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彼氏と彼女
*想定外のその先で_5
しおりを挟む「ん、ふぅ……っ……」
強引に口内へと入り込んできたハルトの舌が、ゆあの舌へと絡みついてくる。ジュルジュルとわざとらしく音を立てて吸い付くハルトに、ゆあは無意識に腕を掴んで力を込めていた。
(うあ……なんか、いつもと違う……?)
「ふっ……う、ハ、ハルトさん……?」
「僕のお願い、聞いてくれる?」
「お、お願い?」
「今ここで、ゆあとシたいの」
「えっ、えぇっ……!? 誰か来るかもしれないし! ここ会社ですよ!?」
「知ってる」
驚きのあまり思わず敬語になるゆあを制するハルト。
「それなら……」
「だから。僕のお願い聞いてくれる? って言ったんだよ? 聞いてくれる、よね?」
「んんん……っ……!」
ゆあの両腕を掴んで、ハルトは首元へと舌を這わせた。
「……服が邪魔だよね」
「まっ……!」
胸元のボタンを外して、キャミソールからチラリと覗くブラジャーを避け、指先で乳首を摘まんだ。
「んっ!」
「なんだ、ゆあも興奮してるの? おかしいな、乳首が立ってる」
「やっ、ち、ちが」
「誰かが来るのを心配してるんでしょ? 声出さないようにしないと、万が一誰か通ったら守衛さん呼ばれちゃうかもよ?」
(それは困る……!)
咄嗟にゆあは自分の両手で口を押さえた。こんな姿、誰にも見られたくない。
「そうそう。良い子だね? そのままにしてて?」
「むぅぅ……」
にこりと笑って、ハルトはシャツを脱がせると、キャミソールも腕から外し、ブラジャーをたくし上げた。
「んぅぅ」
舌先で乳首を転がしながら、舌全体を使って丁寧にゆっくりと舐めていく。ハルトの頭上では、ゆあが声を押し殺していた。震えるようなふうふうという音が漏れている。その音を聞きながら、ハルトはスカートの中へと手を滑り込ませると、穿いていたストッキングをずり下げてショーツへと手を伸ばした。
「んんー……!」
ビクリとゆあの身体が反応する。ショーツへと侵入した指先は秘部の表面をゆっくりと撫で、そのまま入口を軽く引っ掻いた。
(やだやだやだ……!)
ゆあはそんなことを考えていた。が、この行為に対して嫌だ、と思ったのではなく『既に身体が反応して濡れていることがわかってしまったこと』に、嫌だと感じていた。恥ずかしい、教えないでほしい。見せつけないでほしい。自分がこんなに反応しているなんて。よりにもよって、こんな会社という自分にとってはパブリックな場所で。だから、誰も来ないでほしい。聞かないでほしい。知らないでほしい。
そのことを知ってか知らずか、ゆあの思惑など関係なしにハルトは指を奥まで進めていった。
「ん、っ、うぅ」
その指の動きに合わせて、またゆあの口元から声が漏れた。ゆあからハルトがなにをしているのかは見ることができない。が、見えないぶん身体全体でなにをしているのかを感じ取ってしまっていた。今なにをしているのかわかってしまえば、必然的にこの後なにが起こるのかも、当たる当たらないは別として比較的容易に想像できる。既にハルトの指はゆあの膣の中に侵入しており、内壁を刺激している。
(ハルトさん……絶対これ、やめない……よね……?)
ゆあ自身も、強くハルトの行為を止めたりはしていない。ここで強く止めても嫌がっても、きっとハルトはすぐに止めてくれるだろう。だがそれをしなかったのは、一瞬だけゆあ自身が迷ったからだ。『止めなかったらどうなるのか』という、些細な好奇心で。もしかしたらゆあの反応を面白がっているだけで、なにもせず言葉だけで終わるかもしれないと思っていた節も少なからずあった。嫌なことはしないからだ。しかし面白がるということは無い話で、ハルトの行為が進んでから、ゆあは『ハルトはゆあの反応を楽しむ、少し強引でSッ気がある』ことを再認識していた。
――今に始まったことではない。社長ではなく一人の恋人としてハルトち接したときに、どこか自信のなさそうなハルトと、そんな考えは気のせいだったと感じさせる強いハルトが共存しているように見えた。自信の無さを隠しているのかもしれないが、きっとハルトはゆあの根本的な性質と、普段の性格や行動を見て、ゆあが求めているものと一緒に楽しめるラインを無意識に感じ取って表に出しているのだ。それがどんな状況であれ、スタンスは変わらないように見えた。生粋の坊ちゃんであることから、思いがけない行動や発言に振り回されることもあったが、仕方ないなと思わせる人柄がハルトにはあった。
「ん、うぅ、ふっ……」
「指を伝ってゆあの愛液が垂れてきてる。気持ち良い? それとも、興奮してる?」
「うぅぅ……んんっ……!」
「身体が震えてる。……寒いのかなと思ったけど、ふふっ。肌は熱いみたいだね?」
「あああ……っ!」
「ホラ、三本目も入った」
「まっ、あ、っ……ゆ、指ぃっ……ひっ、広げ、広げなっ……ない、いで……ぇ」
「なんで?」
「あっあっ」
止まらない舌と指の動きに、少しでも身体を支えようとゆあは脚に力を入れる。追い詰められたとき背面にあった壁へ寄りかかってはみたものの、このままでは力が抜けて、ズルズルとずり下がってしまいそうだったからだ。指の動きは止まるどころか激しくなっている気がする。
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