妄想女医・藍原香織の診察室

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恋愛編

22話【on the way to work】 新條 浩平:通勤電車(藍原編)

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 るるるんる~ん。明日からは、いよいよ温泉セミナー。温泉、大好き。楽しみだわ! 新しい研修医の東海林くんは、ちょっと調子がよすぎるところがあるけど、まあ病棟は安定してるし、土日を任せるのは問題なさそう。今日一日勤務が終わったら、荷造りしよ~っと。
 なあんて気分よく出勤しようと部屋を出たら。

 ガチャン。

 ばったり、新條くんと鉢合わせた。

「あら、おはよう。今日は早いのね」

 新條くんはいつも、あたしより30分くらい遅く家を出てるはず。朝偶然会うのは、あたしが遅刻しそうになったあの日以来2回目だ。

「ははっ、たまには授業最初から聞かないとなあと思って」

 つまり、今まではいつも遅刻だったってわけか。……まあ、大学生なんてそんなもんよね。

 いつかみたいに、一緒に駅まで歩く。

「あの、先生」
「なに?」
「……デートなんすけど、遊園地、行きたいっす」
「う……っ」
「う……?」

 はっ、いけない、思わず吐き気をもよおしてえづいてしまったわ!

「ああっ、いえ、何でもないの! 大丈夫よ、遊園地、行きましょう!」

 慌てて笑顔を作るけど……。よりによって、遊園地……。うう、トラウマが頭をよぎる……!

「……先生? 大丈夫ですか? 何か、顔色悪いですけど」
「だ、大丈夫よ……」

 そう、あのときと今とでは違うもの。むしろ、これを機会にトラウマを克服してみせる! それくらいの覚悟で臨むわよ!

 目の前に、相変わらず混んでるS線が入ってきた。今日はあたしが先に入る。こないだは、向かい合って立ったから、手が新條くんの股間に当たっておかしなことになったのよね。だから、今度はお互い同じ方向に向かって立てばいいのよ! おしゃべりできないのは何だか冷たい感じがするかもしれないけど、それが一番安全。そう、お互いのため……。……って。ちょっと。なんかちょっと、当たるんだけど……。

「……新條くん?」

 先に入ったから、新條くんがどこにいるのかよくわからない。斜めうしろを振り返りながら、小声で尋ねてみる。

「……はい」

 真後ろの、上のほうから声がした。やっぱり、ちゃんと後ろに立ってる。ということは……。

 もぞ。もぞもぞ。

 ちょうどお尻の上あたりに妙に硬いものが当たって気持ち悪い。新條くんのカバンかしら?

「ごめんなさい、ちょっと当たってる……」

 後ろ手に新條くんのカバンをよけようとしたら。

「あっ……ちょ、先生……」
「え?」
「や、やめてください……」
「え……ええ!?」
「し、静かに……」

 カバンだと思ったものは、そうじゃなかった。この素材は、カバンじゃなくて、もっとザラザラした……そう、ジーパン。ちょうど今朝、新條くんが履いてたような……って。うそでしょ。
 思わず、何度も触って形を確認。えっと、ジーパン素材で、ちょいカタで、幅と大きさは……そう、ヘチマくらい……。手の中で、ヘチマがピクリと動いた。

「ひゃっ!?」
「ひゃ、じゃないですよっ。だから、やめてくださいってば……!」

 耳元で、新條くんが囁く。だ、ダメ、耳はダメなんだってば! そんな、熱い吐息で、やめてなんていわれたら……。思わず、新條くんのヘチマをさする手に力を込める。優しくゆっくり擦ると、新條くんの息がだんだん荒くなってきた。『……はぁ、先生……ダメだってば、こんなところで……っ』あたしはそれには応えずに、後ろ手にそっとチャックを下ろして中に手を入れる。熱を帯びた新條くんのモノに触れると、新條くんはピクンと体を揺らした。『うう……ッ、せん、せ……』やがてモゾモゾとあたしの後ろで動く気配がして、次の瞬間、スカートの下から熱い手のひらが差し込まれる。『! ……し、新條くん……』上へ上へと這い上がるその手を抑えようと、反対の手で彼の手首を掴もうとするけど、力が足りない。彼の手はいったん腰のあたりまで上がり、そのまま下に移動してあたしの下着の中へ侵入する。そして、お尻の肉をやわやわと揉み始めた。『ちょ……新條くん……!』小声でいうけど、新條くんはあたしの耳元で浅く速い呼吸を繰り返してる。『先生が、悪いんだよ……。俺のを、まさぐるから……』新條くんの左手はそのままお尻の割れ目へと入っていく。うそっ、新條くん、こんなところで……。『ん……っ』あたしは思わず体をよじる。逃れようと体を引くと、追いかけるように、新條くんの下半身があたしに押し付けられた。新條くんのモノは、もうあたしの手から飛び出して、ズボンの外だ。新條くんが少しだけ腰を落として……『んん……っ!』新條くんの先端が、下からあたしのお尻をつついた。その一瞬で、火照った新條くんを直に感じ、あたしのアソコも一気に熱くなる。身震いするあたしの反応を敏感に感じ取って、新條くんの左手がより大胆にあたしの下半身をまさぐる。お尻の割れ目から奥へ進み、その指先が、あたしの中心に近づく。『んぅ……』思わずうめき声が漏れる。だめ、新條くん、周りに、気づかれちゃうよ……。『は……あっ、はぁ……ふ……』新條くんが吐息を漏らしながら、下半身をあたしにこすりつけてくる。どうしよう、そのうち隣の人に、気づかれてしまうかもしれない。こんなに静かな通勤電車の中で、あたしと新條くん、絶対、挙動不審だ。ああ、でも、そう思えば思うほど、鼓動が早くなって、体がもじもじしてくる。新條くんの手の動きに、勝手に腰が動いてしまう。押しつけたくないのに、まるで新條くんを求めるかのように、あたしも体を彼のアソコにこすりつけて……『はあっ……先生……!』耐え切れないとでもいうように、新條くんの中指が、するりとあたしの中心に滑り込んだ。そこはもうしっとりと濡れていて、思わずビクンと力の入ったあたしの内股が、新條くんの左手を挟み込む。『んんっ、し、新條……クン……っ! だ、ダメよ……んんんっ!』あたしの足に強く挟まれたまま、新條くんの中指がうごめいて、あたしの敏感になった突起に触れる。ああっ、だめ、声が出ちゃう。周りに、気づかれちゃう……! これ以上触られたらダメなのに、心とは裏腹に、触られるたびにビクビクと震える両足が、ますます新條くんの手を逃すまいときつく締めつける。新條くんの指はどんどん激しくなり、あたしの突起を何度も何度も擦って、あたしはもう下着の中に入った新條くんの左手を強く挟み込んだまま、自分のお尻を屹立した彼自身へと押し付ける。周りにはこんなにたくさんの人がいるのに、あたしの体は下半身から電流のように流れる快楽にぶるぶると小刻みに震える。ダメ、もう、我慢できない。バレるとか、恥ずかしいとか、気にしていられない。もう、もう――『ん、ん、んんっ……あっ、は……っ、だ、だめ、も、ンン――ッ』声を押し殺しながら、体を硬直させて――

「……先生……っ、い、痛い……」

 耳元で新條くんの声がした。

「え? い、痛い……? ああっ、ご、ごめんなさいっ!」

 やだわ! あたしったら、妄想に夢中になるあまり、形状確認していた右手を握りしめて、あやうくヘチマを潰すところだった!!
 あわてて手を離す。うう、またやっちゃった、あたしとしたことが、うっかり新條くんのヘチマをガッツリ握っちゃうなんて! しかも、握った記憶がないなんて……! もう、新條くんで妄想するのはやめようって思ってたのに……満員電車、危険すぎるっ!

「……先生。握るんなら、もっと優しくしてよ」

 耳元で、新條くんが呟く。ちょっと、またあたしの妄想スイッチ押そうとしてるんじゃないわよっ、耳は弱いんだってば!

「ご、ごめんなさいね、いったい何かと思って……っ。だ、断じて、わかってて握ったわけじゃないのよ!?」

 その気があるからわざと触ったんじゃないかって誤解されたら困るわ。いや、誤解されても仕方のないことをしちゃったわけなんだけど。ああ、あたし、墓穴掘ってるわね……こんなんで遊園地デート、無事乗り切れるのかしら……。
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