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妄想編
27話【off duty】岡林 幸太郎:電話(藍原編)
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ふう。新條くんの一件で、すっかり酔いが醒めちゃった。とりあえずシャワー浴びて……もう一回、飲みなおそうかしら。
タオルで髪を拭きながら、冷蔵庫にあった缶チューハイを開ける。静かにしていると、ふいに、今まで気にならなかったお隣さんの物音が気になる。……ちらっと見えたあの間取りだと、うちのテレビを寄せてある壁の真裏に、新條くんのベッド……。今の物音、ベッドのきしむ音かしら……。そんな音、今まで聞こえたことあったかな? あたしのベッドは反対側のお部屋に面してるから、あたしがベッドで何してようが、新條くんにバレることはなさそうね。でも……シャワーの音は、たぶん新條くんちのキッチンの裏側あたり……。いつシャワー浴びてるのかとかは、バレてそう……? ……だめだめ、気にしちゃ。大丈夫よ、新條くん、今時のわりには真面目そうな青年だったし。
缶チューハイをハイペースで空にして、いい気分でベッドに潜りこもうとしたところで、突然携帯電話が鳴った。うそっ、病院からの呼び出しかしら? お酒飲んじゃったし、もうだいぶ眠いんだけど……。
と、思いつつ、着信を見ると。『岡林先生』だって。うわ、やっぱり、入院患者さんのことで何か病棟から連絡があって、その相談の電話かしら?
「はい、藍原です。どうしたの?」
『あ、先生、よかった。まだ起きてたんですね?』
「ちょうど寝ようと思ってたところ。どうしたの? 病棟から連絡でもあった?」
『あ、いや、そういうわけじゃなくて……』
? 岡林くんが、珍しくいいづらそうにしている。
『あの、さっき別れたとき、藍原先生が結構酔っ払ってたから、大丈夫かな、と思って』
え、あたしの心配をしてわざわざ電話をくれたの? うひゃあ、やさしいのね。……え、でも、待って。そういえば、楓ちゃんは?
「あたしは無事帰宅したわよ。ちゃんとシャワーも浴びて、さらに一杯飲んで、いい気分になってたところ。そっちこそ、楓ちゃんは? 大丈夫だったのかしら」
『はい、佐々木さんもちゃんと送り届けましたよ』
「……それで終わり?」
『ええ、もちろん。襲ったりしてませんよ』
電話越しに岡林くんが笑ってる。えーっ、襲ってほしかったのに。作戦失敗かしら……。楓ちゃん、へこんでないといいけど……。
『すみません先生、心配したつもりが、寝るところ邪魔しちゃったみたいですね』
「いいのよ。わざわざ気を遣ってくれてありがとう」
『ははは、気遣ったわけじゃないです。……わかるでしょ』
? わかるでしょって、何がかしら。
『先生、じゃあ……今、ベッドの中なの?』
「そうよ、あなたも早く寝なさい」
『……先生の声を聞いてたら、目が覚めてきちゃった』
「え?」
『ほら、先生の声が、直接耳に入ってくるでしょ? 今まで、そんな近くで先生の声聞いたことなかったし。……あ、一回あったかな。最初に先生に連れて行ってもらったイタリアンレストランで』
……? そんなに接近して話したこと、あったかしら?
『覚えてないんですか? 俺が先生のピアス直したとき。……先生のあのときの声、俺、覚えてますよ』
……! うわっ、思い出してきた! 岡林くんが突然あたしの耳たぶを触るもんだから、びっくりして、うっかり声が出ちゃったのよね。……うそ、ばっちり聞かれてたうえに、しっかり覚えてるなんて!
「そそそそんなこと、さっさと忘れて、寝なさい!」
そういって慌てて電話を切ろうとするあたしの耳元で、岡林くんが。
『待ってよ、先生。……もう少し、先生の声、聞いていたい』
! ……うう、不覚にもドキッとしたわ。そんなこと耳元で囁かれると、うっかりあたしの中のスイッチが、押されちゃうじゃないの……! ダメダメ、すでに岡林くんはあたしの脳内で大暴れ済みだから! これ以上はダメよ。
「岡林くん、やっぱり酔ってるでしょ。明日も勤務なんだから、もう寝なさいってば」
『無理。先生の声、色っぽいから、俺からは切れそうにない』
なんとか電話を切ろうとするけど、岡林くんが話し続けるから、申し訳なくてなかなか切れない。だいたい、岡林くんの声だって、充分色っぽい。……電話って、情欲をそそるアイテムだったのね。知らなかったわ。
『ねえ、先生の、こないだみたいな声、また聞きたい』岡林くんが、耳元で囁く。……目を閉じると、本当に彼がそばにいるみたい。『シャワー浴びたあとの先生の匂い、嗅ぎたいな……先生の首筋に、顔をうずめて、さ……ねえ、想像してみてよ』その言葉で、イタリアンレストランでの出来事が蘇る。岡林くんが、あたしの耳たぶを撫でるように触って、耳元で囁いて……『……っ』やだ、思い出しただけで、体がぞくっとする。『……先生? 息が、荒いよ?』うそ、電話って、そんなことまでバレちゃうの? 『ねえ、もっと想像してよ。俺の手が、先生の寝巻の下に潜りこんで、先生の大きな胸を、触ってるとこ。……先生の胸、柔らかいよね。乳首はきっとピンク色で……俺が、きゅってつまんだら、先生、どんな声出すのかな……ね、つまんでみて?』岡林くんの声は甘くて、あたしに不思議な魔法をかける。自分の手に、岡林くんの手が乗り移ったみたいに、勝手に動いて……『ん……っ! あっ、はあ……っ』胸の先っぽをつまむと、電流みたいなしびれが体を駆け抜けて、思わず声が出る。『ふふ、キモチいいんだね、先生……先生、かわいい』うそ……自分で触ってこんなに気持ちいいなんて、おかしすぎる。『先生、感じてるの? 俺、先生の下のほうも触りたい。ね、いいでしょ? 先生の太ももを、ゆっくり開いてさ……下着の中に、手を入れるの。……ほら、触ってごらん? もう、ぐしょぐしょに濡れてるじゃん……』『あっ……うぅ、い、いわないで……っ』あたしの指先は、岡林くんにいわれるがまま、自分の大事な部分に伸びて……『ね、いじってごらん? キモチいいんでしょ? 俺に、先生の声、聞かせてよ……』指先が、ぬるっとした秘裂をまさぐり、それからその上にある、大事な突起を――『あっ、あああ……っ、んっ、く……っ、はっ、あ、岡林くん……ッ』『先生……すごく可愛い声。俺も感じちゃう。もっと……もっと聞かせて……ッ』電話越しに、岡林くんの息遣いが聞こえる。浅く速く、熱っぽい息遣い。『ね、先生、俺、挿れたい……先生に、挿れたい。先生の中、もっと感じさせて……?』切なげなその声がたまらない。岡林くんの熱い声に刺激されて、あたしの指の動きが速くなる。『あっ、はっ、い……い……ッ、岡林くん、キモチ、いいの……もう、中が……っ、ああ、おかしくなりそう……んんっ、あああ……ッ!』『先生、もっと、俺、イキそう……っ』『はあっ、あっ、ダメ、あたしもっ、……んあっ、あっ、も、イク――!!』体がビクビクとわななき、快感が頭のてっぺんまで突き抜ける。……どうしよう、こんなの初めて……。自分の指で、イッちゃうなんて。達したあとの、心地よい体の重さに、意識が遠くなる。『先生……先生?』耳元で聞こえる岡林くんの声も、心地よくて、そして遠くなって……。
タオルで髪を拭きながら、冷蔵庫にあった缶チューハイを開ける。静かにしていると、ふいに、今まで気にならなかったお隣さんの物音が気になる。……ちらっと見えたあの間取りだと、うちのテレビを寄せてある壁の真裏に、新條くんのベッド……。今の物音、ベッドのきしむ音かしら……。そんな音、今まで聞こえたことあったかな? あたしのベッドは反対側のお部屋に面してるから、あたしがベッドで何してようが、新條くんにバレることはなさそうね。でも……シャワーの音は、たぶん新條くんちのキッチンの裏側あたり……。いつシャワー浴びてるのかとかは、バレてそう……? ……だめだめ、気にしちゃ。大丈夫よ、新條くん、今時のわりには真面目そうな青年だったし。
缶チューハイをハイペースで空にして、いい気分でベッドに潜りこもうとしたところで、突然携帯電話が鳴った。うそっ、病院からの呼び出しかしら? お酒飲んじゃったし、もうだいぶ眠いんだけど……。
と、思いつつ、着信を見ると。『岡林先生』だって。うわ、やっぱり、入院患者さんのことで何か病棟から連絡があって、その相談の電話かしら?
「はい、藍原です。どうしたの?」
『あ、先生、よかった。まだ起きてたんですね?』
「ちょうど寝ようと思ってたところ。どうしたの? 病棟から連絡でもあった?」
『あ、いや、そういうわけじゃなくて……』
? 岡林くんが、珍しくいいづらそうにしている。
『あの、さっき別れたとき、藍原先生が結構酔っ払ってたから、大丈夫かな、と思って』
え、あたしの心配をしてわざわざ電話をくれたの? うひゃあ、やさしいのね。……え、でも、待って。そういえば、楓ちゃんは?
「あたしは無事帰宅したわよ。ちゃんとシャワーも浴びて、さらに一杯飲んで、いい気分になってたところ。そっちこそ、楓ちゃんは? 大丈夫だったのかしら」
『はい、佐々木さんもちゃんと送り届けましたよ』
「……それで終わり?」
『ええ、もちろん。襲ったりしてませんよ』
電話越しに岡林くんが笑ってる。えーっ、襲ってほしかったのに。作戦失敗かしら……。楓ちゃん、へこんでないといいけど……。
『すみません先生、心配したつもりが、寝るところ邪魔しちゃったみたいですね』
「いいのよ。わざわざ気を遣ってくれてありがとう」
『ははは、気遣ったわけじゃないです。……わかるでしょ』
? わかるでしょって、何がかしら。
『先生、じゃあ……今、ベッドの中なの?』
「そうよ、あなたも早く寝なさい」
『……先生の声を聞いてたら、目が覚めてきちゃった』
「え?」
『ほら、先生の声が、直接耳に入ってくるでしょ? 今まで、そんな近くで先生の声聞いたことなかったし。……あ、一回あったかな。最初に先生に連れて行ってもらったイタリアンレストランで』
……? そんなに接近して話したこと、あったかしら?
『覚えてないんですか? 俺が先生のピアス直したとき。……先生のあのときの声、俺、覚えてますよ』
……! うわっ、思い出してきた! 岡林くんが突然あたしの耳たぶを触るもんだから、びっくりして、うっかり声が出ちゃったのよね。……うそ、ばっちり聞かれてたうえに、しっかり覚えてるなんて!
「そそそそんなこと、さっさと忘れて、寝なさい!」
そういって慌てて電話を切ろうとするあたしの耳元で、岡林くんが。
『待ってよ、先生。……もう少し、先生の声、聞いていたい』
! ……うう、不覚にもドキッとしたわ。そんなこと耳元で囁かれると、うっかりあたしの中のスイッチが、押されちゃうじゃないの……! ダメダメ、すでに岡林くんはあたしの脳内で大暴れ済みだから! これ以上はダメよ。
「岡林くん、やっぱり酔ってるでしょ。明日も勤務なんだから、もう寝なさいってば」
『無理。先生の声、色っぽいから、俺からは切れそうにない』
なんとか電話を切ろうとするけど、岡林くんが話し続けるから、申し訳なくてなかなか切れない。だいたい、岡林くんの声だって、充分色っぽい。……電話って、情欲をそそるアイテムだったのね。知らなかったわ。
『ねえ、先生の、こないだみたいな声、また聞きたい』岡林くんが、耳元で囁く。……目を閉じると、本当に彼がそばにいるみたい。『シャワー浴びたあとの先生の匂い、嗅ぎたいな……先生の首筋に、顔をうずめて、さ……ねえ、想像してみてよ』その言葉で、イタリアンレストランでの出来事が蘇る。岡林くんが、あたしの耳たぶを撫でるように触って、耳元で囁いて……『……っ』やだ、思い出しただけで、体がぞくっとする。『……先生? 息が、荒いよ?』うそ、電話って、そんなことまでバレちゃうの? 『ねえ、もっと想像してよ。俺の手が、先生の寝巻の下に潜りこんで、先生の大きな胸を、触ってるとこ。……先生の胸、柔らかいよね。乳首はきっとピンク色で……俺が、きゅってつまんだら、先生、どんな声出すのかな……ね、つまんでみて?』岡林くんの声は甘くて、あたしに不思議な魔法をかける。自分の手に、岡林くんの手が乗り移ったみたいに、勝手に動いて……『ん……っ! あっ、はあ……っ』胸の先っぽをつまむと、電流みたいなしびれが体を駆け抜けて、思わず声が出る。『ふふ、キモチいいんだね、先生……先生、かわいい』うそ……自分で触ってこんなに気持ちいいなんて、おかしすぎる。『先生、感じてるの? 俺、先生の下のほうも触りたい。ね、いいでしょ? 先生の太ももを、ゆっくり開いてさ……下着の中に、手を入れるの。……ほら、触ってごらん? もう、ぐしょぐしょに濡れてるじゃん……』『あっ……うぅ、い、いわないで……っ』あたしの指先は、岡林くんにいわれるがまま、自分の大事な部分に伸びて……『ね、いじってごらん? キモチいいんでしょ? 俺に、先生の声、聞かせてよ……』指先が、ぬるっとした秘裂をまさぐり、それからその上にある、大事な突起を――『あっ、あああ……っ、んっ、く……っ、はっ、あ、岡林くん……ッ』『先生……すごく可愛い声。俺も感じちゃう。もっと……もっと聞かせて……ッ』電話越しに、岡林くんの息遣いが聞こえる。浅く速く、熱っぽい息遣い。『ね、先生、俺、挿れたい……先生に、挿れたい。先生の中、もっと感じさせて……?』切なげなその声がたまらない。岡林くんの熱い声に刺激されて、あたしの指の動きが速くなる。『あっ、はっ、い……い……ッ、岡林くん、キモチ、いいの……もう、中が……っ、ああ、おかしくなりそう……んんっ、あああ……ッ!』『先生、もっと、俺、イキそう……っ』『はあっ、あっ、ダメ、あたしもっ、……んあっ、あっ、も、イク――!!』体がビクビクとわななき、快感が頭のてっぺんまで突き抜ける。……どうしよう、こんなの初めて……。自分の指で、イッちゃうなんて。達したあとの、心地よい体の重さに、意識が遠くなる。『先生……先生?』耳元で聞こえる岡林くんの声も、心地よくて、そして遠くなって……。
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