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Act 3
エピローグ
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その年の夏、皓一は久しぶりにブログを更新した。
真也と夏の旅行に出かけ、お祭りで林檎飴や綿菓子を食べ、夜空に打ち上げられた花火を二人で見た皓一は、その幸せな時間と体験を、どうしても書き残しておきたくなったのだ。
いつも一人だった皓一の隣には、今では必ず、真也がいる。本物の、血肉を具えた存在として。
虚構のブログは、今や過去のものとなった。
新しい記事を公開する前に、皓一はブログタイトルを変更した。
『俺と彼氏の休日散歩――そして、日常風景』――それが、新しいタイトル。
このブログがフィクションだと匂わせていたプロフィール欄も、以下のように書き変えた。
* * *
ある日を境に、夢から生まれた現実が、俺の日常に入り込んだ
虚構はするりと遠くへ去り
色鮮やかな現実が目の前に展開する
空っぽだったグラスにはいつの間にか
零れるほどの美しい液体で満たされ
手に入らないと思っていたすべてが
失う恐怖を軽く飛び越えて
懐深くに入り込む
ある日を境に、すべてが真実
彼は奇妙で愛しい、この世一大切な、俺の真実
* * *
このブログを密かに愛読していたブログ読者たちは、その変化にすぐ気が付いた。記事から醸し出される温度が明らかに変わったことと、プロフィール欄の他にも、目新しい部分があったからである。
今まで、ブログ記事の文章の合間に飾られていた写真はすべて風景のみで、人の気配はまるでなかったが、新しい記事には、テーブルの上で互いの指を絡ませた男二人の手の写真が、そっと添えられていた。そして二人の手の傍に置かれたグラスには、夜空に輝く花火が、二人の人生を祝福するように華々しく映りこんでいた。
☆終わり☆
最後までご愛読いただき、本当にありがとうございました。
あとがきがありますので、続けて読んでくださると嬉しいです(´▽`*)
真也と夏の旅行に出かけ、お祭りで林檎飴や綿菓子を食べ、夜空に打ち上げられた花火を二人で見た皓一は、その幸せな時間と体験を、どうしても書き残しておきたくなったのだ。
いつも一人だった皓一の隣には、今では必ず、真也がいる。本物の、血肉を具えた存在として。
虚構のブログは、今や過去のものとなった。
新しい記事を公開する前に、皓一はブログタイトルを変更した。
『俺と彼氏の休日散歩――そして、日常風景』――それが、新しいタイトル。
このブログがフィクションだと匂わせていたプロフィール欄も、以下のように書き変えた。
* * *
ある日を境に、夢から生まれた現実が、俺の日常に入り込んだ
虚構はするりと遠くへ去り
色鮮やかな現実が目の前に展開する
空っぽだったグラスにはいつの間にか
零れるほどの美しい液体で満たされ
手に入らないと思っていたすべてが
失う恐怖を軽く飛び越えて
懐深くに入り込む
ある日を境に、すべてが真実
彼は奇妙で愛しい、この世一大切な、俺の真実
* * *
このブログを密かに愛読していたブログ読者たちは、その変化にすぐ気が付いた。記事から醸し出される温度が明らかに変わったことと、プロフィール欄の他にも、目新しい部分があったからである。
今まで、ブログ記事の文章の合間に飾られていた写真はすべて風景のみで、人の気配はまるでなかったが、新しい記事には、テーブルの上で互いの指を絡ませた男二人の手の写真が、そっと添えられていた。そして二人の手の傍に置かれたグラスには、夜空に輝く花火が、二人の人生を祝福するように華々しく映りこんでいた。
☆終わり☆
最後までご愛読いただき、本当にありがとうございました。
あとがきがありますので、続けて読んでくださると嬉しいです(´▽`*)
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