10 / 17
戦いは唐突に
しおりを挟む
「アチィ~こんな溶岩地帯に住むなんて頭おかしいだろう」
「ははは。私のご主人様のために魔王軍№2のトウマ様にわざわざこんな火山地帯にまで来て頂いて恐縮です」
俺の目の前でウサギ耳の半獣人ピコが苦笑いをしながら頭を下げてくる。
「いや、まあいきなりあんな訳の分からん手紙を出したんだ。直接話をしたいっていわれる意味も分かるから特に問題はない。で、まだこの火山は登らないとお前の主のえっとぉアルムガルムドドガには会えないのか?」
「いえ、もうすぐ着きますよ。それと私の主の名前はドスガガガゴンガ様です」
「おお、そうか悪いな。本人の前では間違えないように気をつけるよ」
「ええ、お願いいたしますよ。でもあの手紙はどういう意味なのですか? ご主人様にスゴロクのイベントになってほしいというのは」
この当然ともいえる疑問に俺は事のあらましを説明する。
あの会議のあと俺がまずやったのは数多の書状の作成だ。書状の内容は端的にいうと魔王城のダンジョンをスゴロクに改造するから協力してほしいといった内容だ。
まあ、改めて思い返しても我ながら全くもって意味のわからん書状だと思う。
だが意外なことに、一応魔王軍幹部からの書状だからか、素直にYESの解答をしてくれたものが多かった。
しかし当然ともいうべきだが、中にはこのピコの主である、えっとぉ、ディンゴボンゴコンゴみたいに直接話を聞きたいというやつも現れるわけだ。
そういった奴にはなるべく話をしようというのが今回の俺の方針というわけだ。
ちなみにティンコポンコポッコに担当してもらう案件は人間たちとのバトルイベントだ。
どうやらピコの主であるこいつは中々の手練れらしいので戦闘欲の高い人間の需要にも十分こたえることが出来るはずだろう。
俺がそんなことを考えながらピコについて行くと
「あ、いらっしゃいました。あちらがドスガガガゴンガ様です」
「なるほど。確かに強いな」
ディンコティンコポコポコは一言でいうと巨大なトカゲだった。
しかしただのトカゲではない、その肌は岩のようなもので出来ており、中途半端な攻撃では傷一つ付けられそうにない。
さらにディンコティンコが4つの足で踏みしめている地面はシュウシュウという音ともに煙を上げ、その表層を溶かしている。
つまり、あいつ自身が超高温の身体を持っていて下手に物理で攻撃すると逆に自分がダメージを喰らってしまう。
うーむ。そこそこ強いヤツを探してたんだがちょっとこいつは強すぎるな。
だがその滲み出る強さよりももっと気になることがある。それは
「おい、お前なんで俺に向けてそんな殺気を放ってんだ?」
そうこいつは俺に対して並々ならぬ殺気をぶつけてきていることだ。
とてもじゃないが話し合いをする雰囲気じゃない。
俺がそう言ったときだった。
目の前のティンコティンコポコがその口を開けて獄炎のブレスを俺らに向けて放った。
「え? ドスガガガゴンガ様? なんで?」
俺の横で呆然とした表情でピコが呟く。
その言葉は岩肌を荒々しく削りながら迫るブレスの音にかき消される。
そして程なくしてブレスは俺達を飲み込んだ。
「くっ、くっ、くっ。かーかっかっか。討ちとった。魔王軍幹部を討取ったぞ。常々思っておったのだ。このドスガガガゴンガ様を差し置いて偉そうに魔王城にふんぞり返っておるうつけ共をいつかこの手で葬ってやりたいと。所詮は魔王シルフィ・リリーの腰ぎんちゃく共よ。魔界は本来ならば強さが全ての世界。たかが腰ぎんちゃく如きは生きることすら許されないのだ。弱者は消し炭になるのが運命なのだ」
「なるほどな。弱者は生きることすら許されないか。全くもって魔族らしい考え方で俺は否定しない。従って、俺ら魔王軍幹部を屠って自らの強さを証明しようとする気持ちもわからなくはない。だが、そのために自分の部下の命を犠牲にしようとするその考えには虫唾が走る。真の強者は部下の命など犠牲にしなくても自らの強さで道を開くものだろ?」
「ッツ!?」
燃え盛る獄炎の中から俺が声を掛けると炎の向こうでトカゲが息を飲む。
「バカな!? なぜ生きておる。それにその焔(・)はなんだ!? わしの獄炎を受け止めるだと」
トカゲの獄炎は俺とピコの周りを取り囲むようにして燃えている紅色の焔によって、その動きを止めていた。
「受け止める? 何を言ってんだ。まるで俺の焔とお前の炎の威力が拮抗しているみたいな物言いだな。笑わせるな」
俺はそこで指をパチンッと鳴らす。
すると俺の焔がトカゲの炎をペロリと飲み込む。
そして俺は焔を自ら手の平に集めてそれを軽くトカゲの眼前に放ってやる。
するとトカゲの出していたものと比べ物にならない熱量が辺り一帯を支配し、一瞬のうちに大地をマグマと化す。
「ばかな。ばかな。ばかな」
「次はその身体にぶちあてる。多少は炎に耐性はあるみたいだが一体どこまで耐えられるかな」
俺は普段の黒色から深紅色に変わった左眼でティンティンコを見据え、口の端を吊り上げた。
「ははは。私のご主人様のために魔王軍№2のトウマ様にわざわざこんな火山地帯にまで来て頂いて恐縮です」
俺の目の前でウサギ耳の半獣人ピコが苦笑いをしながら頭を下げてくる。
「いや、まあいきなりあんな訳の分からん手紙を出したんだ。直接話をしたいっていわれる意味も分かるから特に問題はない。で、まだこの火山は登らないとお前の主のえっとぉアルムガルムドドガには会えないのか?」
「いえ、もうすぐ着きますよ。それと私の主の名前はドスガガガゴンガ様です」
「おお、そうか悪いな。本人の前では間違えないように気をつけるよ」
「ええ、お願いいたしますよ。でもあの手紙はどういう意味なのですか? ご主人様にスゴロクのイベントになってほしいというのは」
この当然ともいえる疑問に俺は事のあらましを説明する。
あの会議のあと俺がまずやったのは数多の書状の作成だ。書状の内容は端的にいうと魔王城のダンジョンをスゴロクに改造するから協力してほしいといった内容だ。
まあ、改めて思い返しても我ながら全くもって意味のわからん書状だと思う。
だが意外なことに、一応魔王軍幹部からの書状だからか、素直にYESの解答をしてくれたものが多かった。
しかし当然ともいうべきだが、中にはこのピコの主である、えっとぉ、ディンゴボンゴコンゴみたいに直接話を聞きたいというやつも現れるわけだ。
そういった奴にはなるべく話をしようというのが今回の俺の方針というわけだ。
ちなみにティンコポンコポッコに担当してもらう案件は人間たちとのバトルイベントだ。
どうやらピコの主であるこいつは中々の手練れらしいので戦闘欲の高い人間の需要にも十分こたえることが出来るはずだろう。
俺がそんなことを考えながらピコについて行くと
「あ、いらっしゃいました。あちらがドスガガガゴンガ様です」
「なるほど。確かに強いな」
ディンコティンコポコポコは一言でいうと巨大なトカゲだった。
しかしただのトカゲではない、その肌は岩のようなもので出来ており、中途半端な攻撃では傷一つ付けられそうにない。
さらにディンコティンコが4つの足で踏みしめている地面はシュウシュウという音ともに煙を上げ、その表層を溶かしている。
つまり、あいつ自身が超高温の身体を持っていて下手に物理で攻撃すると逆に自分がダメージを喰らってしまう。
うーむ。そこそこ強いヤツを探してたんだがちょっとこいつは強すぎるな。
だがその滲み出る強さよりももっと気になることがある。それは
「おい、お前なんで俺に向けてそんな殺気を放ってんだ?」
そうこいつは俺に対して並々ならぬ殺気をぶつけてきていることだ。
とてもじゃないが話し合いをする雰囲気じゃない。
俺がそう言ったときだった。
目の前のティンコティンコポコがその口を開けて獄炎のブレスを俺らに向けて放った。
「え? ドスガガガゴンガ様? なんで?」
俺の横で呆然とした表情でピコが呟く。
その言葉は岩肌を荒々しく削りながら迫るブレスの音にかき消される。
そして程なくしてブレスは俺達を飲み込んだ。
「くっ、くっ、くっ。かーかっかっか。討ちとった。魔王軍幹部を討取ったぞ。常々思っておったのだ。このドスガガガゴンガ様を差し置いて偉そうに魔王城にふんぞり返っておるうつけ共をいつかこの手で葬ってやりたいと。所詮は魔王シルフィ・リリーの腰ぎんちゃく共よ。魔界は本来ならば強さが全ての世界。たかが腰ぎんちゃく如きは生きることすら許されないのだ。弱者は消し炭になるのが運命なのだ」
「なるほどな。弱者は生きることすら許されないか。全くもって魔族らしい考え方で俺は否定しない。従って、俺ら魔王軍幹部を屠って自らの強さを証明しようとする気持ちもわからなくはない。だが、そのために自分の部下の命を犠牲にしようとするその考えには虫唾が走る。真の強者は部下の命など犠牲にしなくても自らの強さで道を開くものだろ?」
「ッツ!?」
燃え盛る獄炎の中から俺が声を掛けると炎の向こうでトカゲが息を飲む。
「バカな!? なぜ生きておる。それにその焔(・)はなんだ!? わしの獄炎を受け止めるだと」
トカゲの獄炎は俺とピコの周りを取り囲むようにして燃えている紅色の焔によって、その動きを止めていた。
「受け止める? 何を言ってんだ。まるで俺の焔とお前の炎の威力が拮抗しているみたいな物言いだな。笑わせるな」
俺はそこで指をパチンッと鳴らす。
すると俺の焔がトカゲの炎をペロリと飲み込む。
そして俺は焔を自ら手の平に集めてそれを軽くトカゲの眼前に放ってやる。
するとトカゲの出していたものと比べ物にならない熱量が辺り一帯を支配し、一瞬のうちに大地をマグマと化す。
「ばかな。ばかな。ばかな」
「次はその身体にぶちあてる。多少は炎に耐性はあるみたいだが一体どこまで耐えられるかな」
俺は普段の黒色から深紅色に変わった左眼でティンティンコを見据え、口の端を吊り上げた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる