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第2章 愉快な仲間たち

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行きつけだという居酒屋ダイニング“猫のトール”は、マミさんが勧めるだけあってとてもお洒落な店だった。

「凄い水槽ですね」
「でしょう! ここにいる魚たちは全部食べられるのよ」

店内は回転寿司店のようだったが、ちょっと違うのは、目の前にあるのが流れるレールではなく高さ一メートルほどの水槽だということだ。そこに色とりどりの魚が泳いでいた。

しかし、上手に名付けたものだ。“猫のトール”……和訳すれば“猫の尻尾”となる。ということは、我々客は魚に釣られてフラフラと入ってきた猫というところだろうか――と考え、ハッとする。

こんなつまらないことを真面目に考えるとは……私としたことがと自嘲する。

「あの毒々しい色の魚もですか?」

まぁ、それもたまにはいいだろうと思っていると、目の前を見慣れない青い魚が過ぎていく。

「ああ、あれはブダイという種類の魚。沖縄でよく食べられる魚よ。お刺身がオーソドックスね。ああ見えて味は淡泊であっさりしているのよ。美味しいわよ。食べてみる?」

常連だけあって、マミさんはかなり魚のことに詳しいようだ。

農学部だった私は魚そのものに関心を持ったことはなかった。だが、これを機に魚についてのアレコレを調査するのも面白いのではと思った。

「注文はマミさんにお任せします」
「そう? じゃあ、適当に頼むわね。飲み物は?」
「ウーロン茶を」
「あら、飲まないの? 飲めないの?」
「飲めないんです」

私とて人間だ。過去、一度だけ飲酒の上で過ちを冒したことがある。

ただ、若い女性が朝チュンで、見知らぬ男性の腕の中だった。などというラブロマンスめいたオチではない。目覚めたのは警察の檻の中だったというサスペンスじみたオチだ。
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