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一緒にダンジョン編
18 クエストを受けに
しおりを挟むギルドに来た私とアンくんは早速ステータス測定を始めていた。
メルさんが石版を持ってきて、アンくんへと向ける。
アンくんはその石版へと手を置く。すると青白い光が飛び出し、文字を描き出した。
体力 780
精神力 600
防御力 800
攻撃力 800
魔力 200
素早さ 900
「えっと普通に凄い……よね?」
私の問いかけに頷くメルさん。
竜人って言うこともあるからか全体的にどのステータスも高い。竜人は魔力があまりないと聞くけど、本当だったみたい。
私はアンくんのステータスを凝視する。
精神力が他よりも劣ってる。
魔力は仕方ないとして、戦いには精神力は必要不可欠。
アンくんには精神力を鍛えてあげる事にしよう。
私はアンくんの方へと向き直る。
「アンくんに足りないものは精神力。 精神力が無ければどんな戦いだって負けてしまうと思う。 という事で、精神力を鍛えましょう」
「え、それが稽古なの!?」
「そんなに驚く? 立派な稽古だと思うけど?」
納得がいかなさそうな表情だな。
なら、これでとうだ……!
私はとある作戦を始めることにした。
額に手をつき、そっぽを向いて
「今のアンくんの精神力じゃ……私のきつーい稽古に挑戦するのは無理があると思うんだけどなー」
なんて煽ってみる。
すると
「わ、分かった! それならやる!」
見事に引っ掛かってくれた。
笑いそうになるのを必死で堪える私。
やっぱり子供だなーと思ってしまった。
「そう言えばアンドレ君っていくつなの?」
メルさんが不思議そうに尋ねた。
「竜人って見た目の割には歳をとってるって聞きますし」
「え、そうなんですか!?」
「はい。結構有名な話ですよ」
知らなかった……。
思わずあんぐりとしてしまう私。
という事はアンくんはもしかしたら百歳ぐらいかもしれないっていうことだろうか? それだったら美少年通り越しちゃう気がする。
アンくんを横目に私はアンくんを凝視する。
百歳歳には見えないけど……それは見た目だけ?
深まる竜人の謎にドキドキしてきた。
今思えばこうして人間とはまた違う生き物に関しては考えた事無かったように思える。いろいろな生き物がこの世界に居ることはもちろん知っていたけど、あまりは詳しくはしらない私にとっては大変気になるものだった。
「俺は二百歳だけど?」
「「二百歳!?」」
私とメルさんの声が重なった。
「多分だけど……人間で言うなら十二、十三ぐらいの歳に当たるんだと思う」
「竜人って皆そんなに長生きなの? 人間で言うなら二百年って相当な時間だよ?」
「竜人と人間の時間感覚はかなり違うんだよ。だから二百歳は凄いとは言えない気もするんだけど……でも、俺の住む村にばぁば様っていう人は竜人の中でも格が違う。だってその人に限っては今年で二千歳だしね」
「「二千歳!?」」
またまたメルさんと私の声が重なった。
長生きにも程があると思う。
人間でも百歳生きれるかどうかなのに。
「なんか……竜人って凄いね。やっぱり人間とは格が違うというか……なんと言うかびっくりした」
「そうですね。私もアンドレ君に会うまで竜人には会ったことがありませんでしたし、何だかこうして別の種族の人と話せる事は貴重ですね」
「そうだ、メルさん! アンくんにも冒険者カードを作ってくれませんか? それと二人で行けそうな依頼を受けたいんですけど」
私の言葉に一瞬メルさんが目を丸くする。
そんなメルさんに私は首を傾げた瞬間、いきなり手を捕まれた。
私は思わず苦笑を浮かべた。
何故か目の前にいるメルさんがキラキラした瞳で私を見ていたからだ。
「アンドレくんのステータスはSランクです! エデンさん、アンドレくん共にSランクなので超難関なクエストを受けることができます!!」
「そ、そっか……」
「しかも! 超難関クエストですから報酬はがっぽり! それに……クリアしてもらえればこのギルドの評価も上がりますし……ふふふふ」
見てはいけないものを見てしまった気がする。
仕事に対するメルさんの熱が凄く伝わってきた。
「アンドレくんの冒険者カードを作っている間にクエスト一覧を見ていて下さいね」
差し出されたのはクエスト一覧と書かれた綴りだった。
早速一ページ捲ってみる。
「退治系が多いなぁ……アンくんはどんなのがいい?」
「うーん。強くなれるやつがいい」
なんて安直な。
そう思ったけど、言葉には出さなかった。
さらにページを捲っていく。
「うーん……どれも報酬は良いんだけどモンスター退治なんだよなー」
頭を悩ませる私。
出来るだけ戦いは避けたいんだけどな。
そう思った時だった。
「決まりましたか?」
メルさんがカードを作り終え、戻って来た。
「それがまだ……。あの、オススメってありますか? 初めてのクエストで迷っちゃって……」
そんな私の言葉にメルさんがパッと表情を明るくさせ……
「ならオススメがありますよ!!」
と、ある意味少し不気味な笑みを浮かべ、メルさんが私達へと差し出したのは【パーティ仮メンバー】というものだった。
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