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プロローグ
しおりを挟む「……」
手紙に綴られた内容に私は言葉を失った。
今日もまたいつも通り畑仕事に向かう為の支度をしていた。
2年前に私は、王都にある屋敷から追い出され、地図にも載っていない様な辺境の地へと送られた。
当時はどうなる事かと思っていたけれど、やって来た時には到底想像もつかない程、今はすっかりこの田舎での生活にも慣れてしまった。だからこれからもずっとこの村でのんびり生きていくのだと思っていた。
……その手紙が届くまでは。
1度も役目を成す事は無いだろうと思っていたポスト。
だから封筒が入れられているのを見た時には目を疑った。
間違えて配達されたのかな…?
そう思い、私はすぐ様宛先を確認した。
宛先はしっかり私の名前が記されていた。
そして差出人の名前を見て、私は目を見開く。
すぐ様封を切り、わたしは
更に便箋に綴られた文に目を通せば、私は言葉を失った。
【久しぶり、元気にしてるかな? 突然の手紙で驚かせてごめん。けど、どうしてもイレーナに報告したくて手紙を送りました。実は1週間後に式をあげる事になった。本当はもっと早い段階で報告したかったんだけど躊躇ってた。君には、酷い行いしてしまったから】
その手紙の送り主。
それは、2年前に婚約破棄を言い渡された元婚約者、セシルからのものだった。
酷い行い。
それは恐らく婚約破棄を示しているのだろう。
内容は更に続く。
しかも、とんでもない方向へと。
【けど、今でもイレーナの事を1番の友人だと思ってる。だから結婚式に招待したいと思った。そして君に、私の友人代表として挨拶をお願いしたいと思ったんだ】
その言葉に目を通した瞬間、封筒から1枚の紙がヒラリと地へと落ちてゆく。
それは私の名前が記されたカード……所謂結婚式への招待状。
私は思わず封筒をグシャリと握りしめてしまった。
落ちた招待状を手に取り、私は盛大な溜め息をこぼした。
【迎えの馬車をそちらまで向かわせる。イレーナとまた会えるのを楽しみにしている】
そしてその文字の後には迎えの時刻と日付が記されている。
…どうやら私に拒否権は無いらしい。
再び盛大な溜め息がこぼれ、私はその場にしゃがみ込む。
「……私、貴方のことを友人だなんて思った事は1度もないんだけど」
そして小さく呟いたその言葉は、静寂の中へと溶けていった。
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