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ifストーリー

もしものお話 プロローグ

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※ こちらは番外編ならではの物語です。
本編とは全く関係ありませんので、どうそよろしくお願い致します。

そして大変お待たせ致しました!
本日よりifストーリー開始です!


_____________________




いつも通りの定期検診。
そこで主治医に告げられた言葉は…あまりにも衝撃的なものでした。


「ステラ様。貴方の命はあともって一週間といった所でしょう。ですので……どうか残りの人生を悔いのないようにお過ごし下さい」


主治医の言葉に私は…拳を強く握りしめました。


まさか、余命宣告を受ける日が来るなんて……想像もしていませんでした。


けれど、私自身のことが1番よく分かるのは私自身。

だからでしょう。
案外すんなりと余命宣告を受け入れる事が出来たのは。


私は決めました。


もう躊躇っている時間は無い。
残り少ない時間、自分を偽るのは辞めて素直になろう。


例え……貴方に、この想いが届く事が無くても。




▢◇▢◇◇◇▢◇◇





「外出中…ですか?」

「はい。坊っちゃまはつい先程、用事があるからと外出されまして…。帰るのは遅くなるとの事なんです」



アデリック公爵邸へと訪れたステラ。
目的は勿論、クラウスに会うためだったのだが…どうやらクラウスは現在外出中のこと。

メイドが申し訳なさそうに頭を下げ、謝罪の言葉を述べる。



「私の方こそ、突然の訪問、申し訳ございませんでした」

「ステラ様。急用でしたら坊っちゃまが帰宅次第、お伝えしてリーリエント邸に訪問して頂く様にお伝え致しますが如何なさいますか?」


用事があると言って家を出たクラウス。
恐らく、浮気相手の女性と楽しい時間を今頃過ごしているに違いない。

素直になろうと決めた。
残りの人生を後悔しない様に。


……けど、この残りの1週間を一緒に過ごしたいなんていう自分の我儘をクラウスに押し付けてしまっていいのだろうか?

クラウスにはクラウスの幸せがある。
そしてその幸せをステラは心から願っている。


突然黙り込んでしまったステラを、メイドは「ステラ様?」と心配そうに尋ねる。


「申し訳ございません。少し考え事をしてしまっていました。あの、クラウスには私が訪れた事はご内密に」

「急用ではないのですか?」

「少し顔を見たくなっただけなので大丈夫です。それでは失礼致します」



ステラは一礼するとアデリック公爵邸を後にした。

残りの1週間、悔いのないように。

そう主治医は言った。


馬車に揺られながら、ステラは表通りを窓から見つめる。
沢山の人で賑わい、活気に満ちた場所。


「……あの、止めて頂けますか?」


突然のステラの言葉に共に馬車に乗っていたミナは頷く。
そして運転手に声をかけ、馬車は止まった。


「お買い物ですか?」

「はい。少し本屋さんに寄りたくて」

「では、一緒に参ります。安心してください。バレないように変装は致しますので」


そうミナは言うと、何処から音もなく鞄を取り出した。
その鞄の中には眼鏡から髪留めなど…様々な雑貨が入っていた。
その雑貨によって気づけばミナは別人のように姿を変えていた。


「随分気合いの入った服装ですね」

「私がステラ様のメイドである事はクラスメイトには知られてはいまけせんし、当然の事です」

「普段の学校の貴方も相当別人ですけど、今の貴方もまるで別人…。髪型だけでも人はここまで変わるんですね」


ステラは強く関心を寄せる。

ステラの侍女であるミナという少女は侍女としての働きながら学生として日々勉学にも励んでいる。

そんなミナだが、学院と伯爵邸では容姿、性格、言動はまるで別人だ。なにせ、敢えて別人格を演じているからだ。


「子どもじゃないのですから、別に1人でも行けますよ?」

「私はステラ様の侍女ですから当然です」

「それと……お父様とあ母様からの指示があるものね」

「……何のことでしょうか」


そう言って話をはぐらかすミナ。


そんなミナに肩を竦めた後、ステラは言う。


「貴方は貴方の立場があるのだから、無理だけはしないでね」


そう言って微笑むステラに……ミナは強く思った。


鳥籠の様な世界に閉じ込められたステラ。

ミナにはその鳥籠の鍵を開けることは出来ない。

けれど、少しでも……羽ばたける世界を広くしたい。



_____残り1週間。私に出来ることをやろう。ステラを最後まで支えよう。
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