女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜

流雲青人

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20 アリアside

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 漸くプレセアが私の方を見てくれる。
 そう思っていたのに、実際彼女は私の前から忽然と姿を消してしまった。

 __私がルイスから告白されたあの日から。

 長期休暇に入る数日前から学校を休んでいた。だから長期休暇中のプレセアの予定は分からない。
 本当はたくさん遊びたかったんだけど……。

「え、プレセアが風邪で寝込んでた!?」

「あ、あぁ」

 突然学生寮に訪れてきたルイス。
 正直、もう彼のことなんてどうでも良かったけど、プレセアの事を教えてくれたのは少しだけ感謝しておく事にした。

「なんでもっと早く教えてくれ無かったの!?」

「す、すまない。俺も昨日初めてしったから……」

「もしかしてプレセアと直接話したの?」

「そ、そうだが……」

「私の事、何か言ってた?」


 恐る恐る私は尋ねた。
 プレセアは今何を感じて、考えてるんだろう? やっぱり私のこと、たくさん考えてくれてるのかな?


「え、いや、特には......」


 その言葉に唖然としてしまった。
 そんな事ある?だって私、プレセアの大切な人を奪ったんだよ?

 私は寮を飛び出した。
 こんな所でルイスと話している場合じゃない。
 取り敢えず、プレセアの家に行こう。会わせてくれるわけないだろうけど、何もせずに部屋に閉じこもってなんていられなかった。


 そしてプレセアの住むお屋敷にやって来た私。
 勿論、結果は予想通りだった。
 それどころか知らない女に頬を叩かれた。
 私がアリアだと名乗ったら、突然右の頬に痛みが走った。
 どうやら私がプレセアから婚約者を奪った忌々しい女だと知ってるみたい。
 彼女が私を見る瞳には、怒りの感情で溢れていたから。


「神経を疑うわ!プレセアにあれだけ酷い事をしておきながら会いに来て....!しかも謝りたいですって!?もう二度とプレセアにその顔を見せないでちょうだい!」


 まぁ、こうなることは想定内だったし、特に驚きはしなかった。
 長期休暇に入ってしまったせいでプレセアには会えなくなったけど……長期休暇が開ければまた会える。
 こんなにも早く学校が始まらないかな~なんて思ったことも、浮き足立ったことも無かった。

 特待生として学園に入学したからには成績は維持しなければいけない。
 だからこの長期休暇は勉学に明け暮れることにした。

 そんなある日、難題にぶつかってしまった。
 先生が特待生全員に課した特別な課題。
 その問題は応用の応用……といってもいいくらいに難しくて私は頭を抱えていた。

「はぁ、仕方ない。先生に教えてもらおーと」

 分からない問題があれば職員室においで、と言っていた先生のことを思い出して私は渋々学校へと向かった。
 長期休暇中だと言うのに部活動にはげむ生徒達の声があちこちから聞こえてくる。
 こんな暑い日に元気だなー…なんて思いながら職員室へと向かっていると。


 一瞬、視界に映った後ろ姿。
 見間違えるはずなかった。

 私は直ぐにその背中を追った。


「プレ……!!」


 けど私はその言葉をのみこんだ。
 それどころか私は息を潜めて物陰に隠れた。


「リヒト先輩、すみません。運ぶのを手伝ってもらってしまって……」

「うんうん。というか、僕が沢山お願いしすぎたのも悪いし」


 やっぱりプレセアだった。
 けど……隣にいるのは誰?

 私はこっそりと二人の様子を伺う。
 籠いっぱいに入った薬草を抱えるプレセアと知らない男。私の知る限りプレセアに男の友人はいないはずだけど……。

 楽しそうに笑うプレセアに私の中に怒りの感情が湧き上がった。
 だって婚約を解消された後。しかも、友達にその大切な婚約者をとられた後だというのに、プレセアは知らない男と楽しそうに過ごしている。普通、そんな直ぐに立ち直れるもの?

 私の知る限りプレセアは、本当に心からルイスを愛しているように見えた。
 だからそんなルイスを奪ってしまえば、もっとプレセアは私を見てくれる。愛してくれる……と思っていたのに。寧ろ私のことは眼中にない……ってことなの?

 焦操感にかられ、鼓動が早くなるのが分かる。
 どうしよう……どうしたらいいの?
 そもそも、あの男は誰なのよ。
 私からまた、プレセアを奪うの?


 拳に自然と力がこもった時だった。


「おいおい。あの子、またあいつと居るぞ」

「本当だ。というか、知らないのかな。あいつの噂」

「あー、確かに。だったら教えた方が……」



 聞こえてきた上級生の話し声。
 とっても……興味深い話だと思った。
 だから私はプレセアを追うのを辞めて……




「すみません。その話、詳しく聞かせて貰ってもいいですか?」



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