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世界樹
鍛冶屋
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(知らない・・・・・・)
天井ではなかった。
クレールに来て泊まった宿屋で目を覚ます。体が少し気怠いが、体を起こすと同時に扉が開かれた。
「「ユリト様おはようございます」」
メフィスとラファが挨拶をしてくる。
赤紫の眼光も牙もなくラファは本来の姿に戻っていた。
2人に倒れた後のことを聞いたが、俺は丸2日間眠っていたらしい。その間に2人でクレールの依頼をすべて達成したと報告された。アイテム欄には依頼の倍以上ドロップ品が溢れていた。関係ないモンスターのアイテムまで存在する。メフィスは戦闘できなかった鬱憤があり、ラファは元の姿に戻るまで闘争心が消えなかったのだろう。戦闘メイド達め。別に問題があるわけではないので追及することはしなかった。
「2人ともありがとうな。世界樹に戻って納品しにいきますか」
「「かしこまりました」」
戻る時に冒険者ギルドを通ったが、たくさんの視線を浴びるだけで問題は起きず世界樹に無事帰還できた。そして俺達は依頼リストに書かれている商店に各アイテムを届け、最後の鍛冶屋まできた。
中に入ると火炉があり、鉄床で小学生くらいの男の子がハンマーで剣を生成している所だった。
(子供?)
男の子からハンマーが飛んでくる。顔に飛んでくるハンマーの柄を綺麗に右手で掴む。
あぶねえ俺以外の奴なら死んでいるぞ。
「誰が子供だ!詩音から聞いてるぞユリトだろ。俺は20歳だ。称号のせいでこんな子供みたいな恰好だがな」
「ぶっ飛んだ挨拶だな。読心系のスキルまで持っているのかよ。ユニークスキルは鍛冶系だな」
「ああ、その通りだ。成人した男が子供扱いされる屈辱をお前にも分けてあげてーよ。おっと、挨拶がまだだったな。俺の名前はキズナだよろしくな。さっそく依頼品を出してくれるか」
子供の姿でその話し方はやんちゃ坊主にしか見えないな。おっと危ない、すぐさま飛んでくる2回目のハンマーも問題なくキャッチする。
そして指示された机の上に依頼のドロップアイテムを並べていく。
「さすが、最強の転移者か。SSランクのドロップ品がこんなにとは」
「仕返しかよ。嫌味にしか聞こえないぞ」
「いやいや本気で口にしてるさ。詩音が難易度も個数も気にせず依頼を出してもいいって言ってたから遠慮なく依頼したが、まさか本当にすべて納品されるなんてな」
真剣な表情でアイテムを眺めるキズナを見るところ茶化してはいないみたいだ。
それにしても詩音よ、通りで依頼の数が多いわけだな。後でたんまり報酬を頂くことにしよう。
「あと一振りしたらお茶を出すから待っていてくれ」
キズナは途中だった剣の作成に取り掛かる。生産系スキルは初めて見たがキズナのユニークスキル『鍛冶(武器)』は優秀だ。作られた剣を『魔眼:鑑定』で視たが、『ガチャ』で頻繁にでる武器と比べて性能が各段に良かった。俺のユニークスキル『ガチャ』で出現する装備は当たりよりハズレが多い。スキルは大したことなくても塵もつもればなんとやらだが、装備はゴミでしかない。ハズレ装備を最近は詩音の商会に流しているが、1000万エルの1000分の1くらいにしかならない。仮に大アタリを出したところで、自分で使うため売ることはないが。
「それでお茶を出すと言う事は何か話があるのか」
キズナの作業が終わり、今は鍛冶場の横にある部屋のテーブルを4人で囲んでいる。
ちなみにお茶を出したのは言い出したキズナではなく、何故かメフィスが淹れてくれた。
「ああ、詩音を守ってやってくれないか」
「どういうことだ?」
「俺達生産ギルドの人間は、魔王討伐を目指している転移者を少しでもバックアップできるようにしたい思いで集まっている。そして商業ギルドの詩音が生産ギルドの1人1人に頼み込んでできた商会が今だ。ユリトも先ほど見たと思うが、生産系ユニークスキルで生成した装備やアイテムは戦闘系ユニークスキルには劣るが強力だ。それが闇ギルドにも流出している噂がある。俺は近々闇ギルドによる襲撃を恐れているんだ」
闇ギルドはどんな手を使ったか知らないが、世界樹まで手を伸ばしているのか。
メイ達が俺を狙ったのも、各国にいるギルド員が誘導しているのかもしれない。
「ああ、まかせろ詩音は俺が守るよ」
「ありがとう。その言葉を信じるよ」
(こいつもしかして詩音のこと・・・・・・やんちゃ坊主のマセガキだな)
俺は飛んでくる3回目のハンマーを避けるのだった――
天井ではなかった。
クレールに来て泊まった宿屋で目を覚ます。体が少し気怠いが、体を起こすと同時に扉が開かれた。
「「ユリト様おはようございます」」
メフィスとラファが挨拶をしてくる。
赤紫の眼光も牙もなくラファは本来の姿に戻っていた。
2人に倒れた後のことを聞いたが、俺は丸2日間眠っていたらしい。その間に2人でクレールの依頼をすべて達成したと報告された。アイテム欄には依頼の倍以上ドロップ品が溢れていた。関係ないモンスターのアイテムまで存在する。メフィスは戦闘できなかった鬱憤があり、ラファは元の姿に戻るまで闘争心が消えなかったのだろう。戦闘メイド達め。別に問題があるわけではないので追及することはしなかった。
「2人ともありがとうな。世界樹に戻って納品しにいきますか」
「「かしこまりました」」
戻る時に冒険者ギルドを通ったが、たくさんの視線を浴びるだけで問題は起きず世界樹に無事帰還できた。そして俺達は依頼リストに書かれている商店に各アイテムを届け、最後の鍛冶屋まできた。
中に入ると火炉があり、鉄床で小学生くらいの男の子がハンマーで剣を生成している所だった。
(子供?)
男の子からハンマーが飛んでくる。顔に飛んでくるハンマーの柄を綺麗に右手で掴む。
あぶねえ俺以外の奴なら死んでいるぞ。
「誰が子供だ!詩音から聞いてるぞユリトだろ。俺は20歳だ。称号のせいでこんな子供みたいな恰好だがな」
「ぶっ飛んだ挨拶だな。読心系のスキルまで持っているのかよ。ユニークスキルは鍛冶系だな」
「ああ、その通りだ。成人した男が子供扱いされる屈辱をお前にも分けてあげてーよ。おっと、挨拶がまだだったな。俺の名前はキズナだよろしくな。さっそく依頼品を出してくれるか」
子供の姿でその話し方はやんちゃ坊主にしか見えないな。おっと危ない、すぐさま飛んでくる2回目のハンマーも問題なくキャッチする。
そして指示された机の上に依頼のドロップアイテムを並べていく。
「さすが、最強の転移者か。SSランクのドロップ品がこんなにとは」
「仕返しかよ。嫌味にしか聞こえないぞ」
「いやいや本気で口にしてるさ。詩音が難易度も個数も気にせず依頼を出してもいいって言ってたから遠慮なく依頼したが、まさか本当にすべて納品されるなんてな」
真剣な表情でアイテムを眺めるキズナを見るところ茶化してはいないみたいだ。
それにしても詩音よ、通りで依頼の数が多いわけだな。後でたんまり報酬を頂くことにしよう。
「あと一振りしたらお茶を出すから待っていてくれ」
キズナは途中だった剣の作成に取り掛かる。生産系スキルは初めて見たがキズナのユニークスキル『鍛冶(武器)』は優秀だ。作られた剣を『魔眼:鑑定』で視たが、『ガチャ』で頻繁にでる武器と比べて性能が各段に良かった。俺のユニークスキル『ガチャ』で出現する装備は当たりよりハズレが多い。スキルは大したことなくても塵もつもればなんとやらだが、装備はゴミでしかない。ハズレ装備を最近は詩音の商会に流しているが、1000万エルの1000分の1くらいにしかならない。仮に大アタリを出したところで、自分で使うため売ることはないが。
「それでお茶を出すと言う事は何か話があるのか」
キズナの作業が終わり、今は鍛冶場の横にある部屋のテーブルを4人で囲んでいる。
ちなみにお茶を出したのは言い出したキズナではなく、何故かメフィスが淹れてくれた。
「ああ、詩音を守ってやってくれないか」
「どういうことだ?」
「俺達生産ギルドの人間は、魔王討伐を目指している転移者を少しでもバックアップできるようにしたい思いで集まっている。そして商業ギルドの詩音が生産ギルドの1人1人に頼み込んでできた商会が今だ。ユリトも先ほど見たと思うが、生産系ユニークスキルで生成した装備やアイテムは戦闘系ユニークスキルには劣るが強力だ。それが闇ギルドにも流出している噂がある。俺は近々闇ギルドによる襲撃を恐れているんだ」
闇ギルドはどんな手を使ったか知らないが、世界樹まで手を伸ばしているのか。
メイ達が俺を狙ったのも、各国にいるギルド員が誘導しているのかもしれない。
「ああ、まかせろ詩音は俺が守るよ」
「ありがとう。その言葉を信じるよ」
(こいつもしかして詩音のこと・・・・・・やんちゃ坊主のマセガキだな)
俺は飛んでくる3回目のハンマーを避けるのだった――
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