10 / 25
第十話 彼女の音が聞こえる Part2
しおりを挟む
「それでね、その幼馴染が言うの。彼女なんか出来ない、一生結婚出来ない、誰も俺の相手なんかしてくれない、きっと性的な経験も一生無理だ。なんてね」
「性的?」
元秋は聞き返した。
「それでね。・・・可哀想だと思っちゃったの」
元秋の質問には答えず、奈々は続けた。
「その、パンツを脱いで、幼馴染の子のベッドの上にこう」
そう言うと奈々は下着は脱がなかったが、スカートの裾を持ち、静かに河川敷の雑草の上に腰を下げて見せた。元秋にはそれが何をしている仕草か直ぐ理解が出来た。
「そんな・・・」
元秋は絶句しながら、奈々の仕草に想像が働き、自分が興奮している事に気付いた。
「それだけ、それ一回だけなの」
しゃがんだまま奈々はそう言うと泣き出した。
「馬鹿だよ。お前ホントに馬鹿だよ!」
元秋は大きな声で叫んだ。
「はい!」
ビックリした奈々が立ち上がった。
「そんなのお前じゃなくてもいいじゃん。実際にやらなくてもいいじゃん。言葉で慰めればいいじゃん」
言いながら、元秋は涙が出て来ていた。
すっごい馬鹿で、愛おしい。と、思った。
「だって、言葉が浮かばなかったんだもん。何て言えば良いか分らなかったんだもん」
泣きながら奈々は言い返した。
「ホントに馬鹿だなー。どうしようもなく馬鹿だ」
そう言いながら元秋は一歩ずつ、奈々の方に近づいて行った。
「でも、俺、、奈々の事好きみたい。お前馬鹿だから、俺が見てないと心配だ」
元秋がそう言った瞬間、奈々は凄い速さで走り、元秋に抱きついた。
「あっ」
奈々の胸が自分の胸板に当たっているのを感じると、元秋は自分が奈々に興奮しているのが分り、強く奈々を抱きしめた。すると自分の心音と奈々の心音がまた聞こえて来た。二つとも速いリズムで鳴っている。今度は左右から聞こえた。速い鼓動なのに何故か元秋の心は落ち着いた。
「佐野君、私キスは初めてだよ」
奈々はそう言うと、元秋の唇に唇を重ねた。
元秋は自分が奈々に溺れて行くのを感じた。
「成る程ね。そういう事があったんだ」
安藤が、和希の話を聞いて言った。
「で、その北村君の自殺で、皆奈々ちゃんの事噂するの止めたの?」
「ええ、多分看護婦さんが話してるのでも聞いて、野沢さんが噂されてるって知って、自殺したんじゃないかって、皆言ってたから」
「成る程ね。本当に自殺なのかな?遺書とかもあったの?」
「さあ、それは私は分りません」
安藤の話に和希が言った。
「あのさー」
「何?」
佐藤が安藤に声を掛けた。
「俺も大内も、その奈々ちゃんって子の事、会ってないから知らないけど、凄い事あったんだなって事は今知ったけど、その、安藤、これって何の会合?」
「え、これは俺が奈々ちゃんに気になる点が幾つかあったから、調べて佐野にとって本当に奈々ちゃんは良い子か考える為の集まりだよ」
「え?」
「え?」
「エ?」
「えー?」
皆一斉に言った。
「そうなんですか?」
舞が困った声で言った。
つづく
「性的?」
元秋は聞き返した。
「それでね。・・・可哀想だと思っちゃったの」
元秋の質問には答えず、奈々は続けた。
「その、パンツを脱いで、幼馴染の子のベッドの上にこう」
そう言うと奈々は下着は脱がなかったが、スカートの裾を持ち、静かに河川敷の雑草の上に腰を下げて見せた。元秋にはそれが何をしている仕草か直ぐ理解が出来た。
「そんな・・・」
元秋は絶句しながら、奈々の仕草に想像が働き、自分が興奮している事に気付いた。
「それだけ、それ一回だけなの」
しゃがんだまま奈々はそう言うと泣き出した。
「馬鹿だよ。お前ホントに馬鹿だよ!」
元秋は大きな声で叫んだ。
「はい!」
ビックリした奈々が立ち上がった。
「そんなのお前じゃなくてもいいじゃん。実際にやらなくてもいいじゃん。言葉で慰めればいいじゃん」
言いながら、元秋は涙が出て来ていた。
すっごい馬鹿で、愛おしい。と、思った。
「だって、言葉が浮かばなかったんだもん。何て言えば良いか分らなかったんだもん」
泣きながら奈々は言い返した。
「ホントに馬鹿だなー。どうしようもなく馬鹿だ」
そう言いながら元秋は一歩ずつ、奈々の方に近づいて行った。
「でも、俺、、奈々の事好きみたい。お前馬鹿だから、俺が見てないと心配だ」
元秋がそう言った瞬間、奈々は凄い速さで走り、元秋に抱きついた。
「あっ」
奈々の胸が自分の胸板に当たっているのを感じると、元秋は自分が奈々に興奮しているのが分り、強く奈々を抱きしめた。すると自分の心音と奈々の心音がまた聞こえて来た。二つとも速いリズムで鳴っている。今度は左右から聞こえた。速い鼓動なのに何故か元秋の心は落ち着いた。
「佐野君、私キスは初めてだよ」
奈々はそう言うと、元秋の唇に唇を重ねた。
元秋は自分が奈々に溺れて行くのを感じた。
「成る程ね。そういう事があったんだ」
安藤が、和希の話を聞いて言った。
「で、その北村君の自殺で、皆奈々ちゃんの事噂するの止めたの?」
「ええ、多分看護婦さんが話してるのでも聞いて、野沢さんが噂されてるって知って、自殺したんじゃないかって、皆言ってたから」
「成る程ね。本当に自殺なのかな?遺書とかもあったの?」
「さあ、それは私は分りません」
安藤の話に和希が言った。
「あのさー」
「何?」
佐藤が安藤に声を掛けた。
「俺も大内も、その奈々ちゃんって子の事、会ってないから知らないけど、凄い事あったんだなって事は今知ったけど、その、安藤、これって何の会合?」
「え、これは俺が奈々ちゃんに気になる点が幾つかあったから、調べて佐野にとって本当に奈々ちゃんは良い子か考える為の集まりだよ」
「え?」
「え?」
「エ?」
「えー?」
皆一斉に言った。
「そうなんですか?」
舞が困った声で言った。
つづく
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
彼女の音が聞こえる (改訂版)
孤独堂
恋愛
早朝の川原で出会った高校生の男女の普通に綺麗な話を書きたいなと思い書き始めましたが、彼女には秘密があったのです。
サブタイトルの変更と、若干の手直しを行いました。
また時系列に合わせて、番外編五つを前に置きましたが、こちらは読まなくても、本編になんら支障はありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる