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Ⅰ 強奪
16. 凌辱(5)
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ぼんやりとそれを見ていたレイの目の前に、逞しい筋肉で覆われた魔王の裸体が晒される。
魔族は総じて背が高く、骨格も筋肉も人間より遥かに発達している。
魔王はその中でも抜きん出た体格を誇り、体中を鎧のような筋肉で覆われていた。
上気し、汗の浮かぶその肌には、全身の所々に、荊で打たれたかのような痛々しい傷跡が走っている。いつ付けられたのか定かではないが、療術によって癒されることもなく、引きつって無残に固まったその傷跡は、王の息子として大切に育てられ、王位に就いてからは無敵と謳われる彼には、あまりにも不釣合いだった。
しかしレイの目を釘付けにさせたのは、その不可解な傷跡ではなく、まったく別の部分だった。
股の間から、大きく鎌首をもたげ、腹に付くかと思うほど反り返っている逞しい男性器――信じ難いことに、それは、根元から二つに分かれ、上下に並び勃っていた。
魔族の男は生殖器を二つ持つと、噂では聞いて知っていたが、人間のそれとはかけ離れた形状に、レイは驚きのあまり、魔王の逸物から目を離すことができなかった。
初めて目にする異様な性器は、魔王の堂々たる体躯に相応しい大きさを誇り、いくつも筋を浮かばせてビクビクと脈動している。
その二振りの性器のうち、特に下側から突き出た方が面妖で、竿の部分に丸い小さな突起がいくつも並び、先端の張り出た部分は二連になっている。
天を突く勢いで反りかえったそれらは、二本とも先端からだくだくと先走りの露を滴らせ、ぬるぬると妖しく光っていた。
「嘘……だろ……。それ…作り物……か…何か……?」
予想通りのレイの反応に、魔王は深い溜息をついた。
「これはれっきとした、生物だ。生まれたときから私の股の間にある」
言いながら魔王は、その異様な二本の男根に、両手を使ってぬらぬらと潤滑剤を塗りたくっている。
「おまえを怯えさせると思い……隠していたのだが……」
魔王は言葉を続けながら、なおも丹念に、ぬめって糸を引く粘性の液体を、たっぷりと擦りこんだ。魔王の張り出た胸筋が、次第に荒くなってゆく呼吸に伴い、激しく上下する。
「……これから……おまえと繋がる身だ……。見せておいた方が…良いと思ってな……」
――そうではなく実際は、見て欲しいと、魔王は思ったのだ。
ありのままの自分の姿をレイの前に晒し、自分のすべてを受け入れて欲しい――魔王は強く、そう願っていた。
やがて魔王は、滴るほどに塗りこんだ逸物から手を離し、傍に置いてあった布切れで手を拭った。
そうしてレイの両脚を折り曲げながら、膝の裏側に自身の両腕を滑りこませ、レイの腰を持ち上げる。
不自然な姿勢を取らされ、苦しげに呻くレイの顔を見下ろしながら、魔王は優しく問いかけた。
「怖いか……?」
問われた意味が分からず、レイは怪訝な表情で魔王を見つめ返した。
「さっきから……何を言ってるんだ……? 繋がるとか、何のことだよ……?」
束の間、魔王の目が驚きに見開かれた。
「レイ……そうか……おまえは知らないのか……。男同士の……契りの交わし方を……」
「契りって……無理だろ、だってどっちも入れるほうで、受け入れるところなんか………」
――受け入れるところ。
レイはハッとして息を呑み、全身を硬直させた。
さっきまで、しつこい程に弄られていた、その場所。
言葉を失くし、さっと青ざめたその表情に気付いた魔王は、抵抗を封じ込めようと、レイの両手をシーツに押え付けた。
「レイ、頼むから、暴れないでくれ。大丈夫だ、何も心配するな。力を抜いて、私に体を預けろ」
「待て……! 何を…するつもり……まさか……それっ、むぐっ……んんっ!」
突然、乱暴に重ねられる唇。
強く吸われたかと思うと、次の瞬間、驚くほど優しく、そっと唇を揉むように押し付けられる。柔らかい感触と共に、互いの唾液が混じりあい、ぴちゃぴちゃと淫靡な音が耳を犯す。
「んっ……んんっ……ふ、あっ……」
「……レイ……愛してる。私のすべては、おまえのものだ。おまえのすべてを、どうか私に与えてくれ」
その言葉と共に、折り曲げられ、高く抱え上げられたレイの膝の裏側を、魔王の手が、がっしりと押さえ込んだ。自然に上を向いたレイの尻が、魔王の腰に晒され、硬い物がぐりぐりと双丘の谷間に押し当てられる。
それが屹立した魔王の欲望だと知り、レイは半狂乱になって叫んだ。
「待てっ、待て待て待て! 魔王、やめろ! まさか、それ、それ、を……俺の、中にっ……」
「……主根だ。こちらの方が、若干小振りだ。……さあ、レイ、力を抜いて楽にしろ」
「小振り?! どこが小振りだ! 異常なでかさだろ! やめろ、やめてくれっ!」
「従根よりましだろう。突起も付いていない。……最も、慣れてくれば、主根より従根の方をねだるようになる……」
言いながら魔王は、馴染ませるように先端部分を押し付けて、レイの後ろにぬるぬると擦り合わせる。
「うあっ…! あっ、ああっ! や、やめろっ! 無理っ……無理だっ! 入るわけ、ないっ……」
凶暴な猛りから何とか逃れようと、じたばたと身を捩よじるが、相変わらず力のこもらない手足は、レイを窮地から逃してはくれなかった。
魔族は総じて背が高く、骨格も筋肉も人間より遥かに発達している。
魔王はその中でも抜きん出た体格を誇り、体中を鎧のような筋肉で覆われていた。
上気し、汗の浮かぶその肌には、全身の所々に、荊で打たれたかのような痛々しい傷跡が走っている。いつ付けられたのか定かではないが、療術によって癒されることもなく、引きつって無残に固まったその傷跡は、王の息子として大切に育てられ、王位に就いてからは無敵と謳われる彼には、あまりにも不釣合いだった。
しかしレイの目を釘付けにさせたのは、その不可解な傷跡ではなく、まったく別の部分だった。
股の間から、大きく鎌首をもたげ、腹に付くかと思うほど反り返っている逞しい男性器――信じ難いことに、それは、根元から二つに分かれ、上下に並び勃っていた。
魔族の男は生殖器を二つ持つと、噂では聞いて知っていたが、人間のそれとはかけ離れた形状に、レイは驚きのあまり、魔王の逸物から目を離すことができなかった。
初めて目にする異様な性器は、魔王の堂々たる体躯に相応しい大きさを誇り、いくつも筋を浮かばせてビクビクと脈動している。
その二振りの性器のうち、特に下側から突き出た方が面妖で、竿の部分に丸い小さな突起がいくつも並び、先端の張り出た部分は二連になっている。
天を突く勢いで反りかえったそれらは、二本とも先端からだくだくと先走りの露を滴らせ、ぬるぬると妖しく光っていた。
「嘘……だろ……。それ…作り物……か…何か……?」
予想通りのレイの反応に、魔王は深い溜息をついた。
「これはれっきとした、生物だ。生まれたときから私の股の間にある」
言いながら魔王は、その異様な二本の男根に、両手を使ってぬらぬらと潤滑剤を塗りたくっている。
「おまえを怯えさせると思い……隠していたのだが……」
魔王は言葉を続けながら、なおも丹念に、ぬめって糸を引く粘性の液体を、たっぷりと擦りこんだ。魔王の張り出た胸筋が、次第に荒くなってゆく呼吸に伴い、激しく上下する。
「……これから……おまえと繋がる身だ……。見せておいた方が…良いと思ってな……」
――そうではなく実際は、見て欲しいと、魔王は思ったのだ。
ありのままの自分の姿をレイの前に晒し、自分のすべてを受け入れて欲しい――魔王は強く、そう願っていた。
やがて魔王は、滴るほどに塗りこんだ逸物から手を離し、傍に置いてあった布切れで手を拭った。
そうしてレイの両脚を折り曲げながら、膝の裏側に自身の両腕を滑りこませ、レイの腰を持ち上げる。
不自然な姿勢を取らされ、苦しげに呻くレイの顔を見下ろしながら、魔王は優しく問いかけた。
「怖いか……?」
問われた意味が分からず、レイは怪訝な表情で魔王を見つめ返した。
「さっきから……何を言ってるんだ……? 繋がるとか、何のことだよ……?」
束の間、魔王の目が驚きに見開かれた。
「レイ……そうか……おまえは知らないのか……。男同士の……契りの交わし方を……」
「契りって……無理だろ、だってどっちも入れるほうで、受け入れるところなんか………」
――受け入れるところ。
レイはハッとして息を呑み、全身を硬直させた。
さっきまで、しつこい程に弄られていた、その場所。
言葉を失くし、さっと青ざめたその表情に気付いた魔王は、抵抗を封じ込めようと、レイの両手をシーツに押え付けた。
「レイ、頼むから、暴れないでくれ。大丈夫だ、何も心配するな。力を抜いて、私に体を預けろ」
「待て……! 何を…するつもり……まさか……それっ、むぐっ……んんっ!」
突然、乱暴に重ねられる唇。
強く吸われたかと思うと、次の瞬間、驚くほど優しく、そっと唇を揉むように押し付けられる。柔らかい感触と共に、互いの唾液が混じりあい、ぴちゃぴちゃと淫靡な音が耳を犯す。
「んっ……んんっ……ふ、あっ……」
「……レイ……愛してる。私のすべては、おまえのものだ。おまえのすべてを、どうか私に与えてくれ」
その言葉と共に、折り曲げられ、高く抱え上げられたレイの膝の裏側を、魔王の手が、がっしりと押さえ込んだ。自然に上を向いたレイの尻が、魔王の腰に晒され、硬い物がぐりぐりと双丘の谷間に押し当てられる。
それが屹立した魔王の欲望だと知り、レイは半狂乱になって叫んだ。
「待てっ、待て待て待て! 魔王、やめろ! まさか、それ、それ、を……俺の、中にっ……」
「……主根だ。こちらの方が、若干小振りだ。……さあ、レイ、力を抜いて楽にしろ」
「小振り?! どこが小振りだ! 異常なでかさだろ! やめろ、やめてくれっ!」
「従根よりましだろう。突起も付いていない。……最も、慣れてくれば、主根より従根の方をねだるようになる……」
言いながら魔王は、馴染ませるように先端部分を押し付けて、レイの後ろにぬるぬると擦り合わせる。
「うあっ…! あっ、ああっ! や、やめろっ! 無理っ……無理だっ! 入るわけ、ないっ……」
凶暴な猛りから何とか逃れようと、じたばたと身を捩よじるが、相変わらず力のこもらない手足は、レイを窮地から逃してはくれなかった。
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