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<総務部での朝>
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「え!? 嘘! もうメール着てるの!?」
一斉に皆パソコンをチェックし出す。
そして、あちこちで溜息が上がった。
残念そうな溜息は主に女性、安心したみたいな溜息は男性からだ。
「すっげー楽しみですよー! オレの運命の相手って誰なんだろ……」
薬の投与日は一週間後だ。
明日、指定された病院に採血に行くように。とも書かれてた。これはちょっと面倒だな。
「田崎さんだったらどうする?」
ゴロー先輩が口の横に掌を立てて、意地悪く笑いながらこっそりと言う。
田崎さんとは独身四十歳のこの部のお局さまだ。下手な男性先輩よりずっと怖い。
小声だったのに、田崎さんにはしっかりと聞こえてしまってたようで、「あ?」と凄まれた。
ゴロー先輩が青ざめてヤベっと首を竦める。
「十歳以上年上の女性とお付き合いするなんて、なんか恐れ多いです……。でもその可能性もあるんですよね。もし田崎さんがオレの運命の人だったらその時はよろしくお願いします!」
「あら、いやよ。私は年上の男が好きなの。あんたみたいなガキは願い下げ」
「振られた……!!」
ショック! 両手の掌を頬に当てて女の子みたいなポーズをとってしまう。
フロア全体から一斉に笑い声があがった。
「――フォローさんきゅな凜。お前はほんといい子だなー」
ゴロー先輩が、今度こそこっそり言いつつオレの頭を撫でた。
フォローのつもりは無かったんだけどな。浮気をしない人なら年齢なんて全然関係ない。
キンコン。
入り口のセキュリティ解除のインターフォンが鳴る。
入って来たのは目尻の笑い皺が優しい五十代の男性だ。年齢にしては百八十に届く大柄で、がっちりとした筋肉質な体型をしている。
人事部人事総務統括の渡辺次長だ。
「おーい、ワンコー、ワンコはいるかー」
次長は渋い声でフロアに呼びかけた。
一斉に皆パソコンをチェックし出す。
そして、あちこちで溜息が上がった。
残念そうな溜息は主に女性、安心したみたいな溜息は男性からだ。
「すっげー楽しみですよー! オレの運命の相手って誰なんだろ……」
薬の投与日は一週間後だ。
明日、指定された病院に採血に行くように。とも書かれてた。これはちょっと面倒だな。
「田崎さんだったらどうする?」
ゴロー先輩が口の横に掌を立てて、意地悪く笑いながらこっそりと言う。
田崎さんとは独身四十歳のこの部のお局さまだ。下手な男性先輩よりずっと怖い。
小声だったのに、田崎さんにはしっかりと聞こえてしまってたようで、「あ?」と凄まれた。
ゴロー先輩が青ざめてヤベっと首を竦める。
「十歳以上年上の女性とお付き合いするなんて、なんか恐れ多いです……。でもその可能性もあるんですよね。もし田崎さんがオレの運命の人だったらその時はよろしくお願いします!」
「あら、いやよ。私は年上の男が好きなの。あんたみたいなガキは願い下げ」
「振られた……!!」
ショック! 両手の掌を頬に当てて女の子みたいなポーズをとってしまう。
フロア全体から一斉に笑い声があがった。
「――フォローさんきゅな凜。お前はほんといい子だなー」
ゴロー先輩が、今度こそこっそり言いつつオレの頭を撫でた。
フォローのつもりは無かったんだけどな。浮気をしない人なら年齢なんて全然関係ない。
キンコン。
入り口のセキュリティ解除のインターフォンが鳴る。
入って来たのは目尻の笑い皺が優しい五十代の男性だ。年齢にしては百八十に届く大柄で、がっちりとした筋肉質な体型をしている。
人事部人事総務統括の渡辺次長だ。
「おーい、ワンコー、ワンコはいるかー」
次長は渋い声でフロアに呼びかけた。
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