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2月 みんなのたたかい
29 バレンタイン
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「けんたろー、これ、私の愛情よ、受け取って」
バレンタインのチョコだ。学校にチョコレート持ってくんなって言われているにも関わらず、リリィさんはご学友の目の前で大声で俺に渡してきた。
「ありがとう。リリィさん」
赤い包装紙と金色のリボンが付いたポケット手帳サイズの箱を俺に手渡し、やり切った表情を惜しげもなく晒し、クラスメイトを威圧しているリリィさんに、俺はお礼を述べるのが精一杯だった。
鼻息の荒いやり切ったリリィさんは、その勢いのまま廊下へとかけていなくなった。
リリィさんはクラスに馴染んでご学友とよく遊んでいる。一人だけお人形さんの様なお姉さんが子供と遊んでいるといった風情であるのだが、給食の終わった校庭で、たくさんの子供の中にあって、目立ってはいるけれど、あちこち走りまわって無邪気な彼女を見て見れば、それは、やはり、小学六年生なのだと納得ができた。俺の席から見える校庭で、友達を追いかけ回し全力で走って大声を上げて……あの春の頃の彼女からは想像が出来ない年相応の笑顔が見れて、何だろう……凄く俺もやり切った感じがする。
バレンタインのチョコだ。学校にチョコレート持ってくんなって言われているにも関わらず、リリィさんはご学友の目の前で大声で俺に渡してきた。
「ありがとう。リリィさん」
赤い包装紙と金色のリボンが付いたポケット手帳サイズの箱を俺に手渡し、やり切った表情を惜しげもなく晒し、クラスメイトを威圧しているリリィさんに、俺はお礼を述べるのが精一杯だった。
鼻息の荒いやり切ったリリィさんは、その勢いのまま廊下へとかけていなくなった。
リリィさんはクラスに馴染んでご学友とよく遊んでいる。一人だけお人形さんの様なお姉さんが子供と遊んでいるといった風情であるのだが、給食の終わった校庭で、たくさんの子供の中にあって、目立ってはいるけれど、あちこち走りまわって無邪気な彼女を見て見れば、それは、やはり、小学六年生なのだと納得ができた。俺の席から見える校庭で、友達を追いかけ回し全力で走って大声を上げて……あの春の頃の彼女からは想像が出来ない年相応の笑顔が見れて、何だろう……凄く俺もやり切った感じがする。
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