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第十六話 奈々と安藤
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「でもさ、細かい事言えば、誰だって障害はあるんじゃないかな」
元秋が話し始めた。
「俺だって話の合わない奴はいるし、それが相手に問題あるのか、自分に問題あるのかは分らないし。コミュ二ケーション障害、コミュ障。あれなんかそこら中いるし、俺もそういう所あるし、みんな調べてないだけで、日本中の半分位はなんかの障害なんじゃないか?それでも皆生きてるし、生活してるし、奈々も暮らして行けてるし。そんな気にしなくても良いんだよ。俺は奈々の事分ったし、困った時は大きな声で助けを呼べば良いし、奈々が先の事でそんなに心配しなくても、きっと大丈夫だと思うし、俺はいつも側にいて助けてあげたいと思うし。あれ、俺、何言ってんだ?」
自分の言っている事に収集がつかなくなって元秋は、頭を掻きながら恥ずかしそうに下を向いた。
「ありがとう。やっぱり私の神様だ。伝わったよ」
そう言うと奈々はニッコリ笑った。
それでその話は終った。
それから十数分、二人がお互いの今日の話とかをしている時、安藤が和希を連れて入って来た。
安藤は真っ直ぐ奥の元秋達のいる窓際の席まで歩いて行って、言った。
「よお」
安藤の声にビックリした元秋は立ち上がり、身構えた。奈々も立ち上がり、何故かウルトラマンのファイティングポーズの様な、これから戦うかの様な格好をした。
「ハハ、奈々ちゃん相変わらず面白いね」
笑いながら安藤はそう言うと、元秋を手招きし、自分の方に呼び寄せた。
「なんだよ。まだ何かあるのか?」
そう言って近づいた元秋の耳元で、安藤は小さな声で尋ねた。
「奈々ちゃんに、俺の事言った?」
「言う訳ないだろ」
元秋も奈々に聞こえない様に小さな声で返した。
「そうか、ありがとう」
安藤は急に普通の声で話した。
「二人に紹介するよ。俺の友達の和希ちゃん。奈々ちゃんと同じ中学なんだって。今は東女通ってる」
「はじめまして」
安藤の言葉に続いて和希が挨拶をした。
「ああ」
「こんにちは」
元秋と奈々も挨拶をした。
「さて、今は奈々ちゃんに用事があるんだ」
安藤はそう言うと奈々の方に近づいて言った。
「その髪で思い出したんだ」
そう言うと奈々の耳元に近づき、元秋に聞こえない様に奈々に何か囁いた。
奈々は最初は不安そうな顔だったのが、徐々に嬉しそうな顔に変わって行った。
「はい、そうです。それで手を振られて」
「それ多分俺にだよ」
「そうなんですか?ブー」
「ハハハ」
安藤と奈々の会話が漏れて、微かにこれ位元秋にも聞こえた。
「なるほどね、これで納得した」
安藤は奈々の耳元から顔を離すと、普通の声で奈々に話し始めた。
「奈々ちゃん、元秋は本気だよ。良かったね。気になってた事も分ったし、俺も応援するよ」
「はい。ありがとうございます」
そう言う安藤も奈々も笑顔だった。
元秋は拍子抜けした気分だった。
「何の話だよ、安藤」
元秋は尋ねた。
「んー、これは俺の口からは言わない方が良いよ。いずれ奈々ちゃんが教えてくれるか、お前が気付くか。悪い話じゃないよ。寧ろ嬉しい話なんじゃないか。俺は今、凄く気分が良い」
笑顔で安藤はそう言うと和希の側に戻った。
「じゃあ、俺は和希ちゃんと過ごすから」
そう言うと安藤は和希を連れ、元秋達とは反対の遠く離れた席に座った。
「和希ちゃん。何でも好きなの頼んで良いよ。今日は奢りたい気分なんだ」
ニコニコして安藤は言った。
「なんだったんだアイツ?」
元秋は不審そうな声で言った。
奈々はニコニコしていた。
「安藤なんだって?何の話してたの?」
元秋はどうしようもなく気になって奈々に聞いた。
奈々は嬉しそうな顔でフラペチーノを飲みながら言った。
「これはまだ言えないです。でも、安藤さんは悪い人じゃないですね。あの人は気付いてくれた」
「え?」
つづく
元秋が話し始めた。
「俺だって話の合わない奴はいるし、それが相手に問題あるのか、自分に問題あるのかは分らないし。コミュ二ケーション障害、コミュ障。あれなんかそこら中いるし、俺もそういう所あるし、みんな調べてないだけで、日本中の半分位はなんかの障害なんじゃないか?それでも皆生きてるし、生活してるし、奈々も暮らして行けてるし。そんな気にしなくても良いんだよ。俺は奈々の事分ったし、困った時は大きな声で助けを呼べば良いし、奈々が先の事でそんなに心配しなくても、きっと大丈夫だと思うし、俺はいつも側にいて助けてあげたいと思うし。あれ、俺、何言ってんだ?」
自分の言っている事に収集がつかなくなって元秋は、頭を掻きながら恥ずかしそうに下を向いた。
「ありがとう。やっぱり私の神様だ。伝わったよ」
そう言うと奈々はニッコリ笑った。
それでその話は終った。
それから十数分、二人がお互いの今日の話とかをしている時、安藤が和希を連れて入って来た。
安藤は真っ直ぐ奥の元秋達のいる窓際の席まで歩いて行って、言った。
「よお」
安藤の声にビックリした元秋は立ち上がり、身構えた。奈々も立ち上がり、何故かウルトラマンのファイティングポーズの様な、これから戦うかの様な格好をした。
「ハハ、奈々ちゃん相変わらず面白いね」
笑いながら安藤はそう言うと、元秋を手招きし、自分の方に呼び寄せた。
「なんだよ。まだ何かあるのか?」
そう言って近づいた元秋の耳元で、安藤は小さな声で尋ねた。
「奈々ちゃんに、俺の事言った?」
「言う訳ないだろ」
元秋も奈々に聞こえない様に小さな声で返した。
「そうか、ありがとう」
安藤は急に普通の声で話した。
「二人に紹介するよ。俺の友達の和希ちゃん。奈々ちゃんと同じ中学なんだって。今は東女通ってる」
「はじめまして」
安藤の言葉に続いて和希が挨拶をした。
「ああ」
「こんにちは」
元秋と奈々も挨拶をした。
「さて、今は奈々ちゃんに用事があるんだ」
安藤はそう言うと奈々の方に近づいて言った。
「その髪で思い出したんだ」
そう言うと奈々の耳元に近づき、元秋に聞こえない様に奈々に何か囁いた。
奈々は最初は不安そうな顔だったのが、徐々に嬉しそうな顔に変わって行った。
「はい、そうです。それで手を振られて」
「それ多分俺にだよ」
「そうなんですか?ブー」
「ハハハ」
安藤と奈々の会話が漏れて、微かにこれ位元秋にも聞こえた。
「なるほどね、これで納得した」
安藤は奈々の耳元から顔を離すと、普通の声で奈々に話し始めた。
「奈々ちゃん、元秋は本気だよ。良かったね。気になってた事も分ったし、俺も応援するよ」
「はい。ありがとうございます」
そう言う安藤も奈々も笑顔だった。
元秋は拍子抜けした気分だった。
「何の話だよ、安藤」
元秋は尋ねた。
「んー、これは俺の口からは言わない方が良いよ。いずれ奈々ちゃんが教えてくれるか、お前が気付くか。悪い話じゃないよ。寧ろ嬉しい話なんじゃないか。俺は今、凄く気分が良い」
笑顔で安藤はそう言うと和希の側に戻った。
「じゃあ、俺は和希ちゃんと過ごすから」
そう言うと安藤は和希を連れ、元秋達とは反対の遠く離れた席に座った。
「和希ちゃん。何でも好きなの頼んで良いよ。今日は奢りたい気分なんだ」
ニコニコして安藤は言った。
「なんだったんだアイツ?」
元秋は不審そうな声で言った。
奈々はニコニコしていた。
「安藤なんだって?何の話してたの?」
元秋はどうしようもなく気になって奈々に聞いた。
奈々は嬉しそうな顔でフラペチーノを飲みながら言った。
「これはまだ言えないです。でも、安藤さんは悪い人じゃないですね。あの人は気付いてくれた」
「え?」
つづく
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