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プロローグ
まさか本の中に転移するなんて_2
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「──んん──」
ノイは目を覚ます。知らないうちに眠っていた。
「……あれ? ここは……?」
ふかふかとした地面、しかし、周りには何もない。辺りは薄暗く、自分の存在しかわからなかった。
「……こんにちは!」
「きっ……きゃあぁあぁ……!」
突然掛けられた声に悲鳴をあげる。
「びっくりした? ごめんね。驚かすつもりは、無かったんだけど」
後ろからの声に振り向くと、そこには男が立っていた。
黒髪でガタイの良い身体に、爽やかな笑顔。背も高く、カッコ良い。
モテそうなお兄さんである。
「僕ね、この本の神様!」
「……は? 神様?」
「そう。あっ、信用してない?」
「そりゃあ……まぁ……」
「やっぱりそうだよねぇ、見た目の問題かな?」
そう言いながら、服を引っ張ったり、前髪を弄ったりしている。
風貌の問題ではない。突然、『私は神様です!』と初対面の人間に言われ、あっさり信じる方がおかしい。
まぁ、確かに、風貌も一部あるかもしれないが。神様らしさはなく、格好も、普通の人だったから。
「あっ、いけない。僕から君に、お願いがあるんだけど」
「お願い?」
「うん。この童話集の話をなんでもいいから埋めてきて欲しいんだ!」
「はぁ?」
話が読めない。なんだってそんなことを。
「この本は、特殊な人にしか見えない。何かしら、不満を抱えていて、妄想が好きな人。そして、想像力豊かな人」
「……そうですか」
「なんでもいいって言ったけど、その中の縛りがあってね」
「あのー……」
「エッチなことで埋めないとダメです!」
「もう意味が分かりません!」
このやり取りに、ノイは疲れていた。
「僕は真面目だよ? 早くこの本を埋めてあげたいんだ。だから協力してよ」
「全然意味がわからないし、はい、分かりましたなんて言える内容じゃないです!」
ご尤もだ。二つ返事でOKを出せる内容ではない。
怪し過ぎる。
「んー、でも、もう決めちゃったし? ここはこの本のプロローグ。埋めないと出られないよ?」
「……え?」
サラッと笑顔で凄いことを言う。出られない? ここから? 堪ったもんじゃない!
「ホラホラ、二次元な十八禁指定に順応出来る様に、身体を作り替えてあげるから、完結させてね?」
「いや、ちょっと!」
男は掌をノイにかざすと目を閉じた。
「!」
光に包まれたノイは、一瞬目を瞑る。
「はい、出来たよ」
「……?」
見た目は変わっていない。
「……何が、どうなったの……?」
「ふふふっ。試してみる?」
男はノイに近付くと、床に押し倒した。
「僕はウタ。身体の秘密を、教えてあげる」
ノイは目を覚ます。知らないうちに眠っていた。
「……あれ? ここは……?」
ふかふかとした地面、しかし、周りには何もない。辺りは薄暗く、自分の存在しかわからなかった。
「……こんにちは!」
「きっ……きゃあぁあぁ……!」
突然掛けられた声に悲鳴をあげる。
「びっくりした? ごめんね。驚かすつもりは、無かったんだけど」
後ろからの声に振り向くと、そこには男が立っていた。
黒髪でガタイの良い身体に、爽やかな笑顔。背も高く、カッコ良い。
モテそうなお兄さんである。
「僕ね、この本の神様!」
「……は? 神様?」
「そう。あっ、信用してない?」
「そりゃあ……まぁ……」
「やっぱりそうだよねぇ、見た目の問題かな?」
そう言いながら、服を引っ張ったり、前髪を弄ったりしている。
風貌の問題ではない。突然、『私は神様です!』と初対面の人間に言われ、あっさり信じる方がおかしい。
まぁ、確かに、風貌も一部あるかもしれないが。神様らしさはなく、格好も、普通の人だったから。
「あっ、いけない。僕から君に、お願いがあるんだけど」
「お願い?」
「うん。この童話集の話をなんでもいいから埋めてきて欲しいんだ!」
「はぁ?」
話が読めない。なんだってそんなことを。
「この本は、特殊な人にしか見えない。何かしら、不満を抱えていて、妄想が好きな人。そして、想像力豊かな人」
「……そうですか」
「なんでもいいって言ったけど、その中の縛りがあってね」
「あのー……」
「エッチなことで埋めないとダメです!」
「もう意味が分かりません!」
このやり取りに、ノイは疲れていた。
「僕は真面目だよ? 早くこの本を埋めてあげたいんだ。だから協力してよ」
「全然意味がわからないし、はい、分かりましたなんて言える内容じゃないです!」
ご尤もだ。二つ返事でOKを出せる内容ではない。
怪し過ぎる。
「んー、でも、もう決めちゃったし? ここはこの本のプロローグ。埋めないと出られないよ?」
「……え?」
サラッと笑顔で凄いことを言う。出られない? ここから? 堪ったもんじゃない!
「ホラホラ、二次元な十八禁指定に順応出来る様に、身体を作り替えてあげるから、完結させてね?」
「いや、ちょっと!」
男は掌をノイにかざすと目を閉じた。
「!」
光に包まれたノイは、一瞬目を瞑る。
「はい、出来たよ」
「……?」
見た目は変わっていない。
「……何が、どうなったの……?」
「ふふふっ。試してみる?」
男はノイに近付くと、床に押し倒した。
「僕はウタ。身体の秘密を、教えてあげる」
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