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<水無瀬葉月>
好きな動物はうさぎですけど…
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車が走り出す。レールの決まった電車とは違い、縦横無尽に進むのが楽しくて会話も忘れて景色に魅入ってしまった。
どこかレトロな感じのする僕の住んでる町とは違い近代的なビルの立ち並ぶ光景が広がってきた。
徒歩で通えるお弁当屋さんと、スーパーだけが僕の行動範囲だ。
少し離れただけで街の景観が全く違うなんて。
僕の世界ってほんとに狭いんだなぁ。
窓に張り付くようにしてあちこち見回す僕を他所に、車はおしゃれなビルの駐車場へと滑りこんだ。
「はい。到着しましたー」
「ここはどこ?」
「いいから、行くぞ」
「うん……?」
良くわからないけど、車から降りた遼平さんの後に続く。
駐車場からエレベーターに乗り、押されたのは『5』のボタン。
エレベータはガラス張りだった。急激に遠くなる地面に足がゾワってした。
たどり着いたのは五階。通路の左右はガラス張りのオフィスだ。
前にテレビでちらりと見たドラマのワンシーンみたいな洗練された光景に「ふわー」って溜息が漏れる。こんな世界が実在してたんだ……。
遼平さんはドアの前で止まると、機械にカードをスキャンさせて番号を押した。
ドアが自動で開く。
先に広がったのは、鏡と、ガラス張りの部屋だった。
「よう。早かったな」
「おう」
雑誌を手にソファに身を沈めた男性が片手を上げて挨拶する。
ウェーブがかった栗色の髪をしたアクセサリーも服装も洗練されたカッコいい人だ。
その向かいにメガネを掛けた黒髪の人が座っている。こちらはスーツ姿だった。
「なんで二本松まで居るんだよ」
遼平さんが黒髪の人に言った。
「貴方のお友達を紹介していただきたくてお待ちしていました」
二人してこちらに歩み寄ってくる。
知らない人だ。
思わず遼平さんを盾にして広い背中の後ろに隠れた。
「はじめまして。二本松と申します」
「は、はじめ、まして……」
黒髪の人が聞き取りやすい声で自己紹介をしてくれた。
「陸王から未成年の友人が出来たとうかがいまして、お待ちしておりました。念の為に確認させてください。陸王に脅されて無理矢理友人関係を強要されているといったことはありませんか? 今日の誘いも、強引に取り付けられ、断れなかったというようなことは」
えええええ!?
「ちょっと待て、とんでもない質問するんじゃねえよ! 俺は未成年略取の犯罪者か!」
「貴方は容貌に問題がありますからね。その顔で威嚇されれば成人した男性でも怯みます。相手が未成年である以上、相手の確認を取るに越したことはありません。万一にでも、脅され連れまわされたなどという訴えを起こされたら、貴方は確実に有罪になります。その顔で。社に与える損害は計り知れません」
「顔だけで有罪にされて堪るか!!」
二本松さん、遼平さんに対してひどすぎるよ。
ちちちちゃんと説明しなきゃ。
でも、人が会話をしている中に入り込むなんてできない、恐い、緊張する……!
でもでも、ちゃんと説明しないと、遼平さんが誤解されたままになってしまう!!
「あ、の!」
必死になって声を振り絞る。
遼平さんの背中に隠れたままだけど、続けた。
「無理矢理誘われたんじゃありま、せん、僕は昨日から、眠れないぐらいに楽しみに、してて……、今日も寝坊して遅刻しそうになったぐらいで、遼平さんは、大事な、友達です……!」
「…………」
二本松さんが沈黙した。遼平さんまでも。
僕、変なこと言ったかな!?
心臓がドキって嫌な音を立てた。
「そっか。無理矢理じゃなかったんだな。お兄さんも安心したよ。メガネ取るよー」
「わぁ!?」
茶髪の人に急に距離を詰められ眼鏡を掴まれた!
初対面の人にいきなり触られるなんて!
び、びっくりした、ほんとにびっくりした!!
思わず体を逸らして一歩下がってしまった。
茶髪さんは眼鏡を掴んだままだった。僕が下がったせいだけど、眼鏡を顔から毟り取るみたいになってしまったので擦れた耳が痛い。
「葉月は人慣れしてないんだ。いきなり触るな」
遼平さんが間に割って入ってくれる。
背中にしがみ付いて顔を埋めた。
「わりぃわりぃ。まさかこんなに過剰反応されるとは思ってなくて。触るよー」
宣言してはくれたけど、今度は顎に指を伸ばしてきた!
僕は遼平さんの背中に顔を伏せてたっていうのに、有無を言わせぬ強さでくいって顔を上げさせられる。
長く被さってた前髪もかきわけられ、目が合って――。
うぅ、駄目だ。緊張する!
顎を上げられ顔を覗き込まれたまま、視線を斜め下に下げる。
「――――――――――」
近い。知らない人が近い。
遼平さん、助けてください。
ジャケットの裾をぎゅっと握り締める。
「……今回はマジだったのか」
「まさか、本当に」
茶髪さんと二本松さんが愕然と呟いた。
「そーだろうが。言った通りだったろうが」
遼平さんだけがやたらと得意げだ。
「くっそ、これじゃ二人とも負けだな。掛け金は募金か」
二人して財布から千円札を取り出してカウンターの上に置いてあった盲導犬の募金箱へと突っ込んだ。一気に千円も募金するなんてすごいなあ。
「人を賭けのネタにすんじゃねーよ」
「まさかお前がほんとに美人を連れてくるなんて夢にも思ってなかったんだよ。絶対ヌマクローだと思ったのによ」
「私はカビルンルンだとばかり」
「お前等ふざけんなよマジで」
「ところで葉月さん」
「は、はい」
二本松さんが茶髪さんの掌をぱしりと叩き落としてくれた。
やった、やっと自由になれたぞ。
押してしまうぐらいの勢いで遼平さんの背中にくっつく。
「テディベアに興味はおありですか?」
テディベア? ヌイグルミの?
「い、いいえ、特には……?」
どうしてそんなことを聞くんだろう?
「そうですか。残念です。では、好きな動物は?」
「えと、その、ウサギが……」
犬も猫も可愛い。ゾウやサイ、ライオンなんかもかっこいい。
動物は何でも好きなんだけど一つだけ選べって言われたらウサギだ。
小学校の頃、学校で飼ってて世話をしたことがあるから。
僕に良く懐いてくれて飼育小屋に入ったら周りをくるくる跳ねたんだ。
「なるほど。可愛らしいですね。実にぴったりです」
ぴったり? 何が?
「ヌイグルミなんか寄こすなよ。葉月はこう見えても十八なんだからな」
「可愛い子がヌイグルミを抱く姿は全人類の癒しなのに?」
「真顔で言うな」
「葉月君はどちらかと言えば綺麗系だから、可愛いグッズと組み合わせるよりセクシー系がいいんじゃねーの? 鞭とか、ガーターベルトとか」
「やめろ! 教育に悪いだろが! ……もういい、文句言ってる時間も勿体ねえ。早速頼む」
「はいはいさー。ほら、こっちおいで、葉月君」
鞭? ベルト?
茶髪さんに鏡の前の椅子を引かれ遼平さんにも促されて、わけもわからないまま座る。と、大きな布を体に巻かれた。
え? ここ、床屋さんだったの?
口を差し挟む暇も無く髪を切られ軽く洗われブローされる。
生まれてこのかた床屋さんに行ったことがない。
幼稚園の頃から、お父さんに怒られながら自分で切ってた。
人の指が髪や地肌を撫でる感触に体を硬くしてしまう。
時折顔を覗きこんでくる男の人にも慣れなくて、施術中は半分以上目を閉じていた。
「はい、完成したよ」
って言われて、ようように瞼を開く。
「磨けば光るとは思ったけど……予想以上に光ったねぇ……。そこらの女じゃ太刀打ちできないぐらいに美人だよ」
茶髪さんが感心したみたいに言った。
鏡の中の僕は、遼平さんいわく髪が多いから頭が大きく見えると言う髪を適度に梳かれ、前髪をばっさり切られた、朝までの僕とは別人のような僕だった。
「あの、メガネ、ください」
確かにましにはなったかもしれないが美人ではないし、何より、顔が晒されているのが嫌だ。
鏡の自分と目を合わせるのも嫌で、俯いて手を差し出した。
どこかレトロな感じのする僕の住んでる町とは違い近代的なビルの立ち並ぶ光景が広がってきた。
徒歩で通えるお弁当屋さんと、スーパーだけが僕の行動範囲だ。
少し離れただけで街の景観が全く違うなんて。
僕の世界ってほんとに狭いんだなぁ。
窓に張り付くようにしてあちこち見回す僕を他所に、車はおしゃれなビルの駐車場へと滑りこんだ。
「はい。到着しましたー」
「ここはどこ?」
「いいから、行くぞ」
「うん……?」
良くわからないけど、車から降りた遼平さんの後に続く。
駐車場からエレベーターに乗り、押されたのは『5』のボタン。
エレベータはガラス張りだった。急激に遠くなる地面に足がゾワってした。
たどり着いたのは五階。通路の左右はガラス張りのオフィスだ。
前にテレビでちらりと見たドラマのワンシーンみたいな洗練された光景に「ふわー」って溜息が漏れる。こんな世界が実在してたんだ……。
遼平さんはドアの前で止まると、機械にカードをスキャンさせて番号を押した。
ドアが自動で開く。
先に広がったのは、鏡と、ガラス張りの部屋だった。
「よう。早かったな」
「おう」
雑誌を手にソファに身を沈めた男性が片手を上げて挨拶する。
ウェーブがかった栗色の髪をしたアクセサリーも服装も洗練されたカッコいい人だ。
その向かいにメガネを掛けた黒髪の人が座っている。こちらはスーツ姿だった。
「なんで二本松まで居るんだよ」
遼平さんが黒髪の人に言った。
「貴方のお友達を紹介していただきたくてお待ちしていました」
二人してこちらに歩み寄ってくる。
知らない人だ。
思わず遼平さんを盾にして広い背中の後ろに隠れた。
「はじめまして。二本松と申します」
「は、はじめ、まして……」
黒髪の人が聞き取りやすい声で自己紹介をしてくれた。
「陸王から未成年の友人が出来たとうかがいまして、お待ちしておりました。念の為に確認させてください。陸王に脅されて無理矢理友人関係を強要されているといったことはありませんか? 今日の誘いも、強引に取り付けられ、断れなかったというようなことは」
えええええ!?
「ちょっと待て、とんでもない質問するんじゃねえよ! 俺は未成年略取の犯罪者か!」
「貴方は容貌に問題がありますからね。その顔で威嚇されれば成人した男性でも怯みます。相手が未成年である以上、相手の確認を取るに越したことはありません。万一にでも、脅され連れまわされたなどという訴えを起こされたら、貴方は確実に有罪になります。その顔で。社に与える損害は計り知れません」
「顔だけで有罪にされて堪るか!!」
二本松さん、遼平さんに対してひどすぎるよ。
ちちちちゃんと説明しなきゃ。
でも、人が会話をしている中に入り込むなんてできない、恐い、緊張する……!
でもでも、ちゃんと説明しないと、遼平さんが誤解されたままになってしまう!!
「あ、の!」
必死になって声を振り絞る。
遼平さんの背中に隠れたままだけど、続けた。
「無理矢理誘われたんじゃありま、せん、僕は昨日から、眠れないぐらいに楽しみに、してて……、今日も寝坊して遅刻しそうになったぐらいで、遼平さんは、大事な、友達です……!」
「…………」
二本松さんが沈黙した。遼平さんまでも。
僕、変なこと言ったかな!?
心臓がドキって嫌な音を立てた。
「そっか。無理矢理じゃなかったんだな。お兄さんも安心したよ。メガネ取るよー」
「わぁ!?」
茶髪の人に急に距離を詰められ眼鏡を掴まれた!
初対面の人にいきなり触られるなんて!
び、びっくりした、ほんとにびっくりした!!
思わず体を逸らして一歩下がってしまった。
茶髪さんは眼鏡を掴んだままだった。僕が下がったせいだけど、眼鏡を顔から毟り取るみたいになってしまったので擦れた耳が痛い。
「葉月は人慣れしてないんだ。いきなり触るな」
遼平さんが間に割って入ってくれる。
背中にしがみ付いて顔を埋めた。
「わりぃわりぃ。まさかこんなに過剰反応されるとは思ってなくて。触るよー」
宣言してはくれたけど、今度は顎に指を伸ばしてきた!
僕は遼平さんの背中に顔を伏せてたっていうのに、有無を言わせぬ強さでくいって顔を上げさせられる。
長く被さってた前髪もかきわけられ、目が合って――。
うぅ、駄目だ。緊張する!
顎を上げられ顔を覗き込まれたまま、視線を斜め下に下げる。
「――――――――――」
近い。知らない人が近い。
遼平さん、助けてください。
ジャケットの裾をぎゅっと握り締める。
「……今回はマジだったのか」
「まさか、本当に」
茶髪さんと二本松さんが愕然と呟いた。
「そーだろうが。言った通りだったろうが」
遼平さんだけがやたらと得意げだ。
「くっそ、これじゃ二人とも負けだな。掛け金は募金か」
二人して財布から千円札を取り出してカウンターの上に置いてあった盲導犬の募金箱へと突っ込んだ。一気に千円も募金するなんてすごいなあ。
「人を賭けのネタにすんじゃねーよ」
「まさかお前がほんとに美人を連れてくるなんて夢にも思ってなかったんだよ。絶対ヌマクローだと思ったのによ」
「私はカビルンルンだとばかり」
「お前等ふざけんなよマジで」
「ところで葉月さん」
「は、はい」
二本松さんが茶髪さんの掌をぱしりと叩き落としてくれた。
やった、やっと自由になれたぞ。
押してしまうぐらいの勢いで遼平さんの背中にくっつく。
「テディベアに興味はおありですか?」
テディベア? ヌイグルミの?
「い、いいえ、特には……?」
どうしてそんなことを聞くんだろう?
「そうですか。残念です。では、好きな動物は?」
「えと、その、ウサギが……」
犬も猫も可愛い。ゾウやサイ、ライオンなんかもかっこいい。
動物は何でも好きなんだけど一つだけ選べって言われたらウサギだ。
小学校の頃、学校で飼ってて世話をしたことがあるから。
僕に良く懐いてくれて飼育小屋に入ったら周りをくるくる跳ねたんだ。
「なるほど。可愛らしいですね。実にぴったりです」
ぴったり? 何が?
「ヌイグルミなんか寄こすなよ。葉月はこう見えても十八なんだからな」
「可愛い子がヌイグルミを抱く姿は全人類の癒しなのに?」
「真顔で言うな」
「葉月君はどちらかと言えば綺麗系だから、可愛いグッズと組み合わせるよりセクシー系がいいんじゃねーの? 鞭とか、ガーターベルトとか」
「やめろ! 教育に悪いだろが! ……もういい、文句言ってる時間も勿体ねえ。早速頼む」
「はいはいさー。ほら、こっちおいで、葉月君」
鞭? ベルト?
茶髪さんに鏡の前の椅子を引かれ遼平さんにも促されて、わけもわからないまま座る。と、大きな布を体に巻かれた。
え? ここ、床屋さんだったの?
口を差し挟む暇も無く髪を切られ軽く洗われブローされる。
生まれてこのかた床屋さんに行ったことがない。
幼稚園の頃から、お父さんに怒られながら自分で切ってた。
人の指が髪や地肌を撫でる感触に体を硬くしてしまう。
時折顔を覗きこんでくる男の人にも慣れなくて、施術中は半分以上目を閉じていた。
「はい、完成したよ」
って言われて、ようように瞼を開く。
「磨けば光るとは思ったけど……予想以上に光ったねぇ……。そこらの女じゃ太刀打ちできないぐらいに美人だよ」
茶髪さんが感心したみたいに言った。
鏡の中の僕は、遼平さんいわく髪が多いから頭が大きく見えると言う髪を適度に梳かれ、前髪をばっさり切られた、朝までの僕とは別人のような僕だった。
「あの、メガネ、ください」
確かにましにはなったかもしれないが美人ではないし、何より、顔が晒されているのが嫌だ。
鏡の自分と目を合わせるのも嫌で、俯いて手を差し出した。
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