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Act 2
14. 真也の独り言
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真也の目の中には燃え盛るような怒りと嫉妬が宿り、その奥には不安がくすぶっている。それを見た皓一は、怖気付きながらも途端に後悔した。軽率な自分の行動が、真也の怒りを招いたのだ。そして、後悔すると同時に痺れるような甘い喜びを感じた。
こんなに嫉妬されるほど、深く愛されているのだ。
皓一は震える息を吐き出し、喉の奥から絞り出すように、声を発した。
「ああ……真也、悪かった。二度と健斗にハグしない。触れさせない。ごめんな……俺、大事なお守りを拾ってもらって……お礼しなきゃって、そればっかり頭にあって……おまえに対して、無神経だった。ごめん……」
皓一は頬に触れている真也の手に自分の手を重ね、さすり、なだめるような視線を送りながら言葉を続けた。
「だけどさ……真也、何も不安になんか、ならなくて大丈夫だ。俺は、おまえのものだ。心も体も、全部……おまえだけのものだ」
皓一は両腕を真也の背中に回し、ギュッと抱きしめた。
フッと、真也の怒りが和らぐ。
真也は皓一を抱きしめ返すと、胸元にすり寄ってくる皓一の頭を愛し気に撫でた。優しい愛撫を受け、皓一は嵐のような真也の怒りが収まったことを感じ、甘えた口調で囁いた。
「ああ……真也、愛してるよ……。この間、楽しかったな……海辺のデート……」
「ああ。とても、幸せなひと時だった。皓一……今度は、どこに行く? 次も泊りにするか?」
「う~ん……当分連休は無理かもしれない。学校が春休み期間に入るからパートさんたちが休みを多めに取るし……ゴールデンウイークも控えてるしな……。でも、どこにも出かけず、ゆっくりするのもいいよな。明日は、そうしようぜ……」
「そうだな、そうしよう。どのみち明日は、昼過ぎまで寝てることになるだろう。……今夜は、一晩中、おまえを抱きたい……いいな?」
真也の低い声が艶を帯び、ねっとりと絡みつくように皓一の耳元に繰り出される。
皓一はぞくぞくと背筋に甘い戦慄が走るのを感じて、真也の声を聞いているだけで勃起しそうな興奮に襲われた。それと同時に、海辺のホテルで初めて真也を後ろに受け入れたときの快感が甦り、体が疼きだす。あれ以来何度か真也と会っているが、仕事で疲れている皓一を気遣って、真也は皓一の体を求めはしなった。二人とも一週間、お預け状態だったのだ。
「うん……俺も、おまえが欲しい……。ああ……なんか……ドキドキしてきた……。やばい、口から心臓が出そうだ」
頬を染め、色っぽい声で冗談を飛ばす皓一の唇に、真也はたまらずかぶりついた。激しく唇を蹂躙し、もみしだき、舌を絡ませ、吸い、互いの唾液を交換する。皓一の息が上がり、苦しそうに喘ぎ出しても、真也は唇を解放しなかった。それどころかますます激しく、舌と唇で皓一をなぶり続ける。
「はあっ、はあっ、……んんぅ……真也……っ……苦し……」
「皓一……少し、眠れ」
やっと唇を離した真也が、皓一のとろんと潤んだ目を覗きながらそう囁く。皓一は途端に眠気に襲われ、脱力して目を閉じた。
眠ってしまった皓一の体をしっかり抱きかかえ、真也は皓一を浴室の床にうつ伏せに寝かせた。そして皓一の後孔にセックスのための準備を施してゆく。
指で入り口付近をもみほぐし、ワセリンをすりこみながら孔を広げ、中を洗浄するために道具を挿入する。
皓一の尻をなぶるうちに、興奮が高まってきた真也の息遣いが、荒くなってゆく。
「しっかり……奥まで、きれいにしてやるからな……皓一。二度目の交接だな……皓一。一度目よりも深く、激しく愛し合おう」
何度も愛しい相手の名前を囁き、卑猥な響きに酔いしれるように淫語を舌に乗せ、真也は一人でその行為を楽しんだ。
洗浄した皓一の直腸内に細い触手を忍ばせ、ねっとりと中を潤わせてゆく。
「今夜はもっと……もっと奥まで、繋がろう、皓一……。一度目より、更に深いところを、えぐってやる……。ヒィヒィ泣かせて、よがらせてやる……おまえが何回イクか、数えておいてやるからな……」
真也の触手が、ぐり、と中を刺激すると、眠ったままの皓一の体がビクンと反応した。
「ここ……イイのか? 皓一……? よし、後でたっぷり可愛がってやる……」
皓一が眠っていることを知りながら、問いかけるように耳元で囁く。そうしながらも、真也は皓一の後孔が十分に濡れて痛みなく受け入れられるよう、ぐちゅぐちゅと粘膜に汁をこすりつけた。
「ああ……可愛い皓一。早くおまえの中に、俺の交接器をねじこみたい……」
真也の下半身が徐々に変化し、うぞうぞと無数の触手が現れはじめる。
真也は前回と同様、上半身の擬態は解かずに、下半身のみ本来の姿を晒した。その方が皓一に気付かれずにセックスできる、というのが一番の理由だが、真也にはもう一つ、思うところがあった。
「キス、というのはなかなかイイな……。精神が高揚し、結びつきが強くなり、絆が深まる行為だ……」
真也の種族には、愛する者同士口づけを交わすという行為はない。だいたい、地球人の口と同じような飲食物を取り入れる器官は、彼らの場合、人目に晒す部分には付いていないのだ。
だから真也は、地球人のキスという行為に少なからず衝撃を受けた。
体に必要な、栄養と大気を取り込む大事な部分を、重ね合わせてお互いの唾液を交換する――その行為に、真也はエロティックな興奮を覚えていた。恐らくその興奮は、地球人が感じるよりも、強く、深く、激しいものだ。真也はキスがすっかり気に入り、人間の姿に擬態した上半身を、快く思うようになっていた。最初はかなり、違和感だったのだが。
「ククッ……。おかしなものだな。あれほど珍妙に感じていたものを、好きになるとは……。皓一、おまえのせいだ。覚悟しろ……唇が腫れ上がるくらい……何度も、何度も……おまえの唇に食らいついて、吸い続けてやる……一晩中……」
こんなに嫉妬されるほど、深く愛されているのだ。
皓一は震える息を吐き出し、喉の奥から絞り出すように、声を発した。
「ああ……真也、悪かった。二度と健斗にハグしない。触れさせない。ごめんな……俺、大事なお守りを拾ってもらって……お礼しなきゃって、そればっかり頭にあって……おまえに対して、無神経だった。ごめん……」
皓一は頬に触れている真也の手に自分の手を重ね、さすり、なだめるような視線を送りながら言葉を続けた。
「だけどさ……真也、何も不安になんか、ならなくて大丈夫だ。俺は、おまえのものだ。心も体も、全部……おまえだけのものだ」
皓一は両腕を真也の背中に回し、ギュッと抱きしめた。
フッと、真也の怒りが和らぐ。
真也は皓一を抱きしめ返すと、胸元にすり寄ってくる皓一の頭を愛し気に撫でた。優しい愛撫を受け、皓一は嵐のような真也の怒りが収まったことを感じ、甘えた口調で囁いた。
「ああ……真也、愛してるよ……。この間、楽しかったな……海辺のデート……」
「ああ。とても、幸せなひと時だった。皓一……今度は、どこに行く? 次も泊りにするか?」
「う~ん……当分連休は無理かもしれない。学校が春休み期間に入るからパートさんたちが休みを多めに取るし……ゴールデンウイークも控えてるしな……。でも、どこにも出かけず、ゆっくりするのもいいよな。明日は、そうしようぜ……」
「そうだな、そうしよう。どのみち明日は、昼過ぎまで寝てることになるだろう。……今夜は、一晩中、おまえを抱きたい……いいな?」
真也の低い声が艶を帯び、ねっとりと絡みつくように皓一の耳元に繰り出される。
皓一はぞくぞくと背筋に甘い戦慄が走るのを感じて、真也の声を聞いているだけで勃起しそうな興奮に襲われた。それと同時に、海辺のホテルで初めて真也を後ろに受け入れたときの快感が甦り、体が疼きだす。あれ以来何度か真也と会っているが、仕事で疲れている皓一を気遣って、真也は皓一の体を求めはしなった。二人とも一週間、お預け状態だったのだ。
「うん……俺も、おまえが欲しい……。ああ……なんか……ドキドキしてきた……。やばい、口から心臓が出そうだ」
頬を染め、色っぽい声で冗談を飛ばす皓一の唇に、真也はたまらずかぶりついた。激しく唇を蹂躙し、もみしだき、舌を絡ませ、吸い、互いの唾液を交換する。皓一の息が上がり、苦しそうに喘ぎ出しても、真也は唇を解放しなかった。それどころかますます激しく、舌と唇で皓一をなぶり続ける。
「はあっ、はあっ、……んんぅ……真也……っ……苦し……」
「皓一……少し、眠れ」
やっと唇を離した真也が、皓一のとろんと潤んだ目を覗きながらそう囁く。皓一は途端に眠気に襲われ、脱力して目を閉じた。
眠ってしまった皓一の体をしっかり抱きかかえ、真也は皓一を浴室の床にうつ伏せに寝かせた。そして皓一の後孔にセックスのための準備を施してゆく。
指で入り口付近をもみほぐし、ワセリンをすりこみながら孔を広げ、中を洗浄するために道具を挿入する。
皓一の尻をなぶるうちに、興奮が高まってきた真也の息遣いが、荒くなってゆく。
「しっかり……奥まで、きれいにしてやるからな……皓一。二度目の交接だな……皓一。一度目よりも深く、激しく愛し合おう」
何度も愛しい相手の名前を囁き、卑猥な響きに酔いしれるように淫語を舌に乗せ、真也は一人でその行為を楽しんだ。
洗浄した皓一の直腸内に細い触手を忍ばせ、ねっとりと中を潤わせてゆく。
「今夜はもっと……もっと奥まで、繋がろう、皓一……。一度目より、更に深いところを、えぐってやる……。ヒィヒィ泣かせて、よがらせてやる……おまえが何回イクか、数えておいてやるからな……」
真也の触手が、ぐり、と中を刺激すると、眠ったままの皓一の体がビクンと反応した。
「ここ……イイのか? 皓一……? よし、後でたっぷり可愛がってやる……」
皓一が眠っていることを知りながら、問いかけるように耳元で囁く。そうしながらも、真也は皓一の後孔が十分に濡れて痛みなく受け入れられるよう、ぐちゅぐちゅと粘膜に汁をこすりつけた。
「ああ……可愛い皓一。早くおまえの中に、俺の交接器をねじこみたい……」
真也の下半身が徐々に変化し、うぞうぞと無数の触手が現れはじめる。
真也は前回と同様、上半身の擬態は解かずに、下半身のみ本来の姿を晒した。その方が皓一に気付かれずにセックスできる、というのが一番の理由だが、真也にはもう一つ、思うところがあった。
「キス、というのはなかなかイイな……。精神が高揚し、結びつきが強くなり、絆が深まる行為だ……」
真也の種族には、愛する者同士口づけを交わすという行為はない。だいたい、地球人の口と同じような飲食物を取り入れる器官は、彼らの場合、人目に晒す部分には付いていないのだ。
だから真也は、地球人のキスという行為に少なからず衝撃を受けた。
体に必要な、栄養と大気を取り込む大事な部分を、重ね合わせてお互いの唾液を交換する――その行為に、真也はエロティックな興奮を覚えていた。恐らくその興奮は、地球人が感じるよりも、強く、深く、激しいものだ。真也はキスがすっかり気に入り、人間の姿に擬態した上半身を、快く思うようになっていた。最初はかなり、違和感だったのだが。
「ククッ……。おかしなものだな。あれほど珍妙に感じていたものを、好きになるとは……。皓一、おまえのせいだ。覚悟しろ……唇が腫れ上がるくらい……何度も、何度も……おまえの唇に食らいついて、吸い続けてやる……一晩中……」
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