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第5章 解雇
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「失礼な奴だな、と怒りたいところだが、この格好では致し方ないか」
「――その声は、もしや西園寺オーナー?」
「ああ。そうだ」
まさかまさかだった。
「変身後の王子役ではなかったのですか?」
「夏乃お嬢様の反乱よ」
答えたのは西園寺オーナーではなく樫野チーフだった。
どうやら、恋人宣言が相当お気に召さなかったらしい。いつもは女性陣だけに向けられる敵意が、今回は西園寺オーナーまで及んだのだという。
「全く、分かり易いお嬢様だわ」
樫野チーフが苦笑いを浮かべると、「子どもだからな」と西園寺オーナーが言う。
特殊メイクのせいで表情は分からないが、声の調子で面白がっているように思える。
もしかしたら、西園寺オーナーってコスプレ好き? 変な妄想が脳内を飛び交い、笑いが込み上げてきた。だが、「何を笑っている」と問う西園寺オーナーの声で我に返る。
「しっ、しかし、本格的なメイクですね」
誤魔化すように言うが、冗談ではなく本当に野獣その者に見える。
「ハリウッドから呼び寄せられた奴がやったからな」
呆れることに、そのメークアップアーチストは西園寺オーナーのためだけに飛んで来たのだという。
「開いた口が塞がらないか?」
呆ける私を西園寺オーナーは嗤うが……当たり前だ。なんたる無駄遣い!
「しかし、お前もそうやっているとまともに見えるな」
「まともって……失礼な!」
ムッとするが、寝転がったままの状態なので全然サマにならない。
そんな私を西園寺オーナーの顔が見下ろす。そして、ニッと意地悪な笑みを浮かべて「白雪姫は王子のキスで目覚めるんだったな」と言い、顔を近付けてきた。
「ちょっ、ちょっと何をするつもりです! ふざけないで下さい」
慌てて起き上がろうとするが、樫野チーフが「ちょっと待ったぁ!」と止める。
「――その声は、もしや西園寺オーナー?」
「ああ。そうだ」
まさかまさかだった。
「変身後の王子役ではなかったのですか?」
「夏乃お嬢様の反乱よ」
答えたのは西園寺オーナーではなく樫野チーフだった。
どうやら、恋人宣言が相当お気に召さなかったらしい。いつもは女性陣だけに向けられる敵意が、今回は西園寺オーナーまで及んだのだという。
「全く、分かり易いお嬢様だわ」
樫野チーフが苦笑いを浮かべると、「子どもだからな」と西園寺オーナーが言う。
特殊メイクのせいで表情は分からないが、声の調子で面白がっているように思える。
もしかしたら、西園寺オーナーってコスプレ好き? 変な妄想が脳内を飛び交い、笑いが込み上げてきた。だが、「何を笑っている」と問う西園寺オーナーの声で我に返る。
「しっ、しかし、本格的なメイクですね」
誤魔化すように言うが、冗談ではなく本当に野獣その者に見える。
「ハリウッドから呼び寄せられた奴がやったからな」
呆れることに、そのメークアップアーチストは西園寺オーナーのためだけに飛んで来たのだという。
「開いた口が塞がらないか?」
呆ける私を西園寺オーナーは嗤うが……当たり前だ。なんたる無駄遣い!
「しかし、お前もそうやっているとまともに見えるな」
「まともって……失礼な!」
ムッとするが、寝転がったままの状態なので全然サマにならない。
そんな私を西園寺オーナーの顔が見下ろす。そして、ニッと意地悪な笑みを浮かべて「白雪姫は王子のキスで目覚めるんだったな」と言い、顔を近付けてきた。
「ちょっ、ちょっと何をするつもりです! ふざけないで下さい」
慌てて起き上がろうとするが、樫野チーフが「ちょっと待ったぁ!」と止める。
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