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2015年5月 凪の始まり(前編)
1 2015年5月 1
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俺は、オーナーに解雇されてから、子供の時の夢だった忘れていた16年を取り戻すために、高卒認定から地元の大学の教育学部、4回生になっていた。
でも、俺は毎週末、講義の無い午後、必ず防波堤の先端に来て、釣りをしていた。
違うな……
……リリィさんを待っていた……
必ず来ると俺に約束したリリィさんを待っていた。
俺は、信じたかった。
必ずという言葉を。
だから、いつも待っていた。
一つくらい……
叶う事が有っても良いかなと思って待っていた。
それでも、まる4年が過ぎ、5年目となっていた。
やはり、正直な事を言えば、子供との約束を真剣に信じていること自体、既にどこかおかしな奴に自分自身で思われて、夜な夜な、もう行くのをやめようとも考えていた。
でも、あの日、二人で撮った写真が入れ込まれている、リリィさんが俺の膝の上に乗って首に手を回して、ニイと笑う、水族館のお姉さんに訝しげに見られながら撮った写真が付いた、もう使えなくなった水族館の年パスを時々見ると、彼女は簡単に約束を破らない……
そんなはずはないと思ってしまって、なかなか諦めきれないでいた。
でも、俺は毎週末、講義の無い午後、必ず防波堤の先端に来て、釣りをしていた。
違うな……
……リリィさんを待っていた……
必ず来ると俺に約束したリリィさんを待っていた。
俺は、信じたかった。
必ずという言葉を。
だから、いつも待っていた。
一つくらい……
叶う事が有っても良いかなと思って待っていた。
それでも、まる4年が過ぎ、5年目となっていた。
やはり、正直な事を言えば、子供との約束を真剣に信じていること自体、既にどこかおかしな奴に自分自身で思われて、夜な夜な、もう行くのをやめようとも考えていた。
でも、あの日、二人で撮った写真が入れ込まれている、リリィさんが俺の膝の上に乗って首に手を回して、ニイと笑う、水族館のお姉さんに訝しげに見られながら撮った写真が付いた、もう使えなくなった水族館の年パスを時々見ると、彼女は簡単に約束を破らない……
そんなはずはないと思ってしまって、なかなか諦めきれないでいた。
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