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魔導師の集い編
28 グランジュエの舘へ
しおりを挟む「エデンさん、魔導師の集いに招待されたんですか!?」
ギルドのカウンターでこのギルドの唯一の受付嬢であるメルさんが大声を上げた。幸いギルドの中には私とメルさん、それとアンくんとルカしか居ない。ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、カウンターから身を乗り出すメルさんに私は戸惑う。それにメルさんの反応から、この魔導師の集いというものはかなり有名なものらしい。
「えっと、これを渡されたんです」
私は招待状をメルさんに差し出す。
メルさんはその招待状を見つめるなり、大きく目を見張った。
「あわわわわわ! これが魔導師の集いへの招待状! エデンさんはやっぱり凄いです! 私、尊敬します!」
一気にテンションが上がるメルさん。
よほど凄いものみたい。
だけど私にはその凄さが全く分からないのだ。
なので……
「魔導師の集いって何なんですか?」
ギルドへ足を運んだ理由。
それはメルさんにこの魔導師の集いとは何かを聞くためだった。
私の言葉にメルさんが苦笑を浮かべる。
相変わらずですねー、なんて言われてしまった。
「いいですか、エデンさん! 魔導師の集いとは大魔導師であるグランジュエの催す選ばれた魔導師しか参加出来ないいわゆるパーティーのようなものです」
「なるほど」
「でも、噂によるとグランジュエは人の秘密を見透かす力がある……なんていうものがあるんです。まぁ、噂なんですけどね」
噂だとしてもちょっと怖い噂だなと思ってしまう。
だからあの人は私がSランクの魔導師で、なおかつディグラード家の元令嬢だというのが分かったのか。
それにあのセリア様にそっくりな女の子。
セリア様に妹が居る……なんて話は聞いたことが無い。
だとしたら嘘?
でもあれほど綺麗なシルクみたいな髪色、ルビーみたいな赤い瞳はそう簡単には居ないと思う。
「……さん! エデンさん!」
「は、はい! 何ですか?」
「大丈夫ですか? 上の空でしたけど……」
あれ? 私……ボーッとしてた?
慌てて何でもないですよ、と返せばメルさんが心配そうに私を見つめた。
「それでエデンさんは参加なさるんですか?」
「はい。その……しなきゃいけないんです」
「そうですか……。でも、この集いに参加出来るのは本当に凄いことなんです! だから、堂々と胸を張って参加して来て下さいね」
メルさんがニコリと微笑む。
揺らいでいた気持ちが少しだけ落ち着きを取り戻した気がした。
「それとエデンさん。なんか……お仲間増えましたね」
********
ギルドを出て家に戻った後、私は開くことを拒んでいた招待状をやっと開けることが出来た。
『エデン・ディグラード様へ
貴方様のような魔導師と会えること、とても楽しみにしておりす! なにせ冒険者ランクSランク。それにステータス全てが1000。それに、ディグラード家のご令嬢!!
私は貴方ほどとても素晴らしい素材は見たことがありません! 魔導師の集いの場でより深い話が出来るのを楽しみにしています
開催日は明日の午後8時
場所はグランジュエの舘で行います
な舘まではこの招待状が案内します
大魔導師グランジュエ』
招待状には規則正しい綺麗な文字でそう書かれていた。
その人の秘密を見透かすというのは本当みたい。
Sランク、ディグラード家の令嬢という以外にもまさかステータスの件についても知られていたなんて……。
私は大きなため息を吐く。
そんな私を心配してか2人が私の顔を覗き込む。
「お師匠? 大丈夫?」
「私、エデンさんが心配です。無理しないで欲しいです」
「ごめんね。心配かけちゃって……」
「私がそのグランジュエの舘まで二人を運びます!」
「じゃあ俺はお師匠のサポートする」
「アンくん、ルカ…………ありがとぉぉぉ!」
二人の優しさに思わず私は2人を抱き締めた。
アンくんは恥ずかしそうに顔を赤くし、ルカは嬉しそうに笑っている。
私って本当に恵まれてるな……。
セリア様に婚約破棄されて、それでステータスが全部マックスの1000になって……それからいろいろな人に出会って……。
そう言えばミレイは元気にしてるかな?
結局ミレイとはあれっきり会えていない。
手紙を送ろうかと思ったけど、私はミレイの住んでいる場所。それどころかミレイの家柄のこともよく分かっていないのだ。
いろいろ落ち着いたらまた王都に行こう。
そしてミレイを探そう。
それでもし会えたら沢山話したい。
話したいことが山ほどあるのだ。
「よし! 」
「お師匠?」
「エデンさん?」
急に立ち上がり、大きな声をあげた私に2人は驚いたのか目を丸くした。
私は二人にごめんごめん、と謝罪する。
「アンくん、ルカ行こっか。グランジュエの舘に!」
厄介事を全部片付けるだにもまずはこの魔導師の集いという厄介事を片付けないとね。
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