【悲報】ダンジョン攻略JK配信者、配信を切り忘れて無双しすぎてしまいアホほどバズって伝説になる

夜桜カスミ

文字の大きさ
上 下
21 / 96
第一部 第一章 異変

第21話 Side 轤弱?鬲皮・槭い繝「繝ウ

しおりを挟む
「ふーん、こんなことやってるんだ、繝舌い繝ォ繧シ繝悶Νは」

 深層最深域のとある一角で、手ごろな大きさの岩に腰を掛けて真紅の髪の少女は手に持ったスマホをぶらぶらと揺らしながら、そこに表示されている映像を興味深そうに見ている。
 いや、映像というよりスマホそのものに興味を持っているように見える。

「それにしても、これ面白いね。どんな原理? 暗闇でも光って、触れるだけで簡単に操作できる。こんなに小さくて薄いのに、音もしっかりある。ねえ、これどういう原理で動いているの?」

 岩の近くに目を向けながら訪ねる。そこには、炎の縄で体を縛られて悲鳴を上げ続けている若い女性がいた。
 少女の持つスマホはその女性のもので、衣服や装備品を捕らえた後に物色している時に見つけて、適当にいじいじと触っていたらよく分からないものが開いて、そこに今話題沸騰中の美琴の動画が上がってきたのだ。

「あ、ぐぅ……!」
「ねえ、質問してるんだけど。これ、どういう原理で動いているの」
「ああああああああああああああああ!?」

 質問すれど、返ってくるのは悲鳴と苦悶の声。
 欲しい答えが返ってこず、舌打ちをして炎の縄を操って首を強く締め上げて宙吊りにする。

「死にたくないんでしょ? だったら私の質問に答えなさい。それとも、ここで生きたまま回復かけられ続けながら焼かれたい?」

 感情のこもっていない目を向けながら言うと、女性は顔を青くさせて涙目になりながら頭を振る。

「じゃあ答えて。どういう原理でこの光る板は動いているの。ここに繝舌い繝ォ繧シ繝悶Νはいないのに、どうしてこんな小さな板の中には繝舌い繝ォ繧シ繝悶Νの姿が映っているの」

 炎の縄を首から外し、地面に投げ捨てる。
 あえぐように激しくせき込み、女性はか細く震えた声で話し始める。

「あ、あたし、も、詳しい原理までは知らないの……」
「あっそ。じゃあ死んで」
「ま、待って! 作った人より詳しくないだけで、ちゃんと説明できるから!」

 詳しくは知らないと言った途端、少女は壁に立てかけてある斧槍を持ち上げて、処刑人のように振りかざす。
 それを見た女性は大慌てで、制作者ほど詳しくはなくともある程度は説明できることを叫ぶように言い、少女を止める。

「せ、静電気を利用したタッチパネルで、パネルの中には縦と横にたくさんの行列があって、その表面に静電気があるの……! ゆ、指で触れるとその静電気を指が吸い取って、センサーがどこの静電気を吸い取られたか読み取って、触れた場所を特定して操作が実行されるの……!」
「ふぅん、静電気、ねえ。じゃあ、この小さな板の中に繝舌い繝ォ繧シ繝悶Νがいる理由は?」
「か、カメラで撮影した映像をインターネットに公開しているから……。映像で記録として残されているから、そこにいなくてもその時の状況を見ることができて、繰り返し見ることができるの……!」

 説明を受けながらいじいじとスマホをいじり、操作に慣れていく少女。
 変わらず左手には巨大な斧槍が握られており、女性はそれがいつ振り下ろされるのかと体をがたがたと震わせる。

「じゃあこれは繝舌い繝ォ繧シ繝悶Νをこの中に閉じ込めているんじゃなくて、過去の出来事を記録として保管しているってわけね。随分と面白いものね、気に入ったわ。これ、もらっていくわね」
「は、はい……!」
「それで、この下の方についている小さい穴は何?」
「じゅ、充電器を差し込む場所で、スマホは充電しないと動かなくなっちゃうんです……」
「充電器……あなた持ってる?」
「あ、あります! こ、これが充電器です! 魔力があればどこでも充電できる優れものです!」

 女性は必死に殺されるのを先延ばしするように、何なら気に入られて殺されるのを回避するように、少女の要求に全て応えていく。
 スマホアプリについて問われれば使い方を説明し、ダンジョンの外では何が人間に好まれているのか。
 服装は何が一番自然か。言語は何か。とにかく聞かれたことを全て、できる限り答えていく。
 ついでに少女の服装だと目立つと考え、女性に命令して全ての衣服を脱がせて自分のものにする。一部が少しサイズが大きいのは気に食わないが、そこは目を瞑ることにする。

「ニホンゴ……ニホンゴか。あなたの言語もニホンゴ?」
「そ、そうです。あ、あたしも、日本人なので……」
「へえ。じゃあ一個上の階の一番広い部屋にいた時にやってきた人が使ってたのも、ニホンゴなんだ。そのニホンジンなら誰でも使えるわけね。繝舌い繝ォ繧シ繝悶Νも、今はニホンジンなわけだ。……あぁ、ダメだ。どうしても彼女の名前は元の言語で言っちゃうな。慣れておかないと」

 少女の容姿は外国人のもので一目で日本人ではないことは明らかだが、かなり自然に日本語を使う。
 少女が下層最深域のボス部屋にいた時、まだイノケンティウスを作り出す前に若い数名の男女がやってきた。
 若い男は一人でボス部屋に立っている少女に気さくな感じで声をかけてきたが、少し失敗したなと思っている。
 今はこうして炎の縄で縛っている女性から色々と教えてもらっているが、あの時の男女を殺さずに生かしておけば、数時間前に入ってきた美琴ともう少し話せたかもしれない。

「色々と教えてくれてありがとう。おかげで少しは知りたいことを知れたわ」

 助かった。
 女性はそう感じて、希望に満ちた表情を浮かべる。

「じゃ、じゃあ───」
「もう用済みだから、死んでいいよ」

 向けられたその言葉に、女性はその表情を張り付けたまま絶望の底に叩き落とされる。
 すっと掲げられた左手から炎が出て、それが女性を包み込む。

「ああああああああああああああああああああああああああ!?!? 熱い、熱いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?!? どうしてえええええええええええええええええええええええ!?!?」

全身を焼かれながら地面をのたうち回り、絶叫する。

「どうしてって、言ったでしょ。もう用済みなの。いらないものは、ごみ箱に捨てないとね」
「嫌だああああああああああああああああ!?!? 死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない───」

 手にしたスマホと充電器を懐にしまい、少し上機嫌に軽い足取りでその場から立ち去る少女。
 その背後から死にたくないという絶叫が繰り返されたが、しばらくしてお母さんと一際大きな悲鳴が響いてからぱたりと止まった。

「はー、うるさかった。これだから弱いやつは嫌い。やっぱり私を満たしてくれるのは永遠のライバルの繝吶Μ繧「繝ォと、そして繝舌い繝ォ繧シ繝悶Ν、あなただけ」

 スマホの画面に映し出されている、イノケンティウスを消し飛ばし、ついでにあの部屋の大部分を破壊した動画を観て、ぞくぞくと体を震わせる。
 頬を赤らめて表情は恍惚としていて、幼さのある顔なのに色気が溢れている。

「あぁ、繝舌い繝ォ繧シ繝悶Ν。早くあなたと逢瀬を繰り広げたい。鉄と鉄のぶつかる音、飛び散る熱い血潮。命の削り愛を全身全霊で愉しみたい……!」

 女性の絶叫と焼ける臭いに釣られてきたのか、少女の背後から大量のモンスターが雄叫びを上げてやってくる。
 だが少女は一切振り向くことなく、さっと左手を埃を払うように小さく振るだけで、全てのモンスターを炎で包んで一切合切を灰塵と為す。

 モンスターの雄叫びが瞬く間に断末魔へと変わり、体を崩壊させて消滅し、炎が焼く音も消える。
 残されたのは炎で焼かれて溶岩と化した地面と、こつこつと少女が音を鳴らして歩く音だけだった。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

削除予定です

伊藤ほほほ
ファンタジー
削除します

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら
ファンタジー
 主人公小野隼人は、高校一年の夏に同じクラスの人と異世界に勇者として召喚される。  勇者は召喚の際にチートな能力を貰えるはずが、隼人は、【身体強化】と【感知】と言うありふれた能力しか貰えなかったが、しぶとく生き残り、10年目にして遂に帰還。  しかし帰還すると1ヶ月しか経っていなかった。  更に他のクラスメイトは異世界の出来事など覚えていない。  自分しか能力を持っていないことに気付いた隼人は、この力は隠して生きていくことを誓うが、いつの間にかこの世界の裏側に巻き込まれていく。 これは異世界で落ちこぼれ勇者だった隼人が、元の世界の引き継いだ能力を使って降り掛かる厄介ごとを払い除ける物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

【掲示板形式】気付いたら貞操逆転世界にいたんだがどうすればいい

やまいし
ファンタジー
掲示板にハマった…… 掲示板形式+αです。※掲示板は元の世界(現代日本)と繋がっています。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

嫌われ魔眼保持者の学園生活 ~掲示板で実況スネーク活動してるんだけど、リアルで身バレしそうwww~

一樹
ファンタジー
嫌われ者が趣味で楽しくおもしろく過ごす話です。

処理中です...