アイドルになった僕は五感を失った彼女の光になる

第十七章 異変

   お姉ちゃんが事故にあってから半年。

   まるで事故なんかなかったかのようにお姉ちゃんは元気に生活していた。

大学でもいつも首席で、人気者で、相変わらずのお姉ちゃんだった。

   私はモデルの大日野天燈としてたくさんの人に認知され始めていた。

事務所からも東京に来るように誘われている。

すると父の東京への転勤も偶然に重なり、家族で東京に引っ越すことになった。

でも、お姉ちゃんは大学があるので一人暮らしを始めるため準備におわれている。

だけど……最近お姉ちゃんの様子がおかしかった。


『ある日の夕食』

「お姉ちゃん、醤油とって」

「……」
お姉ちゃんに声をかけたが反応がなかった。

「お姉ちゃん！」

「……」

「お姉ちゃん！聞いてるの!?」

私は何も反応しないお姉ちゃんに怒ってしまった。

すると、お姉ちゃんは何も聞こえていなかったようにきょとんとしていた。


「……ん？何？」


「ちょっと無視って酷くない？」

私がイラついているとお父さんがお姉ちゃんを心配するように声をかけた。
「陽葵、ぼーっとして疲れているのか？」

「そんなことないよ！」
お姉ちゃんは必死に誤魔化していた。


その日の夜、私はお母さんに相談された。

「陽葵、大丈夫かしらね」

「お姉ちゃん何かあったのかな？」

「天燈、実はね……」

そこで母から言われたのはお姉ちゃんの様子がおかしいのは前にもあったということと大学からもお姉ちゃんが授業をちゃんと聞いていないと連絡があったそうだ。

普段のお姉ちゃんがそんなことをするわけがないし、明らかに様子がおかしかった。


私は家族以上にお姉ちゃんのことを知っている碧ちゃんに相談することにした。