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*もう少しだけ側にいて。_3

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 (え、すごい! 筋肉がしっかりついてるのに、それでも細くてすらっとしてて……。そんなマジマジと見ちゃいけないことはわかってるんだけど、思わず見ちゃうよ)

「なに、見てるの?」
「え、すごいなって。……って、ごめんなさい、急にジロジロ見ちゃって」
「それくらい大丈夫だよ? これから何度も見ることになるんだから。なんなら、触ってもいいよ?」
「ええっ!?」

 ハルトは自分の腹部へゆあの手を持って行く。

「……硬い」
「それなりには鍛えてますから」

 ゆあは思わず筋を指でなぞる。

「……風邪引くよ? 行こう?」
「う、うん」

 浴室の電気をつけて、ハルトはゆあと共に中へと入った。ドアを閉めてお湯をシャワーから出す。

「暖かくなってきたとはいえ、まだまだ夜は冷える日もあるからね? さっと出ちゃうよ」
「うん、わかってる。あ、自分で洗うから! ね?」
「ふふふっ。僕が洗ってあげてもいいんだよ?」
「いきなりそんなことは……! じ、自分で洗えるから!!」

 ゆあはボディソープを手に取ると、急いで泡立てて身体を洗った。ふんわりと、ボディソープの良い香りが湯気にのって舞う。

「あ、の。ハルトさんも、もし汗が気になるなら……」
「有り難く使わせてもらうよ」

 ハルトもゆあと同じようにボディソープを手に取る。2人分のボディソープは、大きな泡となって排水溝へと役目を終えると流れていった。

「……ハルトさん、先に出てもらえませんか?」
「どうして?」
「あの、メイク、落としたくて。あんまりその、見られたくないというか……」
「わかった。じゃあ、先に出て拭いてるね。タオル借りるよ?」
「はい! 洗濯機の上の棚に置いてあるので、好きに使っていただければ」
「ありがとう。それじゃ、遠慮なく」

 綺麗に泡を洗い流し、ハルトは先に洗面所へと出ていく。教えてもらったタオルで身体を拭くと、そのタオルを腰に巻いてゆあが出てくるのを待った。

 ザァザァと、シャワーの流れる音がしている。ゆあは顔に丁寧にクレンジングミルクを広げると、馴染ませて落としていった。

(……私、なにしてるんだろ?)

 先ほどに比べたら、ぼんやりとした気分は随分しっかりとした意識へと変わっていた。が、まだどこか身体がフラフラする気がしている。それでも、メイクを落とすことと、一緒にお風呂へ入る……身体を現れることへの羞恥心は持っていたのだ。それだけでも、お酒に飲まれてはいないと、ゆあは自分を褒めることにした。
 クレンジングミルクを丁寧に洗い流すと、鏡についた泡と水滴も一緒にシャワーで流した。曇る鏡に映った自分を見て、ゆあは少しだけお腹のお肉を摘まむ。

(私もちょっと、ダイエットしようかな? そんなに太ってはない、と思うけど。お腹ってお肉、絶対つきやすいよね)

 ふぅ、と小さく溜め息を吐いてから、ゆあはそっと浴室のドアを開けた。

「おかえり」
「た、だいま」
「はい、タオル。これで良いんだよね?」
「うん、ありがとう」

 タオルを受け取り、身体に残った水分を拭き取っていく。恥ずかしがるゆあへの配慮か、その間ハルトはゆあに対して背を向けていた。

「あの、拭き終わったんだけど。下着とか、部屋から持ってくるの忘れちゃった」
「このまま戻ればいいよ? バスタオルだし、髪の毛は拭いていないから、そこまで濡れていないしね?」
「えっ!?」
「それじゃあベッドへ戻ろう? お姫様?」
「わっ!!」

 洗面所のドアを開けてハルトはスペースを作ると、ゆあをひょいと抱え上げてお姫様抱っこの状態でベッドへと向かった。バスタオルを身体に巻き付けたゆあは、その短い丈のタオルの裾から太腿が露わになっており、ハルトの腕とゆあの脚が素肌の状態で密着している。

「おっ、重いよ!? 私重いから……!!」
「全然? 女性の一人くらい、こうやって抱えられるよ? なんならゆあさんは、もう少し食べても良いと思う」
「いやいやいやいやそんな!!」

(そんなことないんです!!)

 自分の体重が知れてしまったような気がして、ゆあは思わずハルトの腕の中から抜け出そうと身をよじった。

「……あっ! 危ないからジッとしてて? あんまり動くと落ちてしまうよ?」

 ゆあを抱えるハルトの腕にグッと力が入る。

(う。それを言われると)

 抜け出せない。いくらそこまで高くはないとはいえ、狭い廊下だ。自分自身上手く降りられるかどうかもわからないし、こんなところで怪我をしてしまっては、ばかばかしいしハルトにも申し訳ない。

「わかってもらえたかな? ……もう着いたから、降りても良いよ?」

 ハルトはゆっくりとゆあをベッドへとおろした。

「……ところで。もう逃げだすのは無し、だよ? 覚悟は決まってるよね?」
「えっ」

 少しだけ意地悪をするような含みを言葉に持たせて、ハルトはゆあの髪の毛を指ですくい口づける。シャワーで僅かに濡れた毛先は冷たく、触れたハルトに指先に水分を与える。

「髪、濡れちゃったね」
「あ……さ、流石に、全部濡らさないのは難しくて……」
「ゆあさんから、僕と同じ匂いがしてる」
「そ、それは、ハルトさんが私のボディソープを使ったから!」
「不思議だね。自分はそんなこと思わないのに、ゆあさんからは凄く良い匂いがしてる」
「えっ、えっ」
「……美味しそう」
「えっ、あ……んっ……」

 ペロリ、と舌なめずりをして、ハルトはゆあの首筋に自分の舌を這わせた。

「あぁ……ん、んん」
「本当に、美味しそう……」
「ハ、ハルトさん……」
「せっかく洗ったのに、すぐに汚しちゃうけど。良いよね?」
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