妄想女医・藍原香織の診察室

Piggy

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恋愛編

28話【seminar in Chiba】西園寺 すみれ:温泉(藍原編)②

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 息が乱れて空気を求めるあたしの半開きの口に、西園寺先生が、ゆっくりと舌を差し込んだ。そのまま覆いかぶさるように奥まで挿入し、大きく開かれた唇はあたしの唇を食べるようにむさぼる。

「せん……っ、んんっ、ふ……ッ」

 西園寺先生の舌は、熱くて、とても潤っていて、まるで生き物のように、あたしの口の中で激しく動き回った。

「んんっ、ふぅ、ん、んん――!」

 ねっとりとあたしの舌を絡めとり、蹂躙する。西園寺先生の豊満な胸があたしの胸に押し付けられ、湿度の高い湯気にまじって、西園寺先生の色香があたしの脳を麻痺させる。

「んん……はあっ、んっ、ふ……」

 西園寺先生の舌は強烈な快感であたしを誘惑し、いつの間にかあたしは、先生の動きに応えるように夢中で舌を絡ませていた。あたし、何だか、おかしい。こんなの違うって思ってるのに、体が受け入れてしまう。それは、西園寺先生が女性だから? 同じ女性だから、男の人とえっちするのとは違うって、どこかで思ってるから……?
 西園寺先生からは、甘い香りと、甘い味がした。とろけるような、濃厚な味。キモチいい。もっとしたい。もっとして。体が勝手にそういって、あたしの意思とは関係のないところで動いてしまう。男の人みたいな、服従させて支配しようとするような愛撫ではなく、包み込むような、夢見ごこちな愛撫。

「ああ……っ、はあっ、先生……っ」

 西園寺先生の舌と指にもたらされる快楽にすっかり翻弄されて、あたしは先生の頭を抱きかかえるようにしてキスをねだった。

「ふふ、やっぱり可愛いわね、藍原さん……。でも、キスばっかりしていたら、あなたの可愛い喘ぎ声が聞こえないわ……」

 先生はそういって唇を離すと、乳房をもてあそんでいた指をつつっと下へ動かして、あたしの茂みの奥の突起に触れた。

「ああ……っ!」

 ビクンと背中をのけ反らせると、水面に飛び出したあたしの乳房をすかさず先生の唇が捕らえる。そのまま乳首を口に含み、ねっとりと舌でねぶりながら、指先はぷっくりと膨らんで充血したあたしの突起を擦り続ける。

「ああ……っ! ダメ、せんせ、あ、んんっ、あっ、はあ……ッ」

 2か所から迫ってくる快感の波に、身の置き所がなくなってひたすらに体をよじる。ふたりきりの大浴場に、先生の舌先が奏でる卑猥な愛撫の音と、あたしの喘ぎ声が響く。いやだ、あたし今、すごくいやらしい……。反響する自分の声を聞いて、他人事みたいにそう思う。でも、止まらない。お湯の膜に阻まれていつもより鈍感なはずのあたしの突起は、西園寺先生の指でいとも簡単に高みへ押し上げられ、あたしは湯ぶねの中でバシャバシャと暴れた。

「はあっ、あっ、ああっ、だ、ダメです先生、も、ダメ、あっ、ああ――ッ!」

 先生の頭を胸に抱えたまま、両足を硬直させる。ひきつけを起こしたようにビクビクと体を震わせると、西園寺先生は満足そうにあたしを見つめた。

「すてきよ、藍原さん。やっぱりあなた、私と同じね」
「お……同じって……」

 息も絶え絶えに尋ねる。先生は、あたしの唇をぺろりと舐めていった。

「いやらしい体なのよ。快楽なしでは生きていけない、いやらしい体……」
「……そ、そんなことは……っ」
「じゃあどうしてあなたは、だれかれ構わず欲情しちゃうのかしら? セックスには愛が必要なんてきれいごといって、実際は、好きでもない岡林やあたしの愛撫でこんなに簡単に感じちゃうなんて、矛盾してると思わない?」
「……っ」
「ふふ。だからね、認めてしまえば、楽になるのよ? いったでしょ、心と体は別物。愛なんかなくたって、キモチのいいセックスはできる。だったら、好きな人としかセックスしないなんて、もったいなくてばかげてると思わない?」

 西園寺先生の言葉は、なぜだかいつも説得力がある。違うと思いたくても、思えない。それはやっぱり、あたしが、西園寺先生と同じだから……? 
 西園寺先生が、ちゅっとあたしに口づけた。

「ね? もっともっと、キモチよくしてあげるから……」

 止まっていた西園寺先生の指が再び動き出して、奥へ向かう。そこからヌルリと、あたしの中へ入ってきた。

「あ……っ!?」

 一度達して無防備になっていた部分に侵入されて、思わず腰が引いてしまう。

「うふふ、もう、ぐちょぐちょね、藍原さん。いったいどこまで溢れるのかしら、あなたの蜜は……?」

 先生の長い指が波打つように動き出し、あたしの壁をゆっくりと刺激する。

「あっ、やっ、あぅ……っ」

 ダメ、それ以上動いたら、あたしの弱い部分を、見つけられてしまう……!
 何とか先生の指を引き抜こうと手首を掴んだけど、先生はびくともしない。キモチよくて体に力の入らないあたしなんて、赤子みたいなもんだ。

「先生、も、やめてくださいっ、おねが……あああっ!」

 いい終わる前に、先生の指が奥深くにあるあたしの一番感じるところを探り当てた。思わず声を上げてしまったそのとき。

 ガラガラッ!

 突然大浴場の扉が開き、あたしは固まる。
 うそでしょ、女性の参加者はあたしたち以外にいなかったはず。もしかして、従業員の人……?
 扉のほうを見てみたけど、湯気でよく見えない。その人が近づいてくる気配がする。あたしは恐ろしくなって、顔を背けた。さすがの西園寺先生も、いったん動きを止めて様子をうかがっている。その人は、あたしたちには気づかない素振りで横を通り過ぎ、洗い場で体を洗い始めたようだった。
 シャワーの音に紛れて、先生があたしの耳元で囁く。

「お客さんが来ちゃったわね。何してるかバレたら、恥ずかしいわね……?」

 よかった、邪魔が入ったからこれで終わりにしてくれる――と思いきや。
 いきなり、あたしの中の指がグリグリと動き出して、あたしは思わず声を上げそうになった。

「ッ!! ……っ、先生っ、も、や、やめてください……ッ」

 小声で懇願するけど、先生の手は止まらない。

「声出したら、バレちゃうわよ?」
「んんん……っ」

 もう、ダメ、そこは……あ、シャワーの音が止んだ。……足音が、近づいてくる。ダメ、バレちゃうから、もう、やめて――
 湯煙の奥から姿を現したその人を見て、今度こそ、あたしは完璧に固まった。

 ど、どうして。

 どうして、西先生がここにいるの――!?
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