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謎の依頼編
13 冒険者(仮)になりました
しおりを挟む「じゃあ気を取り直してステータス測定しちゃいましょう」
「あの……ステータス測定ってどうしても必要何ですか?」
「それはですねステータスによってランクがあり、そのランクによって受ける事の出来る任務が変わってくるんです」
「な、なるほど」
冒険者についてはまだまだ知らない事ばかりだな……
ステータスによってランクが変わるって言うのは初耳だった。
ん? ステータスによってランクが変わる??
またまた嫌な予感がした。
「では早速測っちゃいましょうか。エデンさん、石版に手を乗せてください」
「は、はい」
何でだろう。妙に緊張する。
いや、でも……もしかしたらステータスが元に戻っているという可能性もあるかもしれない。
まぁ、どっちにしろいつかはバレてしまう事。
ならいっそ今この機会にバラしてしまった方がいいのでは?
私は石版に手を置いた。
ドキドキと心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
石版は青白い光を放ち、私のステータスを描きだした。
体力 1000
精神力 1000
防御力 1000
攻撃力 1000
魔力 1000
素早さ 1000
観察力 1000
変わってもなければ何か新しいの増えてない!?
観察力という新しいステータス要素が増えていた。
しかもマックスの1000である。
これには私も、もちろん他の4人も唖然としていた。
「マスター! 私、1000の人なんて初めて見ましたよ。それに……観察力?」
「俺もだ……長年冒険者を職として生きてきたが初めて見た」
「いやいや! 石版の故障じゃないのか!?」
ロキさんの突っ込みに、そうなるよねー と心底思った。
だって1000のステータスの人なんて普通はいないもん。
私は直ぐに石版から手を離す。
「エデンさんはSランク……いいえ、SSSランクですよ!」
「なんかS多くないですか!?」
私の突っ込みにメルさんはグッと言葉を飲み込んだ後、いいえと首を横に降った。
「ステータス1000でSランクなんて勿体ないです! Sランク基準は六つのステータス要素の内、四つが700越えの人なんです。それをエデンさんは大きく上回っている! Sランクなんかじゃ勿体ないですよ! 私、今直ぐにでもSSSランクを作れないかギルド協会に訴えに行きます! 」
「いやいやいやいや! そこまでしなくて大丈夫ですから!」
私は慌ててメルさんを止めに入る。
止めなきゃ本当に訴えに行ってしまいそうだった。
てかそんなステータスを持ってるとバレたら私の自由でのんびりとした生活が送れなくなってしまう。それにお父様に見つかってしまう確率だって高くなる。それだけは避けたい。
「メルさん。私はSSSランクなんて望んでませんし、本当はCランクぐらいで十分なんですが……」
「本気で言っているんですかエデンさん!?」
「それに私は……のんびり自由に過ごしたいです!」
あと…………見つかりたくない。
どちらかと言うと後者の方が大きな理由だったりする。
そんな私の気持ちがようやく届いたのかメルさんが諦めの体制に入った。
私はホッと胸を撫で下ろす。
「でもなエデン。このステータスに関しては俺は興味と驚きしかない。まず、ステータス1000というところ。そしてユニークステータス要素についてだ」
村長さんの【ユニークステータス要素】という言葉に私は首を傾げた。
専門用語すぎて私にはサッパリだ。
そんな私を見て村長さんが白い歯を見せ、大きく笑いだす。
ますます私ははてなマークを頭上に浮かべる。
「ユニークステータス要素は稀に現れるステータス要素、略してユニーク要素。しかし長年冒険者やってきた身だがユニーク要素を持っている奴は初めて見た……これはもしかしたらこれから起きる何かの予言かもしれないぞ」
「よ、予言!?」
村長さんの言葉に過剰に反応する私。
そんな私に慌ててメルさんが突っ込みを入れる。
「エデンさん、信じちゃダメですよ! 村長はいつもそんな事言って外してるんですよ。言わば占い師もどきです」
「そーそー。村長の占いは一回も当たったことないからなー」
メルさんとロキさんが口を合わせて言い出す。
にしても村長さんギルドマスターをやりながらも占い師なんてオシャレな事もしてたんだ……。でも村長さんには占い師って言うより大工さんという感じがした。
「エデンさん。冒険者カードなんですがランクはSランクでよろしいですか? SSSランクだって出来ちゃいますけど……」
「もうこうなったらSランクでお願いします……本当に」
「そうですか……勿体ない気もしますが……エデンさんの気持ちが一番重要ですしね。分かりました。早速冒険者カードを作りますね。少々お待ちください」
そうメルさんは言うと奥へと行ってしまった。
にしてもSランクの冒険者になるだなんて……。
何だか突然過ぎてピンと来ない。
「俺、Sランクの冒険者に会うの初めてだわ」
ロキさんが呟く。
そしてそれに便乗し村長さんも呟く。
「俺は何度か見たな。とは言っても五本指で数えられる程度だ!」
「でも冒険者にはランクがあるんですね? ステータスによってランクが変わるって言ってましたけど……ステータスって上がるものなんですか?」
「まぁ、上がっても最初に自分に備わっていたステータスから100から150程度だ。上がる奴は上がるがな。まぁ、俺も昔からずっとAランクで止まっているんだ」
なるほど。
だからメルさんはSランクじゃ勿体ないって言ってたのか……。
ガハガハと豪快に笑い出す村長さん。
ほんと太陽みたいな人だなと思う。
にしても上がっても100から150程度。
じゃあやっぱり私は異例なんだ。
なにせあのへぽっこステータスからステータス全てが1000へと変わった。
しかも観察力というユニーク要素まで備わってしまったのだから。
ますます見つかったら大変な状況になってきたな……
私は腕を組み、うーんと唸った。
「エデンさん、冒険者カードが出来ましたよー! 今日からエデンさんは冒険者を名乗ることが出来ます。依頼を受ける時は私に声を掛けて下さいね。エデンさんならどんな依頼でも受けれますよ」
「Sランクって便利なんですね」
「簡単なものから難しいものまで何でも受けれますので」
とは言っても多分任務を受ける事は無いだろう。
特に難しいものなんて絶対に受けたくない。
だってどうせモンスター退治とかの依頼に決まってるだもん。
戦いはなるべく避けたかった。
理由は簡単、怖いからである。
今の私なら簡単に倒せそうだけど怖いものは怖いのだ。
こうして私は冒険者(仮)となった。
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