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<総務部での朝>
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「だってあんなもん発情薬としか思えねーだろ。ようするに普段は押し込めてる本能を無理やり呼び起こしてサカラセて、ツガイにする薬なんだぜ? ぞっとするぜ」
「身も蓋も無い言い方しないでくださいよ。ロマンチックじゃないですか。相性のいい人を見つけられるなんて……」
「そうよ。凜君の言う通りよー」
先輩とは逆隣の席の椅子が引かれた。
この総務部のアイドル的存在である真美先輩だ。
年齢は二十七歳。栗色の髪を緩く巻いた、見ているだけで目の保養になる美人だ。
「遺伝子レベルで適合する相手なんて、まさに運命の人よ。そんな人と結婚するのが一番よねー。私、参加してみたいなぁ」
夢見るみたいにいった真美先輩に、隣の列の恋子先輩が手を上げて続けた。
「わかる! 私なんか今年に入って三人と付き合って三人とも別れたんだよ! 最短の交際期間はなんと三時間! 私も運命の人と出会って、長く続く燃えるような恋がしたい」
今年に入って三人!?
ふえーと気の抜けた声を出してしまった。
今年だけで三人も恋人が出来たなんて凄いなぁ。オレなんか、大学時代に彼女と別れたっきりご縁が無いのに……。
――といいますか、あまり大きな声では言えないのですが、オレ、大学時代に付き合った彼女が生まれてはじめての彼女でした。
それで、同棲までこぎつけたんだけど……。
同棲をした矢先に彼女が浮気をしてしまいました。
オレ、彼女が浮気をしていただなんて全然気が付いてなかった。
彼女との生活が家族が出来たみたいで幸せだーなんて毎日満喫てした。
そんなさなか、オレのスマホに彼女と浮気相手との……その……アレな最中の写真が……宛先不明のメアドから送られてきたんです……。
しかも写真だけじゃなく、音声ファイルまでついていた。
同棲までした大好きな彼女がオレのことを『男として情けないしー、まじ頼りなさすぎて友達に恥ずかしいレベルだしー』なんて言ってる声に本気で泣いた。
浮気をしたのは彼女だけど彼女を責めることはできない。
だって、オレ、ほんとに情けない彼氏だったんだ。
虫が怖いし暗闇もお化けも怖いしお化け屋敷も絶叫マシンも怖いし(絶叫マシンは怖いけど好きだけど)
そのくせ彼女大好きでずっとくっついてたがったり、そのくせエッチは幻滅されそうでできなかったり(超童貞でした。今も超童貞です)
浮気をされるのも、文句を言われるのも、仕方が無かったんです。
オレに音声ファイルやアレな写真を送ってきた相手はいまだにわかりません。
十中八九、彼女本人だと思ってます。
エッチができない情けないオレをたきつけようとしたんじゃないかなって。
「身も蓋も無い言い方しないでくださいよ。ロマンチックじゃないですか。相性のいい人を見つけられるなんて……」
「そうよ。凜君の言う通りよー」
先輩とは逆隣の席の椅子が引かれた。
この総務部のアイドル的存在である真美先輩だ。
年齢は二十七歳。栗色の髪を緩く巻いた、見ているだけで目の保養になる美人だ。
「遺伝子レベルで適合する相手なんて、まさに運命の人よ。そんな人と結婚するのが一番よねー。私、参加してみたいなぁ」
夢見るみたいにいった真美先輩に、隣の列の恋子先輩が手を上げて続けた。
「わかる! 私なんか今年に入って三人と付き合って三人とも別れたんだよ! 最短の交際期間はなんと三時間! 私も運命の人と出会って、長く続く燃えるような恋がしたい」
今年に入って三人!?
ふえーと気の抜けた声を出してしまった。
今年だけで三人も恋人が出来たなんて凄いなぁ。オレなんか、大学時代に彼女と別れたっきりご縁が無いのに……。
――といいますか、あまり大きな声では言えないのですが、オレ、大学時代に付き合った彼女が生まれてはじめての彼女でした。
それで、同棲までこぎつけたんだけど……。
同棲をした矢先に彼女が浮気をしてしまいました。
オレ、彼女が浮気をしていただなんて全然気が付いてなかった。
彼女との生活が家族が出来たみたいで幸せだーなんて毎日満喫てした。
そんなさなか、オレのスマホに彼女と浮気相手との……その……アレな最中の写真が……宛先不明のメアドから送られてきたんです……。
しかも写真だけじゃなく、音声ファイルまでついていた。
同棲までした大好きな彼女がオレのことを『男として情けないしー、まじ頼りなさすぎて友達に恥ずかしいレベルだしー』なんて言ってる声に本気で泣いた。
浮気をしたのは彼女だけど彼女を責めることはできない。
だって、オレ、ほんとに情けない彼氏だったんだ。
虫が怖いし暗闇もお化けも怖いしお化け屋敷も絶叫マシンも怖いし(絶叫マシンは怖いけど好きだけど)
そのくせ彼女大好きでずっとくっついてたがったり、そのくせエッチは幻滅されそうでできなかったり(超童貞でした。今も超童貞です)
浮気をされるのも、文句を言われるのも、仕方が無かったんです。
オレに音声ファイルやアレな写真を送ってきた相手はいまだにわかりません。
十中八九、彼女本人だと思ってます。
エッチができない情けないオレをたきつけようとしたんじゃないかなって。
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