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第一話 悲しいボーイフレンド
しおりを挟む少女が初潮を迎え、性の扉を開く様に。
鈴木恵は中一の時体格の良い屈強な男に体を押さえつけられては無理やり犯される夢を見て、初めて夢精した。
だから彼は、それ以降自分の事を変態だと思っていた。
「はぁはぁ…」
二十歳になった現在、恵は仙台の専門学校にアパートから通っていた。
ブーンブーン
午前二時、モーター音が引き起こす振動音は恵の中から聞こえて来る。
「あ、んっ」
まるでボーイッシュな女性の様に、ショートカットの髪に白く細い華奢なその体は、今は素っ裸で四つん這いになっていた。そしてそれは多分遠目で見れば胸の貧相な女性と見間違える事もあるだろう。
しかし近づけばやはり恵は男なのだ。
アナルをローションまみれの極太のバイブで責められた彼の男性器は、その下に敷いた数枚のティッシュの上に幾滴もの無色透明な尿道球腺液、所謂我慢汁を垂らしながら激しく勃起していた。
中学も三年の頃だろうか、それまで幾ら欲情してペニスを擦り自慰行為に耽っても決して射精する事の出来なかった恵は、その為に溜まっていく性欲に気がおかしくなる様な日々をどれ程か過ごしている中で、ある時フッと、自分のお尻の穴に指を入れてみたのだ。
すると体中に電流でも走る様な感覚と、一瞬にしてこみ上げて来る性的興奮と絶頂。
恵はそれまでのオナニーが嘘の様にいとも簡単に射精出来たのだった。
だからそれ以降彼は、指で色々アナルを試すだけではなく、ネットで調べ、先ずは小さなローターから、少しずつ大きなバイブへと変え、お尻の穴を大きくしていった。
それはいつの日か誰かにペニスを入れて貰いたいという願望のもとに。
「ああっ」
アパートで四つん這いになりオナニーをしていた恵は、それまでとは違う慌てた様な声を漏らした。
バイブがその振動ゆえにお尻から抜け落ちてしまいそうになったのだ。
だから急いで右手を浮かせると上半身を左手で支え、その右手はお尻の方、バイブへと持って行き、手で強く押し込む。
「あっ!」
強く押し込み過ぎたのか激しい痛みと急速にこみ上げて来る絶頂感。
しかし深夜のアパートだ、それ程壁が厚い訳でもない。
恵はギュツと唇を噛み締めると声が漏れない様に我慢した。
そしてそれがまた彼の中の興奮を高める。
(ああ、もう、もう駄目だ。イクっ、イクよ!)
そう彼が心の中で叫ぶよりも早く、恵の最大限に勃起したペニスからは相当何日も溜まっていたのだろう。少し濁った、どろりと濃い白濁の精子が下に敷かれたティッシュへと降り注げられる。
「はぁはぁ、はぁはぁ」
事後、恵はすぐ横に仰向けに倒れた。
一回の射精に使う体力は、100メートルを全力で走るのと同じだとは昔から良く言われるが、体力に自信のない恵にとっては、確かに射精後の疲労感は半端なかった。
だから荒い呼吸を落ち着かせる様に口を開けて呼吸を整える。
お尻の穴、アナルへと挿入された極太のバイブはまだ彼の中で唸っている。
そして満足気に萎れ縮小したペニスは、彼の無毛処理され陰毛のないすべすべの内股に殆ど無色の残り汁をダラダラと垂れ流していた。
(僕は、性に囚われた変態だ)
こんな時、恵はいつもそう思う。
恵は、所謂性同一性障害とも自分は少し違う様な気がしていたからだ。
心身共に男性が好きで、女性になりたいとは一度も思った事はなかった。
美しもの、綺麗なものが好きだという気持ちは人一倍強いと感じていたから、女性の体の美しさに憧れる所は常にあったが、それでも例えば女性ホルモンを投与するとかまでは論外で考えられなかった。
寧ろ今の細く胸板が薄く、撫肩な自分の体は気に入っていた。
それはきっと父方のDNAなのだろう。親戚が集まった時、父も父方の兄弟もそれ程背は高くなく、色白で細かった。
一見すると女性的で、しかし両の乳房は真っ平で代わりに股間に一本棒が生えている。
そんな自分を恵は「中性」と位置付けていた。
どうしてこうなってしまったのか。親にも言えず、今以て隠している秘密だ。
(それはきっとあの時、初めて夢精した時から決まっていた事なんだ…男に犯されたい。激しくアナルを責められたい。そして果てる事なくいつか…射精し続けたい。ああ、お父さんお母さん、ごめんよ。こんな事ばかり考えてしまう僕はやはり変態なんだ…)
だから親元を離れ、仙台でのアパート暮らしを始めたのは、最も心配をかけたくない親にこんな姿を見せない為には好都合だった。
そしてもう一つ、仙台に来て正解だった事がある。
三ヶ月前に、恵には彼氏が出来たのだ。
ただし彼は、不能なのだけれど…
つづく
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