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6月 追憶
7 追憶7
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その後も、俺の生活は何も変わらなかった。昼は学校へ通いながら、母さんが、何処かに行ってしまうのではないかと、行かないでくれと、一日中、案じながら、下校して、玄関に母さんの靴があると安心した。そして、夜は母さんを探す。そんな生活が3か月くらい過ぎた頃、
母さんが、薬を飲んだ。大量の薬を飲んで布団の中で苦しんでいた。
「母さん? 母さん!」
俺は、隣の布団で、苦しむ母さんのようすを不審に思い声を掛けたが、苦しむだけでまともな会話が成立しなかった。父さんは……夜勤だ。家にはいなかった。
俺にはどうしてあげる事も出来なかった。子供の俺は救急車なんて呼ぶこともできずに、俺は、どうしようもなくなって、街に走り、煌びやかな通りを通って、おじさんを頼った。あの雨の日に声を掛けて、助けが欲しくなったら、来いと言ってくれたおじさんの言葉を信じ俺は、店に、おじさんがいるだろう店に走った。
店が見えてきた時、店の前に、入り口の前には、知らないおじさんがいた。俺は、足がすくんだ。そこで、立ち止まり、声を掛けようかどうしようか、少しはなれた所から見ていた。そんな時、
「あら? この間のお兄ちゃんじゃないの。 どうしたの?」
俺の背後から、女の人が声を掛けてきた。きれいな洋服を着て化粧もして、母さんとは明らかに違う“女の人“、この間、事務所で会ったお姉さんだった。
俺が、必死の表情をしていたのだと思う。振り返った俺を見た、そのお姉さんは、
「早く、着て。店長に話があってきたのね」
そう言うと、俺の手を取って足早に店の中へと連れて行ってくれたのだ。
「……よう、健太郎。よく来たな……」
事務所にいたおじさんは俺を見て、何か書類を書いていた手を止め、俺の方へと向き直り、俺を見ると、
「……どうした?」
にこやかだった表情を険しくして、俺に聞いて来た。
「母さんが、母さんが薬を飲んで苦しんでて、どうしていいかわからなくて、怖くて、怖くて」
「かあちゃん、今どこにいるんだ?」
「家」
「よし、良く俺んとこに来たな、今すぐ行くから、案内しろ、おい! 薫、お前も来い」
「あたし、これから予約入ってるけど……少し待たせてもいいね、お兄ちゃん行くよ!」
俺に声を掛けてきたお姉さんと店長は俺の家に一緒に来てくれて、救急車やら、病院の事や一切をしてくれた。でも、夜勤の父さんには、職場のホテルにいるはずの父さんには、電話したけど、電話してくれたけど、連絡が付かなかった……
母さんが、薬を飲んだ。大量の薬を飲んで布団の中で苦しんでいた。
「母さん? 母さん!」
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「家」
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「あたし、これから予約入ってるけど……少し待たせてもいいね、お兄ちゃん行くよ!」
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