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第十八話 土曜日のタマネギ
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「そうですよぉ。唾一杯入ってるし」
ニコニコしながら奈々は言った。
『きっとこういう所が奈々が普通の子と違う所なのかも知れない。でも、普通って何だろう?大多数と同じである事?奈々と同じ障害でも軽度だと高校、大学って行く人もいる。しかし、社会人になると、適応出来なかったりする。勉強はマイペースでも出来るけど、仕事はマイペースじゃ出来ないから?それは今の社会のスピードが速すぎるから?それは今の社会の基準にも問題があるから?一体世の中は誰のペースで進んでいるんだ?俺はこういう変な事を言う子供だったり大人だったり変化する奈々が面白いと思うし、好きなのに』
奈々の言葉ににやけながら元秋は思った。
「いいよ、やってやる」
そう言うと元秋は奈々からトランペットを受け取り、トランペットの吹く方を自分の方に向けた。
「わ、ここ、マウスピースって言うんだっけ、吹く所」
「何?」
急に元秋が驚いて見せたので、思わず奈々は声を挙げた。
「なんか涎でビショビショ」
「嘘!?」
奈々はそう言うと恥ずかしそうな顔をした。
「ハハハハ、嘘嘘、綺麗だよ」
元秋は笑いながらそう言った。
奈々はちょっと膨れっ面をした。
奈々といると自分も子供っぽくなっちゃうなと、元秋は思った。
『感染するのかな?でも、一緒にいて楽しいんだから、いいんじゃないか』
元秋はトランペットを再度吹く構えに持って来た。
そして指は何処も押さないまま、勢い良く吹いた。
ポ~~~
変な音だが確かに鳴った。
「ほらー、鳴った」
元秋は満足気に言った。
「やっぱり神様だから鳴っちゃうんだなー」
奈々は悔しがらず、寧ろニコニコした顔でそう言った。
「約束だから教えろよ」
「約束だからね」
元秋の言葉を奈々は繰り返した。
「ちゃんと教えるよ。土曜日に」
「土曜日?」
今度は奈々の言葉を元秋が繰り返す。
「なんで土曜日?」
「日曜でも良いけど、土曜のが良いでしょ?」
「何の話?今教えてよ」
元秋は訳が分らず聞いた。
「今教えるとは言ってません。それにある所に一緒に行って貰いたいんだ。そしたら全部教える。知りたい事何でも教えちゃう」
嬉しそうな顔で、奈々はそう言った。
「えー、今教えてくれないの?」
元秋は凄く不満そうな顔をして言った。
「でも、元秋君が心配している様な事はないよ。安心して」
「そうなの?」
元秋はまだ納得してない様な感じで言った。
「しょうがないなー。ん」
そう言うと奈々は元秋に近づき頬にキスをした。
「奈々って、子供なのか大人なのか分らないなぁ」
元秋は嬉しそうににやけながらそう言った。
「じゃあ、土曜日で良い?」
「しょうがないなー。じゃあせめて、何で俺が奈々の神様なのか教えてよ」
元秋は言った。
「だって、元秋君といる時だけトランペット音が出たから」
「え、それだけ?」
「そう、それもある。後は土曜日に教えるから、今日から金曜まではもう聞かないでね。うわー、土曜日が楽しみ」
奈々は楽しそうに言った。
「えー、後で聞けないならせめて何処に行くのか位教えてよ」
元秋が慌てて聞いた。
「土曜日はピクニックに行きます。私サンドイッチ作ってくね。玉ねぎもなんかで使おうかな?」
「ピクニック?」
つづく
ニコニコしながら奈々は言った。
『きっとこういう所が奈々が普通の子と違う所なのかも知れない。でも、普通って何だろう?大多数と同じである事?奈々と同じ障害でも軽度だと高校、大学って行く人もいる。しかし、社会人になると、適応出来なかったりする。勉強はマイペースでも出来るけど、仕事はマイペースじゃ出来ないから?それは今の社会のスピードが速すぎるから?それは今の社会の基準にも問題があるから?一体世の中は誰のペースで進んでいるんだ?俺はこういう変な事を言う子供だったり大人だったり変化する奈々が面白いと思うし、好きなのに』
奈々の言葉ににやけながら元秋は思った。
「いいよ、やってやる」
そう言うと元秋は奈々からトランペットを受け取り、トランペットの吹く方を自分の方に向けた。
「わ、ここ、マウスピースって言うんだっけ、吹く所」
「何?」
急に元秋が驚いて見せたので、思わず奈々は声を挙げた。
「なんか涎でビショビショ」
「嘘!?」
奈々はそう言うと恥ずかしそうな顔をした。
「ハハハハ、嘘嘘、綺麗だよ」
元秋は笑いながらそう言った。
奈々はちょっと膨れっ面をした。
奈々といると自分も子供っぽくなっちゃうなと、元秋は思った。
『感染するのかな?でも、一緒にいて楽しいんだから、いいんじゃないか』
元秋はトランペットを再度吹く構えに持って来た。
そして指は何処も押さないまま、勢い良く吹いた。
ポ~~~
変な音だが確かに鳴った。
「ほらー、鳴った」
元秋は満足気に言った。
「やっぱり神様だから鳴っちゃうんだなー」
奈々は悔しがらず、寧ろニコニコした顔でそう言った。
「約束だから教えろよ」
「約束だからね」
元秋の言葉を奈々は繰り返した。
「ちゃんと教えるよ。土曜日に」
「土曜日?」
今度は奈々の言葉を元秋が繰り返す。
「なんで土曜日?」
「日曜でも良いけど、土曜のが良いでしょ?」
「何の話?今教えてよ」
元秋は訳が分らず聞いた。
「今教えるとは言ってません。それにある所に一緒に行って貰いたいんだ。そしたら全部教える。知りたい事何でも教えちゃう」
嬉しそうな顔で、奈々はそう言った。
「えー、今教えてくれないの?」
元秋は凄く不満そうな顔をして言った。
「でも、元秋君が心配している様な事はないよ。安心して」
「そうなの?」
元秋はまだ納得してない様な感じで言った。
「しょうがないなー。ん」
そう言うと奈々は元秋に近づき頬にキスをした。
「奈々って、子供なのか大人なのか分らないなぁ」
元秋は嬉しそうににやけながらそう言った。
「じゃあ、土曜日で良い?」
「しょうがないなー。じゃあせめて、何で俺が奈々の神様なのか教えてよ」
元秋は言った。
「だって、元秋君といる時だけトランペット音が出たから」
「え、それだけ?」
「そう、それもある。後は土曜日に教えるから、今日から金曜まではもう聞かないでね。うわー、土曜日が楽しみ」
奈々は楽しそうに言った。
「えー、後で聞けないならせめて何処に行くのか位教えてよ」
元秋が慌てて聞いた。
「土曜日はピクニックに行きます。私サンドイッチ作ってくね。玉ねぎもなんかで使おうかな?」
「ピクニック?」
つづく
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