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3月 卒業
16 奪われた日常16
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「けんたろー!! そこに神社があるの! そこならすぐだって!!」
神社……
………………
ああ!
波留神社か!!
右手に折れて100mの行き止まり……
そこか……
確か……
春に美琴さんを迎えに来た時に、俺も見ていた神社だ。急峻な崖に着いた階段があって…………
何より、既に、神社の名前が……
先人の残した、メッセージ……
そこには…………
そこでは…………
波が止まる……
その上は安全……
俺は、早速、もう一度、アパートの二階へと駆けあがり、波の様子を見た。
変わらない…………
遠く、港の方も、波が、引き波が起きている様子も無い……
行けるのか?
行っていいのか?
黒く淀む水面が見える。
今は全く動きのない湖水の様な水面……
でも……
引き潮にのまれたら……
絶対に……
あんな、ゴムボートじゃ……
ひとたまりも無い……
勢いよく、ゴムボートを探した俺だったけど、あっという間に、俺の背後に忍び寄った津波の力の現実を思い知れば……
そこに、漕ぎ出すなんて……
怖くて出来ないし、悪手中の悪手なんじゃないのか?
そんな思いが思考を支配する。
遠く響くサイレンの音、デカイ余震で建物が発するドデカい打楽器の様な音、時折、遠くの、西に見える阿武隈の山並みから強い風にあおられて飛んでくる雪……
強い北風は、俺の心の中で、人生を掛けてサイコロを振る恐怖で固まって、身動きが取れなくなって、追い打ちをかけていた。
神社……
………………
ああ!
波留神社か!!
右手に折れて100mの行き止まり……
そこか……
確か……
春に美琴さんを迎えに来た時に、俺も見ていた神社だ。急峻な崖に着いた階段があって…………
何より、既に、神社の名前が……
先人の残した、メッセージ……
そこには…………
そこでは…………
波が止まる……
その上は安全……
俺は、早速、もう一度、アパートの二階へと駆けあがり、波の様子を見た。
変わらない…………
遠く、港の方も、波が、引き波が起きている様子も無い……
行けるのか?
行っていいのか?
黒く淀む水面が見える。
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でも……
引き潮にのまれたら……
絶対に……
あんな、ゴムボートじゃ……
ひとたまりも無い……
勢いよく、ゴムボートを探した俺だったけど、あっという間に、俺の背後に忍び寄った津波の力の現実を思い知れば……
そこに、漕ぎ出すなんて……
怖くて出来ないし、悪手中の悪手なんじゃないのか?
そんな思いが思考を支配する。
遠く響くサイレンの音、デカイ余震で建物が発するドデカい打楽器の様な音、時折、遠くの、西に見える阿武隈の山並みから強い風にあおられて飛んでくる雪……
強い北風は、俺の心の中で、人生を掛けてサイコロを振る恐怖で固まって、身動きが取れなくなって、追い打ちをかけていた。
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