上 下
95 / 101
エピソード9

26話

しおりを挟む
6人は戦い疲れてヘトヘトだ、エスタン王国の宿に戻り、特に翔太とゼオの身体が酷く弱ってる、1週間ずっとベッドで横になっている、レーナは個室で今まで集めた秘境のアイテムを整理する、そして植物人間になっているエリーゼと挨拶をして再びリエールの館に行く
「リエールの奴、幾つ家を持ってるよ...今気づいたけど」
絶島ではない、最初に行ったリエールの館に向かったレーナ
「あれ?レーナは?」
キャロルが松葉杖を持ちながら歩き、レーナがいない事に気付く
「レーナなら置き手紙をして出て行ったよ」
達也がキャロルに手紙を渡す
「内容的は依頼を達成したから最後の素材を取りに行くって事さ」
「そうか、遂にか」
キャロルは安堵の笑みを浮かべると同時に1人で大丈夫か心配なった
「キャロル、安心しろ、レーナも俺もお前も強くなった、心配するな」
「そうだな」
レーナは1人でリエールの館に行った、それで霊の娘に会いにいく、館には自分たちが争った後はそのままになっている、そして祝福の花瓶が目の前にある
「どこにいるの?出ておいで」
レーナの呼びかけに娘の霊が現れる
「貴方に言われた通りに貴方の母を倒したよ」
「分かってるわ」
「聞いていいかしら?」
「何を?」
レーナはリエールと戦闘中に見た背景の事についてきいてみた
「そうね...本当の事ね」
「私の魔力が急激に増加したのって」
「貴方の憶測通りよ、私が才能で貴方に力を与えました」
「どうして、そんな事を」
「私は小さい頃、母、リエールから魔術は人を幸せにするものって言ってた、そんな本人が歪んだ自己愛でこんな狂気的な行動を取るなんて、だから誰かに倒して欲しかった」
レーナが黙って話を聞く
「もしよければ、私の才能を、力を、魔術を貴方に授けましょう、1人の友人のためにここまで命を張れる人ならば私の才能を貴方に授けていいでしょう」
「分かったわ、貴方がそこまでいうなら、その力、遠慮なく貰い受けるわ」
レーナの身体に変化がした、髪質が良くなり、精神がとき澄まされ、身体が軽くなったように感じた
「ありがとう」
そして、祝福の花瓶をも手に入れた、エスタン王国の宿に戻り、遂に錬金術を始める、レーナは緊張した、これはあくまで資料から情報を集め、考察と憶測で成す技、まず祝福の花瓶の中に世界樹の聖土を入れる、そして、ハーブの種を蒔いて、幸運水と綺麗な水を混ぜ合わせて、毎日毎日水やりをする、すると凄いスピードで芽が出てすぐに花が咲いた、とてもいい香りがする、キャロルが花を栽培しているレーナに声をかける
「これがお前が考えた、どんな傷も癒えるハーブティーか?」
キャロルが興味津々で祝福の花瓶に近寄る
「いい香りがする、これが秘境で手に入れた特別の花か」
「後は葉を容器に入れて幸運の水のお湯でフィルターから葉を出せば完成よ」
この1週間、レーナは気合を込めて花を栽培してハーブティーを作り出した、そして達也、キャロル、3人で試食をしてみる事になる
「どうかな?」
「すごく美味いじゃないか」
「なんだろう、イヤな記憶がイヤじゃなくなる感覚」
「分かる」
レーナは2人の感想を聞いて自信がついた、遂に完成した特別のハーブティーを植物状態のエリーゼの飲ませる、すると、目に輝きが宿る、すると
「レーナちゃん...?それにキャロル」
どうやら、成功したようだ、レーナはエリーゼに抱きつき喜びを示す、エリーゼはそんなレーナに感謝の意を示す、翔太とゼオは戦いに疲れてまだ療養中だ、怪我もまだ癒えずロクに戦えない、松葉杖で歩く生活が続く、そんな2人に特別のハーブティーを飲ませると、すぐに傷が癒えた
「なんだ?この飲み物は?」
「レーナが作ったエリーゼに飲ませるために作った特別なハーブティーだよ」
それを飲んだ2人は徐々に回復して行った、精神的にも軽くなり、直ぐに病院から退院して行った、2人は腕を回して肩をならした
「分かっているな」
「ああ、最後にやるべき事が」
翔太とゼオは裕也が販売しているヴァリスパンを食しながら仲間を集める
「よう!翔太、ん?随分傷が増えたな」
「ああ、いろいろあった、退院祝いにヴァリスパンを4つくれ」
「おーけー、ヴァリスパン!4つ!」
「はーい」
「翔太、全部食うつもりか?」
「当たり前よ」
ヴァリスパンを食っていると、達也、レーナ、キャロル、そしてエリーゼがやってきた
「もうすぐ情報屋がここに来るから、もう少し待ってね」
数分すると、情報屋が3人やってきた
「やあ、久しぶりだね」
「挨拶はいい、本題に入ろう」
「この冒険と戦争...それを引き起こした諜報人はロイタール・アンデルセン、奴の目的は魔王ゼルキオラを復活させる事だ」
「魔王...?」
「なんだそら」
「まあ、信じろっていう方が無理がある」
「魔王ゼルキオラ...かつてこの世界に厄災をもたらした怪物、先代の英雄であるエスタンとヴァリスタン、そして女神と言われる聖女によって封印された」
「そして2人の兄弟は別れて統治をして人々を導いた」
「ロイタールが何故、魔王ゼルキオラの復活を目論むのか、それは分からないが、まあいい」
翔太が初めてロイタールと出会った洞窟の中、こういう言葉を思い出した
「なんか、ロイタールの奴、心に鬼を飼っている、とか、知的好奇心とか、そんな感じで出会った、あ!」
翔太が何か察した
「なあ!魔王ゼルキオラを復活する条件ってなんだ?」
「賢者の秘石と英雄の秘石、そして女神の秘石、そして魔王の元になる鬼の結晶」
「鬼の結晶?」
翔太はリエールの館で自分の身体から何かが摘出されるもの感じた
「もう復活を阻止するのは出来ないだろう」
「そういえば、両国の上層部もこの事態を把握してあるらしい、エスタンとヴァリスタンは総力をあげてロイタールの野望を喰い止めるつもりだ」
「そうか」
「1週間後、両国の軍は連合を組んで世界の戦争に備えるつもりだ、そして各国の王国や上層部もこの事を把握してある」
「この1週間、お前達は魔王ゼルキオラの戦争に備えるためにいろいろとやっておいた方がいいだろう」
「ああ...情報提供感謝する」

ここはとある未開の場所
「情報によると、ここら辺に...」
シノブとリーはロイタールの居場所を把握していた、それは誰も近寄ろうとしない禍々しい雰囲気を放つ場所、名前を知らない、名前すらもない所だ
「身を隠すなら呪いとか噂とかそんな誰も近寄らない場所で身を隠すよな」
「何がいる」
「ああ」
2人は静寂な空間の中、何者かの存在に意識を集中させる、右から影がやってくる
リーは掌底で何もかの顔面を砕く、その何者かは悪魔のような姿をした奴だった
「この魔物、初めて見るな、一体なんだ」
「考えてる暇はない!来るぞ!」
悪魔のような魔物はシノブとリーに襲いかかる、悪魔のような魔物はなかなか強かったが、殺し屋の相手ではなかった、ただ、軍の一般兵士より強いのは確実だろう、手強い悪魔のような魔物を蹴散らし前の進むと大きな広場についた
「ここは?」
「何かの儀式か?」
怪しい影が儀式台の前に現れた
「何故...貴公が私の場所に把握できたのか、それはどうでもいい...か...邪魔しようと立ち塞がるなら排除するまでだ」
ロイタールが現れた
「おい...何か様子がおかしい」
「あんな姿だったか?」
ロイタールの姿は禍々しく変貌しており邪悪な表情をしている、前より魔力が上がっている、ロイタールは腕を伸ばし指先から強力なレーザービームを放つ
「消えろ」
シノブとリーが皮一枚で避ける
「なんという、ー威力だ!」
「くう!」
2人は様子を見ずに全力で戦う
「一気に行くぞ!」
「ああ、冷静でいられないな」
シノブの素早い袈裟斬りがロイタールを襲う、軽々と躱してシノブを右手で首を掴む、背後からリーの回し蹴りが炸裂する、だが、簡単に左腕でガードされてしまう、苦しそうにもがくシノブ、自慢の蹴り技が簡単に止められてしまって驚くリー、ロイタールはシノブを掴んだままリーに向かって投げ飛ばす、リーはシノブを受け止める、が、ロイタールの強靭な蹴りがリーの腹を貫こうする、そしてシノブもリーを抱いたままリーの腹越しからダメージを負う、2人は血反吐を吐いて立ち上がる
「シノブ...これは俺たちでは手に負えない...」
「ああ...相手が悪すぎる...」
2人は命欲しさに戦略的撤退をしようとした、だがロイタールは容赦ない魔弾の嵐が2人を襲う
「逃げられる訳ないだろう...愚かな...」
魔法剣で2人は同時に斬られた、リーは胸を、シノブは背中を斬られた、2人は痛みに耐えながら逃げる方法を探す、リーは煙幕爆弾を取り出して、シノブと共に逃げ出す、その煙幕は広範囲に煙が行った
「逃げたか...まあいい、時間の問題だ...そうだ...奴らに見せてやろうか」

2人が負った傷は深い
「はぁはぁ...血が止まらない...」
「ロイタールのクソっタレ目...」
悔し紛れになんとか上半身を脱いで血を止めようとする、そして大きく太い木の根っこで療養しながら身体を休める
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...