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少しだけ未来の物語
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ーーーー全くなんでこんなことになったんだ。
なんでこの俺がこんな面倒ごとに巻き込まれなきゃいけないんだ。
これも全部あの脳筋チビロリ魔王のせいだ。
俺はそこで深い溜息を吐いた。
すると俺の隣に立っていた、六本の腕を持ち、その身に鎧甲冑を纏った巨大な男が、その厳つい見た目に反した優しい憐れむような声を掛けてきた。
「トウマ。お前も苦労するな」
「それはお互い様だろ宿儺。まったくこんなに苦労するなら魔王軍の幹部になんてならなきゃよかったぜ」
俺の言葉に宿儺が苦笑いを浮かべた。
「そんなことよりほんとに勝ち目はあるの? 私の『魅力』は魔王様相手には多分効かないわよ」
艶やかなアメジスト色の髪とはち切れんばかりの巨乳を揺らしながら、世界一の美女悪魔フラムが俺に抗議の弁を述べる。
「安心しろよフラム。最終決戦は俺が先頭に立つ。フラムにはあのチビロリクソ魔王のところに着くまでのサポートを頼みたい。なんたって今やこの魔王城ダンジョンの難易度は俺ら魔王軍幹部が束になっても攻略できるかどうかわからないくらいのものになっているからな」
俺はそこで再び深い溜息を吐きながら
「ちくしょう。こんな事になるなら、あんなに張り切ってダンジョン作成なんかするんじゃなかったぜ。何が悲しくて自分で製作指揮したダンジョンを自分で踏破しなくちゃなんないんだよ」
文句をもらしていると
「ほっほっほ。優秀過ぎるのも困ったものですな。まあ、いくらトウマ様の頭が良くて機転が利くと言ってもシルフィ様の気まぐれとわがままは誰にも予想はできませんよ」
長い白鬚をわしゃわしゃと弄りながら、闇の魔法を極めし者サモンが笑い声をあげる。
「トウマは理屈っぽいところがあるからね。今度一緒に魔界を散歩しようよ。そしたら頭がすっきりするよ♪」
伝説の幻獣白狼の背に乗っている褐色肌の少女リルがニシシと俺に笑いかけてきた。
俺はそんな彼らを見渡した後、今から行わねばならぬミッションを思い出し、もう一度深く深く溜息をついた後、それぞれの名を呼ぶ。
「武神両面宿儺」
「魅了の女王 フラム・ルージュ」
「闇の魔法を極めし者 サモン」
「伝説を従えし者 リル」
「そしてこの俺 異邦人 魔眼の不知火トウマ」
一人一人の名を述べた後、俺はすうーっと息を吸い込み、腹から出来る限りの大声を出す。
「いくぞ!! 我ら魔王軍精鋭部隊。これより魔王城最強ダンジョンを攻略し魔王シルフィ・リリーの討伐を開始する!!」
俺の掛け声にそれぞれが様々な雄たけびを上げる。
全く、こんなに苦労することになるんだったら東京でサラリーマンをやってた方がまだましだったぜ。
俺は何度目かになるか分からない溜息をつき、精鋭部隊と共に魔王城への進軍を開始した。
なんでこの俺がこんな面倒ごとに巻き込まれなきゃいけないんだ。
これも全部あの脳筋チビロリ魔王のせいだ。
俺はそこで深い溜息を吐いた。
すると俺の隣に立っていた、六本の腕を持ち、その身に鎧甲冑を纏った巨大な男が、その厳つい見た目に反した優しい憐れむような声を掛けてきた。
「トウマ。お前も苦労するな」
「それはお互い様だろ宿儺。まったくこんなに苦労するなら魔王軍の幹部になんてならなきゃよかったぜ」
俺の言葉に宿儺が苦笑いを浮かべた。
「そんなことよりほんとに勝ち目はあるの? 私の『魅力』は魔王様相手には多分効かないわよ」
艶やかなアメジスト色の髪とはち切れんばかりの巨乳を揺らしながら、世界一の美女悪魔フラムが俺に抗議の弁を述べる。
「安心しろよフラム。最終決戦は俺が先頭に立つ。フラムにはあのチビロリクソ魔王のところに着くまでのサポートを頼みたい。なんたって今やこの魔王城ダンジョンの難易度は俺ら魔王軍幹部が束になっても攻略できるかどうかわからないくらいのものになっているからな」
俺はそこで再び深い溜息を吐きながら
「ちくしょう。こんな事になるなら、あんなに張り切ってダンジョン作成なんかするんじゃなかったぜ。何が悲しくて自分で製作指揮したダンジョンを自分で踏破しなくちゃなんないんだよ」
文句をもらしていると
「ほっほっほ。優秀過ぎるのも困ったものですな。まあ、いくらトウマ様の頭が良くて機転が利くと言ってもシルフィ様の気まぐれとわがままは誰にも予想はできませんよ」
長い白鬚をわしゃわしゃと弄りながら、闇の魔法を極めし者サモンが笑い声をあげる。
「トウマは理屈っぽいところがあるからね。今度一緒に魔界を散歩しようよ。そしたら頭がすっきりするよ♪」
伝説の幻獣白狼の背に乗っている褐色肌の少女リルがニシシと俺に笑いかけてきた。
俺はそんな彼らを見渡した後、今から行わねばならぬミッションを思い出し、もう一度深く深く溜息をついた後、それぞれの名を呼ぶ。
「武神両面宿儺」
「魅了の女王 フラム・ルージュ」
「闇の魔法を極めし者 サモン」
「伝説を従えし者 リル」
「そしてこの俺 異邦人 魔眼の不知火トウマ」
一人一人の名を述べた後、俺はすうーっと息を吸い込み、腹から出来る限りの大声を出す。
「いくぞ!! 我ら魔王軍精鋭部隊。これより魔王城最強ダンジョンを攻略し魔王シルフィ・リリーの討伐を開始する!!」
俺の掛け声にそれぞれが様々な雄たけびを上げる。
全く、こんなに苦労することになるんだったら東京でサラリーマンをやってた方がまだましだったぜ。
俺は何度目かになるか分からない溜息をつき、精鋭部隊と共に魔王城への進軍を開始した。
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