烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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パン屋がやってきた編

53 モンスターと遭遇

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 森の探索を初めて30分が経った。
 幻の食材というものとはまだ巡り会えては居ないけど、その代わりに沢山の木の実を手に入れることが出来た。

 「こういう時に収納ボックスが使えたらいいんですけどねー」

 「収納ボックス……?」

 「魔法の1部で、名前の通りこういうアイテムを収納出来る魔法の事なんです」

 「そんな魔法もあるんですね!」

 収納ボックスか……。
 確かにあったら便利そうだ。
 私も使えたりしないかな。そしたらきっと楽だろうに。

 「いつか習得したいですね」

 そう私が言えばユウさんが笑った。

 「俺には魔法はよく分かりませんけど、エデンさんなら出来ちゃうんじゃないですか?」

 お世辞かもしれないけど嬉しかった。
 本気で収納ボックスを使えるように頑張ってみようかな
 取り敢えず村長さんに帰ったら聞いてみることにした。

 ガサガサ ガサガサ

 葉っぱと葉っぱがぶつかり合う音がして、私は足を止めた。

 「待って下さい」

 「どうかしましたか?」

 「この先にモンスターがいます。見た所Cランクですけど数が多すぎます」

 この森にいるのは新米ハンターでも倒せるCランクのモンスター。
 だけどCランクのモンスターが群れを作り新米ハンターに接触すれば新米ハンターは負けてしまう確率が高い。

 「ユウさんは私の後ろへ下がっていてください」

 私がそう言えばユウさんは頷き後ろへと下がる。
 数は10は居る。でも仲間を呼ばれたら次々に湧いてくると思う。
 なので仲間を呼ぶ前に倒してしまうのがモンスターの群れ戦う時のポイントだと村長……いや、ギルドマスターは言っていた。
 

 ぐるるるるるっ

 威嚇する様な鳴き声が聞こえてきた。私は構えようとした時モンスターが現れた。しかも特大サイズ。こんなに大きいモンスターがこの森に居る事にも驚いた。けど1番驚いたことと言えばそのモンスターがBランクのモンスターだった事だである。
 
 鋭い牙にギラついた大きな瞳と黒い体。
 逆だった毛並みのせいか体がとても大きく見える。
 それに口からは大量の唾液が溢れ出ており、禍々しいオーラが溢れ出ているように見えた。
 戦いは避けたいけど、戦わなかったら私もユウさんもモンスターのご飯になってしまう。

 モンスターは大きく吠えた後、私の方へと直進してきた。
 大きく口を開けるモンスター。
 私はこの一ヶ月で生み出したある魔法技を使う事にした。

 「いでよ、魔剣!」

 そう私が言えば私の手元に銀色の剣が現れた。
 これは私の魔力で生み出した魔力の塊の剣。
 だから魔剣である。

 私は魔剣を振り上げた。
 モンスターはそれを危機一髪で避けたがその拍子にバランスを崩した。
 大きな隙が出来たので、私は思いっきりモンスターへと剣を振り下ろした。
 



 *************




 「エデンさん、ほんと凄かったです!!」

 モンスターとの戦いを目の前にしたユウさんは更にキラキラと輝いた瞳でそう言った。興奮しているのかよくそれが伝わってきて、思わず笑いが零れた。

 「でも変ですね……ここにBランクのモンスターがいるなんて……取り敢えずギルドに持っていきたいので申し訳ありませんが幻の食材はまた次の機会に探しに来ましょう。ユウさん1人でここに残るのも危険ですから」

 「分かりました」

 何だか申し訳ないけどこれは仕方ない。
 だって普通は居ないはずのBランクのモンスターが出たって事はこの森で何かが起こっている……という訳で……そんな危ない森にユウさん1人を置いていく訳にはいかなかった。

 私は倒したモンスターへと視線を投げる。

 一体この森で何が起こってるんだろう……?

 
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