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<叶直樹の本性――叶の独白>
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泣きじゃくる凜の背中を撫でる。
まるで涙腺が壊れたみたいに泣いて、ネクタイ越しに涙が染みてきそうな程だ。
顔をくしゃくしゃにして泣く姿も可愛らしい。
柔らかな髪を指先で撫でると仄かにオレンジの香りがした。
(女になりたかった、か)
馬鹿な事を。
凜は凜のまま俺の傍に居ればいい。
何一つ否定する事も、変わる必要も無い。
八年前、陸橋の上に立つ凜に声をかけたのはほんの気まぐれだ。
ごく普通の学生が凍えたような瞳で車の流れを見ていたのが目に止まっただけに過ぎない。
声を掛けたあの瞬間は、八年後に恋人同士になるなど予想さえしていなかった。
欲しくなるなど、予想さえしてなかった。
凜は素直な気質と喜怒哀楽が判りやすく表に出る性格のせいで、よく、人に犬と例えられる。
俺も出会ってすぐは犬を飼っている程度の認識でしかなかったのかもしれない。
たまに手作りの餌を食べさせるだけで尻尾を振って喜ぶ手の掛からない犬を。
毛並みが柔らかく無駄吠えもしない、しかも盲目的に飼い主に懐いているとなれば申し分ない可愛い可愛い忠犬だ。
出会った頃の凜はまだ十五歳だった。
凜は自分のことを『甘えたがりで鬱陶しい』などと言うが、その当時から人に踏み込みすぎずに、一定の距離を保っていた。
少なくとも、女さえ部屋に入れたことの無かった俺が手元に置いてもいいと思える程度には。
「なぁ、凛。俺と一緒に住まないか?」
初めてそう切り出したのは、凜と出会った五ヵ月後のことだ。
当時住んでいたのは2LDKの部屋で、高校生が一人増えても問題は無かった。
凜に問うと、凜は泣き出しそうなぐらいに喜んだ顔をしてみせ、俺の袖をぎゅっと握り締め――、顔を伏せて首を振った。
断られるのは予想の範疇だ。
だが、喜んだ顔の後の返事にはそぐわない。
「俺と一緒に居るのは嫌か?」
「違います!! 一緒に居たいです! でも、オレ、甘ったれで面倒くさいから。オレの両親もオレが傍にいるの鬱陶しがったぐらいで……だから、一緒に住むことはできません」
「お前を鬱陶しいなんて思ったことは無いぞ」
「ありがとうございます……」
寂しがりで甘えたがりの癖に「親が居ない」と友人に言えないせいで人生の大半を一人で生きている。
常に家族に飢えている。
連絡も入れずに凜の部屋に寄ったというのに、それこそ、長い間家を留守にしていた飼い主を迎える犬のように飛びついて喜びを露にしたほどに。
なのに、人を受け入れようとはしない。
小学二年生で両親の関心を失った。
凜に擦りこまれた恐怖は、人格の形勢に大きく傷を付けていた。
凜はどんな暴言を言われようとぞんざいな扱いをされようと道化で居続ける子どもになっていた。
本心を出さない。
本音を晒す事をせずに他人と一定の距離を持つ。
怒らない。泣かない。拗ねてもほんの数分で機嫌を取り戻す。
俺と出会った高校生の頃にはすでに、一見、肝要なようでいて、決定的に他人と線を引き、笑顔の仮面を被り続ける鈴森凜が出来上がってしまっていた。
それでも俺は凜の一番近くまでもぐりこめたはずだった。
緩やかに警戒心を溶かして行けば、手元に置く事も可能だった。
間違えたのは俺だ。
凜は俺に対して何ひとつ要求したことが無い。
そんな凜が初めて「行ってみたいな」そう漏らしたのが、国内でも屈指の遊園地だった。
勿論俺に向かって告げられた言葉ではない。
買い物中、街頭ビジョンに流れたCMに呟いたのだ。
長期休暇を利用して誘ってみれば、凜は大げさに両手を振って遠慮した。
「そ――そんな、高いのに、奢ってもらうなんて無理です!」
「行きたいと言ってただろう? お前が来ないならチケットが無駄になるんだが」
「変わりに、女の人を誘うとか……」
「泊まりにか? 俺に恋人が居ないのは知ってるだろう?」
「恋人じゃなくても、叶さんが誘えばどんな女の人だって喜びますよ!」
「……お前は俺をそんな軽い男だと思っていたのか? 親しくも無い女性を泊まりに誘うなんて無理だよ」
「――――」
「お前が行かないなら、しょうがない」
破ろうとすると慌てて飛びついてきた。
「あ――ぅ、い、行きます!! でも、お金はちゃんと払いますから金額を教えてください」
「俺が金に困ったらな」
「困らなくてもです!」
その旅行中に凜のわき腹に傷を見つけた。明らかに事故などではなく、意図して付けられた傷だ。古い物から生々しく開いているものまである。
反射的にいじめられているのだと考えた。
「誰にやられたんだ?」
凜の体に傷を付けるなど例え子どもであっても――――。
「違います……、その、自分、で」
「自分で?」
「ぅ……変な癖になってて……」
凜は顔を伏せて白状した。
自傷癖があるのだと。
次にやったら俺の体にも同じ傷を付けると言って、二度としないと約束をさせた。
心理学に明るくは無いが自傷行為など一朝一夕に止められる物でないことぐらいは判る。
凜の場合も俺の制止は効果が無く、凜は二週間もせずに新しい傷を作った。
自分の腹に傷をつけようとした俺に、凜は顔を真っ青にして唇をわななかせて謝罪した。
「、、、もう二度としません……! ごめんなさい、許してください、しないでください……!」
約束は約束だ。この程度のことが凜の歯止めになるなら、と、一気に数本の傷を付けた。
俺の傷から血が滴ると同時に、大きな瞳から涙が溢れ顎へ流れていく。
「あ、ご、ごめん、なさい、お、おれ、のせいで、かのー、さん、ぁ、」
凜は声すらまともに出せない様子で、顔を真っ青にして一歩下がった。
俺が考えている以上に、凜は俺を掛け替えの無い存在としていたようで、たかだか引っ掻き傷で喋ることが出来なくなるほどの衝撃を受けていた。
これが原因だった。
凜は、俺との間に明確な線を引いてしまった。
父親と母親に捨てられた恐怖から、距離を詰めようとすればするほど離れて行く。
甘えたがりで依存症だからこそ、自分が溺れないように距離を取ろうとする。
一緒に暮らすどころか、大学受験を理由に極端に会う時間が減った。
更に俺が出張先から出張先に飛ばされる生活となったせいで、凜とは月に一回程度も会えなくなった。
互いに落ち着いたのは、凜がようやく二十歳になった頃だ。
「今日から酒解禁だな。呑ませてやるから来い」
凜の誕生日に誘いを掛けると、凜は大喜びで駆けつけた。
酒だけじゃなく準備していた誕生日ケーキと凜の好物もテーブルに並べる。甘い卵焼きに、凜は高校生の頃と同じ仕草で飛び付いて来た。
初めて出会った時から五年が経過し、とうとう成人したというのに、俺にとって凜は可愛い存在のままだった。
準備していたのはジュースのように飲みやすいチューハイだ。
初めての酒で酒量などわかるはずもなく、凜はすぐに酩酊してラグに転がった。
「凜」
「ふぁい~?」
気持ち良さそうに笑いながら見上げてくる。随分といい酒だ。
「そろそろ一緒に暮らさないか?」
凜はラグに懐いたまま首を振った。
「また振られたな」
「叶さんは大事な人ですから、絶対嫌われたくないんれす。だから、オレ、叶さんとだけは一緒に住みたくないれす……」
ジュースのような酒を片手に、ふわふわと舌足らずに笑う。
そして眠たげに瞼を閉じ始めた。
「こら、凜、起きろ。寝るならベッドで眠れ」
「んぁ……」
まだ二月だ。部屋が暖かいとは言えども、こんな場所で寝ては風邪を引く。
「しょうがないな」
抱き上げてベッドまで運んでやる。
柔らかいマットの上に寝かせると凜は瞼を開いた。
「寝た振りをしてたな?」
笑いながら小さな頭を軽く小突く。凜も俺の袖を掴んで笑った。
これ以上の幸せは無いとでも言いたげな、嬉しそうな顔で。
「――――凜」
掌が勝手に凜の頬を辿る。
擽ったそうにくすくすと笑って頬ずりしてきた。
凜。
付き合った女は何人も居た。凜には「親しくも無い女性を泊まりに誘うなんて無理だ」などと言ったが、一夜限りの関係の女も数えるのが億劫になる程度には居た。
こんな衝動は初めてだった。
「さっきの話だが、やはり一緒に暮らさないか」
「だから……、かのうさんとだけは、だめですって」
信頼しきった表情で笑う。
俺はお前しかいらないんだ。
反射的に口に出しそうになったのに、声は出なかった。
『好きだ』『愛している』『大切にしたい』『お前だけだ』そんな、様々な愛の言葉を紙切れより軽く扱ってきた。いつでも、誰にでも口に出せた。
なのに、初めて、言葉が出なかった。
「お前が好きだから一緒に住みたい、と言っても?」
言えたのはそんな、子供じみたセリフだけだ。
凜は同性だ。
そして、子どもだった。
『可愛い』という言葉で蓋をしていただけで、本当は愛して居たのだと気が付くまでに時間が掛かってしまった。
まるで涙腺が壊れたみたいに泣いて、ネクタイ越しに涙が染みてきそうな程だ。
顔をくしゃくしゃにして泣く姿も可愛らしい。
柔らかな髪を指先で撫でると仄かにオレンジの香りがした。
(女になりたかった、か)
馬鹿な事を。
凜は凜のまま俺の傍に居ればいい。
何一つ否定する事も、変わる必要も無い。
八年前、陸橋の上に立つ凜に声をかけたのはほんの気まぐれだ。
ごく普通の学生が凍えたような瞳で車の流れを見ていたのが目に止まっただけに過ぎない。
声を掛けたあの瞬間は、八年後に恋人同士になるなど予想さえしていなかった。
欲しくなるなど、予想さえしてなかった。
凜は素直な気質と喜怒哀楽が判りやすく表に出る性格のせいで、よく、人に犬と例えられる。
俺も出会ってすぐは犬を飼っている程度の認識でしかなかったのかもしれない。
たまに手作りの餌を食べさせるだけで尻尾を振って喜ぶ手の掛からない犬を。
毛並みが柔らかく無駄吠えもしない、しかも盲目的に飼い主に懐いているとなれば申し分ない可愛い可愛い忠犬だ。
出会った頃の凜はまだ十五歳だった。
凜は自分のことを『甘えたがりで鬱陶しい』などと言うが、その当時から人に踏み込みすぎずに、一定の距離を保っていた。
少なくとも、女さえ部屋に入れたことの無かった俺が手元に置いてもいいと思える程度には。
「なぁ、凛。俺と一緒に住まないか?」
初めてそう切り出したのは、凜と出会った五ヵ月後のことだ。
当時住んでいたのは2LDKの部屋で、高校生が一人増えても問題は無かった。
凜に問うと、凜は泣き出しそうなぐらいに喜んだ顔をしてみせ、俺の袖をぎゅっと握り締め――、顔を伏せて首を振った。
断られるのは予想の範疇だ。
だが、喜んだ顔の後の返事にはそぐわない。
「俺と一緒に居るのは嫌か?」
「違います!! 一緒に居たいです! でも、オレ、甘ったれで面倒くさいから。オレの両親もオレが傍にいるの鬱陶しがったぐらいで……だから、一緒に住むことはできません」
「お前を鬱陶しいなんて思ったことは無いぞ」
「ありがとうございます……」
寂しがりで甘えたがりの癖に「親が居ない」と友人に言えないせいで人生の大半を一人で生きている。
常に家族に飢えている。
連絡も入れずに凜の部屋に寄ったというのに、それこそ、長い間家を留守にしていた飼い主を迎える犬のように飛びついて喜びを露にしたほどに。
なのに、人を受け入れようとはしない。
小学二年生で両親の関心を失った。
凜に擦りこまれた恐怖は、人格の形勢に大きく傷を付けていた。
凜はどんな暴言を言われようとぞんざいな扱いをされようと道化で居続ける子どもになっていた。
本心を出さない。
本音を晒す事をせずに他人と一定の距離を持つ。
怒らない。泣かない。拗ねてもほんの数分で機嫌を取り戻す。
俺と出会った高校生の頃にはすでに、一見、肝要なようでいて、決定的に他人と線を引き、笑顔の仮面を被り続ける鈴森凜が出来上がってしまっていた。
それでも俺は凜の一番近くまでもぐりこめたはずだった。
緩やかに警戒心を溶かして行けば、手元に置く事も可能だった。
間違えたのは俺だ。
凜は俺に対して何ひとつ要求したことが無い。
そんな凜が初めて「行ってみたいな」そう漏らしたのが、国内でも屈指の遊園地だった。
勿論俺に向かって告げられた言葉ではない。
買い物中、街頭ビジョンに流れたCMに呟いたのだ。
長期休暇を利用して誘ってみれば、凜は大げさに両手を振って遠慮した。
「そ――そんな、高いのに、奢ってもらうなんて無理です!」
「行きたいと言ってただろう? お前が来ないならチケットが無駄になるんだが」
「変わりに、女の人を誘うとか……」
「泊まりにか? 俺に恋人が居ないのは知ってるだろう?」
「恋人じゃなくても、叶さんが誘えばどんな女の人だって喜びますよ!」
「……お前は俺をそんな軽い男だと思っていたのか? 親しくも無い女性を泊まりに誘うなんて無理だよ」
「――――」
「お前が行かないなら、しょうがない」
破ろうとすると慌てて飛びついてきた。
「あ――ぅ、い、行きます!! でも、お金はちゃんと払いますから金額を教えてください」
「俺が金に困ったらな」
「困らなくてもです!」
その旅行中に凜のわき腹に傷を見つけた。明らかに事故などではなく、意図して付けられた傷だ。古い物から生々しく開いているものまである。
反射的にいじめられているのだと考えた。
「誰にやられたんだ?」
凜の体に傷を付けるなど例え子どもであっても――――。
「違います……、その、自分、で」
「自分で?」
「ぅ……変な癖になってて……」
凜は顔を伏せて白状した。
自傷癖があるのだと。
次にやったら俺の体にも同じ傷を付けると言って、二度としないと約束をさせた。
心理学に明るくは無いが自傷行為など一朝一夕に止められる物でないことぐらいは判る。
凜の場合も俺の制止は効果が無く、凜は二週間もせずに新しい傷を作った。
自分の腹に傷をつけようとした俺に、凜は顔を真っ青にして唇をわななかせて謝罪した。
「、、、もう二度としません……! ごめんなさい、許してください、しないでください……!」
約束は約束だ。この程度のことが凜の歯止めになるなら、と、一気に数本の傷を付けた。
俺の傷から血が滴ると同時に、大きな瞳から涙が溢れ顎へ流れていく。
「あ、ご、ごめん、なさい、お、おれ、のせいで、かのー、さん、ぁ、」
凜は声すらまともに出せない様子で、顔を真っ青にして一歩下がった。
俺が考えている以上に、凜は俺を掛け替えの無い存在としていたようで、たかだか引っ掻き傷で喋ることが出来なくなるほどの衝撃を受けていた。
これが原因だった。
凜は、俺との間に明確な線を引いてしまった。
父親と母親に捨てられた恐怖から、距離を詰めようとすればするほど離れて行く。
甘えたがりで依存症だからこそ、自分が溺れないように距離を取ろうとする。
一緒に暮らすどころか、大学受験を理由に極端に会う時間が減った。
更に俺が出張先から出張先に飛ばされる生活となったせいで、凜とは月に一回程度も会えなくなった。
互いに落ち着いたのは、凜がようやく二十歳になった頃だ。
「今日から酒解禁だな。呑ませてやるから来い」
凜の誕生日に誘いを掛けると、凜は大喜びで駆けつけた。
酒だけじゃなく準備していた誕生日ケーキと凜の好物もテーブルに並べる。甘い卵焼きに、凜は高校生の頃と同じ仕草で飛び付いて来た。
初めて出会った時から五年が経過し、とうとう成人したというのに、俺にとって凜は可愛い存在のままだった。
準備していたのはジュースのように飲みやすいチューハイだ。
初めての酒で酒量などわかるはずもなく、凜はすぐに酩酊してラグに転がった。
「凜」
「ふぁい~?」
気持ち良さそうに笑いながら見上げてくる。随分といい酒だ。
「そろそろ一緒に暮らさないか?」
凜はラグに懐いたまま首を振った。
「また振られたな」
「叶さんは大事な人ですから、絶対嫌われたくないんれす。だから、オレ、叶さんとだけは一緒に住みたくないれす……」
ジュースのような酒を片手に、ふわふわと舌足らずに笑う。
そして眠たげに瞼を閉じ始めた。
「こら、凜、起きろ。寝るならベッドで眠れ」
「んぁ……」
まだ二月だ。部屋が暖かいとは言えども、こんな場所で寝ては風邪を引く。
「しょうがないな」
抱き上げてベッドまで運んでやる。
柔らかいマットの上に寝かせると凜は瞼を開いた。
「寝た振りをしてたな?」
笑いながら小さな頭を軽く小突く。凜も俺の袖を掴んで笑った。
これ以上の幸せは無いとでも言いたげな、嬉しそうな顔で。
「――――凜」
掌が勝手に凜の頬を辿る。
擽ったそうにくすくすと笑って頬ずりしてきた。
凜。
付き合った女は何人も居た。凜には「親しくも無い女性を泊まりに誘うなんて無理だ」などと言ったが、一夜限りの関係の女も数えるのが億劫になる程度には居た。
こんな衝動は初めてだった。
「さっきの話だが、やはり一緒に暮らさないか」
「だから……、かのうさんとだけは、だめですって」
信頼しきった表情で笑う。
俺はお前しかいらないんだ。
反射的に口に出しそうになったのに、声は出なかった。
『好きだ』『愛している』『大切にしたい』『お前だけだ』そんな、様々な愛の言葉を紙切れより軽く扱ってきた。いつでも、誰にでも口に出せた。
なのに、初めて、言葉が出なかった。
「お前が好きだから一緒に住みたい、と言っても?」
言えたのはそんな、子供じみたセリフだけだ。
凜は同性だ。
そして、子どもだった。
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