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