僕は美女だったらしい

寺蔵

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八鬼が、離れていく

4☆

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「――――いや、だ!」
 逃げ出そうと暴れるのに、手首をがっしり掴まれると抵抗さえできなくなった。

「お前、超綺麗だ。女よりずっといい。」
「や……!?」

 船寺が、僕のお腹に性器を擦り付ける。

「や――やめろ! 気持ち悪い、汚い……!」
「あぁ?」
 船寺の顔が怒りに歪む。

「汚い? 何言ってんだテメー。慣れてんだろこういうの。八鬼だって色仕掛けで落としたくせによ」
「――――!!? な、んだよ、それ、僕は、そんなことしてない!」

 無理やりだったんだ!

「嘘付いてんじゃねーよ。入寮日だってお前から俺に媚び売ってきたくせにさ。金持ちがいるってわかったら即乗り換えるってビッチにも程があんだろ」

 船寺が何を言ってるのか本気でわからない。
 あの日は一人が不安で、始めて話した船寺が話しやすかったから嬉しくて、ただ、それだけだった。

 僕の服を鎖骨までたくしあげると、露になったお腹に、胸に、性器を擦り付けて、前後に腰を振り出した。
 滑る液体がお腹の上に少しずつ広がって行く。

「あ、イィ、イイ、マジイイ、たまんねえ。……、……イク、――う」
 腰を突き出すように射精して、胸に、気持の悪い温もりが広がっていく。
 船寺は投げ出していた僕の掌を無理やり性器に絡ませると、僕の掌の上から握って上下に動かした。
 実際動かしているのは船寺なのに、僕の掌の中で性器が痙攣して二度、三度と精液を吐き出す。
「うぁ――う、――まじすげえ……! 手が小せえ、超いい……」

 僕の乳首に性器の先端を押し付けて、ぐりぐり回しながら最後の一滴まで搾り出す。

 やっと終わった……。

 起き上がる気力もなく硬いタイルの上で瞼を閉じる。

「やっべ、興奮する……」
「……!?」
 終わったと思ったのに船寺は止まらなかった。
 ズボンと下着を引き下ろそうと腰に手を掛けてくる。

「――ぃやだ……!」
「もったいぶるんじゃねー!」

 一気に引き摺り下ろされ、遠くに放り投げられる。
「うわ、ここもキレーなのかよ……すげー」
 下肢をむき出しにされ凝視され、恐怖に体が竦み上がって動けなくなる。

 今度はうつ伏せに引っくり返され、お尻の奥まで覗かれた。

「すげえ……作り物みてえ……。女より綺麗だ……」
「ひぃ……!?」

 襞を指先でぐりぐり撫でられて背筋が反る。

「さ――わるな、やめろ……!」
「夏樹……」
 僕が逃げ出すより早く、船寺が太腿の上に座りこんだ。容赦なく体重をかけられて、弾力のないタイルに押し付けられた足が痛む。
「痛い……、船寺やめよう……男同士でこんなこと、変だよ……! んぅ……!?」
 襞を撫でるばかりだった指が、体内に入ってきた。
 痛みはないが異物感で苦しい。力が抜けなくて襞が指に吸いつくみたいに絡んでいく。

「うぁ……んっ、んっ、はぁ……!」

「くっそ、狭ェ……、超入れてェ、これやばすぎだろ……」

 ぢゅ、ぢゅぷっ、って濡れた音が上がって恥ずかしさに耳を塞ぎたくなる。

「なぁ、キモチイイ? 気持ちいい?」
「ひ……!」
 耳を甘噛みされ切羽詰ったみたいに繰り返し聞かれる。
「気持ち良くない……! したくない……!」
 最近ずっと八鬼に抱かれてない。
 そのせいか、指がやたらと長く感じる。お腹の中まで犯されてるような感覚にひぃひぃって情け無い声をあげてしまう。
「あうぅ!?」
 ずるっと指が出て行く。
 無理やり排泄させられてるみたいな有り得ない感覚に鳥肌が立った。

 一本だったのが、今度は二本入り込んでくる。
「ぐぅ……!」
 根元まで入り込むとピストンが始まった。
「あっ、あ、あ、やだ……! 
 僕の上では濡れた音が二つ上がってる。一つは僕を犯す指から、もう一つは船寺が自慰をしている音が。

「あ……! そこ、嫌……!」
 突然船寺の指が曲がった。
「だめ……!」
 僕の性器の裏側、その部分は腰が跳ねてしまいそうなぐらい感じてしまう場所だった。

「感じる?」
「嫌だ……!」
 指から逃げようと必死に床を蹴る。
 足に座られててほとんど動けなくて、足の指だけで蹴るしかなかったけど、それでもほんの少しでもいいから逃げたくて。
 なのに、船寺はぐいって、容赦無い力でそこを刺激した。

「やぅ――!」

 僕の口から漏れたのは本当に女の子みたいな甲高い悲鳴だった。
 やめて、そんなに強く押さないで、溶けちゃう……!
 船寺は男としたことなんかないんだろう。そこがどれだけ辛いかも判ってない指使いで抉り続ける。

「あああ! あぅ、ひぃ、ひぃ、あぁ……!」

 駄目、真っ白になる。
 ただでさえドロドロの中を、ズンって、指の腹で突かれた。

「うぁああ――――……!」

 中だけでいかされた衝撃に、声を我慢する事もできずに悲鳴を上げて仰け反った。
「あ……やべ、イクイク……、うっ……!」

 船寺が呻く。二度目の射精だ。僕の髪に、首にぬるりと生暖かい精液が降り注ぐ。

「夏樹……。舐めて綺麗にしろよ……」

 うっとりと理性の飛んだ顔をして、僕の口元に性器を押し付けようとした。

 その瞬間。

 カタン、って音がした。
「!!?」
 船寺は弾かれたみたいに僕から離れて、周りを見回した。
 僕も視線を動かす。ただ単に、清掃用にほったらかされてたモップが倒れただけだった。
 それでも船寺はようやく冷静になったみたいで、精液でドロドロになった僕に慌ててシャワーを浴びせてきた。

「八鬼には絶対言うんじゃねーぞ。言ったら殺してやる」

 精液を流しきり証拠を隠滅してしまうと、船寺はそう言ってお風呂場を出て行った。

 僕はのろのろと体を起こした。

 皮膚が痛むぐらいに体を洗って、髪も、何度も洗って、登校さえしないまま部屋に戻ってベッドの中に入り込んだ。

 どうしてこんな目に?

 僕は。

 僕は。


 ――――嫌だ。

 もう嫌だ。何も考えたく無い。


 ぐって、喉の奥に食べた物がせり上がってきた。
 布団を跳ね飛ばすように起きて洗面台に顔を伏せる。
 何度もえづいて、船寺に無理やり食べさせられたご飯を胃から出した。苦しい。辛い。

 体力が一気に持っていかれる。

 どうにか口をすすいだものの、体が重たくてベッドまで戻ることもできずにその場に座りこむ。

 パニックに陥った思考からブレーカーが落ちて、眠りはすぐに訪れた。
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