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ifストーリー
6日目 ①
しおりを挟む5日目 ② を投稿予定でしたが、6日目に入ります。
引き続き、どうぞよろしくお願い致します。
______________
そしてパーティ当日となった。
純白のドレスに身を包んだステラ。
所々にビーズやレースの装飾が施されているからか、シンプルなドレスではあるものの、華やかさがある。
パーティ会場には多くの貴族達が集い、世間話に花を咲かせたり、食事を楽しんでいた。
そんな会場に久々に足を踏み入れたステラは、どこか緊張した様子でいた。
「ステラ様。いらっしゃったんですね」
「わぁー! 素敵です! ステラ様!」
会場に入るなり、すぐ様ステラの元には人集りが出来た。
学院以外でクラスメイトと顔を合わせる機会が中々無かったステラ。
その為だろうか。
何だか不思議な気分である。
「倒れたとお聞きしましたけど、もう体調の方は大丈夫なんですか?」
「心配をかけて申し訳ありません。はい。お医者様からも許可を頂いての参加ですので、大丈夫ですよ」
ステラがそう言えば、令嬢達は安堵すると共に歓喜の声を上げた。
皆、ステラがパーティに参加する日を心待ちにしていたのだ。
『参加できるのですか!?』
『俺も同行させて頂けるならの話っすよ?』
『勿論です! よろしくお願いします』
今朝、パーティ参加への許可を貰ったステラはそれはそれは喜んだ。
なにせ久々のパーティだ。
楽しみじゃない訳が無い。
そしてやはり、久しぶりのパーティは胸が踊るものだった。
会場に1歩足を踏み入れた瞬間に感じた懐かしさ。
自然と笑みがこぼれてしまう中、1人の令嬢がゆっくりとステラの元へと近付いてきた。
そして…ステラへと尋ねた。
「御機嫌よう、ステラ。お久しぶりですわね。……あらぁ? クラウスは一緒じゃなくて?」
突如現れた令嬢の名前はブリトニー・クズダーン。
クズダーン伯爵家の令嬢である。
そして…
「ブリトニー。お久しぶりです!」
「倒れたって聞いて心配しておりましたのよ!!! もう!!」
ステラの友人であった。
「心配をかけてしまってごめんなさい、ブリトニー。けど、パーティに出席出来て良かったです。こうして貴方とまたお話する事が出来たのですから」
「べ、別に私は貴方とまたお話がしたくてパーティに出席したわけではありませんわ! でも、まぁ? お話し相手になってあげないこともありませんわー!」
リーリエント伯爵家とクズダーン伯爵家の当主同士の仲の悪さは社交界で知らぬ者は居ない。
その為、2人は両親から関わりを持たぬ様にと言い聞かせられて育てられて来た訳だが……
「それで、クラウスは何処ですの?」
「遅れて来るそうです」
「まぁ!? ステラを待たせるなんて本当にいい度胸がおありね! 到着次第、私がお仕置をしなければいけませんわ! ステラを待たせた罪は重罪ですわ!!」
「相変わらずブリトニーは面白いですね」
2人の仲は大変良好であった。
ブリトニーに関しては、認める事は無いだろうが、ステラを心から慕っているのだ。
それからステラはブリトニーや令嬢達とパーティを過ごした。
そんなステラを遠目に眺めるルイとフレディ。
「いいのか、ルイくん? お姉さんの所に行かなくて」
「お友達と過ごされているんです! 僕が邪魔しちゃ悪いじゃないですか」
「お姉さんはルイくんを邪魔だとは絶対に思わないと思うけどな~? お、ルイくん。これは何だ? すげぇ美味そうだ!!」
「フレディさん、はしゃぎすぎですよ!」
各々がパーティを楽しむ中、突然オーケストラによる演奏が始まった。
どうやらダンスの時間が始まったらしい。
男女が手を取り合い、踊りを始める。
その様子を…ステラはただ見詰めていると
「ステラ様!」
「アルス?」
ステラの元に駆け寄ってきたのは、クラウスの護衛を務めるアルスだった。
ゼェゼェと息を切らしながら、必死に言葉を紡いで行った。
「く、クラウス様が…た、体調不良との事で本日のパーティは…欠席…されるとの事なんです」
「はぁぁぁぁ!? それは本当ですの!?」
「こ、これはクズダーン嬢!? は、はい! ほ、本当ですっ!!」
アルスの報告にブリトニーは怒りを露にした。
顔を真っ赤にし、激怒するブリトニー。
「次に会った時は三枚おろしですわ!!」など令嬢として発してはいけないような危うい言葉を零す。
クラウスの欠席に会場がざわめく。
どうやらステラの久しぶりのパーティの参加には、多くの者が注目していたらしく、クラウスとステラのダンスを心待ちにしていた者も多かったようだ。
しかし中には……
「やはりあの噂は本当なのかもしれないわね」
「捨てられたんだわ、きっと」
「可哀想な人」
「でも、4年も放置してたんでしょ? 愛想つかされるのも当然よ」
「男遊びが酷いって聞いたわ」
「浮気してるって。相手は何でも庶民らしいわよ」
根も葉もない噂の数々がステラを襲う。
そしてその言葉は次第に鋭い刃のように姿を変えていく。
「前々から気に入らなかったのよ」
「お高く振舞ってて嫌いだった」
「ほんと、滑稽」
「1人寂しく隅っこに居たらいいのよ。お似合いだわ」
ステラは良い意味でも悪い意味でも目立つ少女だった。
文武両道で心優しい性格。
多くの人に慕われる彼女だったが、勿論中にはそれを良しとしない者も居た。
妬み嫉みの感情から、ステラを悪く言う者も少なくは無かった。
そんな者達による攻撃が今、ステラへと矛先を向けていた。
パーティは煌びやかで、華やかな場所。
それが一変した。
パーティに参加したい。
そう願ったのはステラだ。
だが……まさかこんな事になるだなんて想像さえしていなかった。
だからこそ、胸が張り裂けそうだった。
ステラの知るパーティは、皆が笑顔で楽しそうで……そして心満たされる場所だった。
美しい音楽に合わせて、踊る事が大好きだった。
その時だった。
1人の青年が……ステラの元へと歩み寄ってきたのは。
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