11 / 44
出会い
護衛依頼
しおりを挟む
「おはよう」
今は日が昇る少し前である。
昨日はあの後、すぐに冒険者ギルドに行き手続きを済まし、宿に戻って休んだ。
商業都市『リエン』は、王都から半日ほどかかるため朝早くの出発となった。
詩音が野宿をするのが嫌だからだ。そこについては賛成だ。
「おはようさん、馬車はもう準備できてるから、すぐ出発や」
馬車と御者は詩音が、商人ギルドから手配していた。
初老の男性が御者台から会釈をする。
そして4人が馬車に座り、出発する。俺の向かいに詩音が座り、横にメフィスでその正面にラファが座った。王都から『リエン』の道は、商人達がよく使う道のため整備されていて揺れも少ない。盗賊やモンスターの出現情報も0ではないがそこまで出ないらしい。
「急な依頼なのに受けてくれて、ありがとな」
「気にするな。だが、そこまで急いでいる理由を聞いていいか」
詩音は悩む顔をし、それからゆっくりと口を開く。
「うちらはな、叶えたい願いがあるんや。あんたも聞いてるやろ、魔王討伐の報酬を。だがな、待っているだけやあかんのんや。うちらには時間がないんや」
「願いの内容は聞かない。で詩音達は何年以内だ?」
その質問に詩音は驚く。まさか自分達と同じ条件であるとは思っていなかったのだろう。
「3年や。魔王討伐にどれだけかかるかわからへんけど、日本にいた時と違い希望があるならうちらは3年間全力で魔王討伐に向け動く覚悟や」
「そう「なあ」」
俺の返事にかぶせるように、詩音が口を開く。
「ユリトさぁ、うちらの『フロマージュ』とパーティー組もうや!それだけ強いし、メフィスとラファいれて、パーティー上限の6人や!ちょうどいいやろ?」
メフィスとラファが困った顔をして、俺に顔を向ける。
詩音の境遇に同情の気持ちが生まれるが称号のせいで組めないからだ。
「詩音、すまない俺は称号のせいで組めない。後、メフィスとラファは俺のスキル扱いだからパーティーを組んでいるわけではないんだ」
詩音は悲しそうな顔をしたがすぐさま腕で隠し、「そっかー」っとだけ呟いて話は終わりといった感じで横に向き、馬車にもたれかかる。
詩音がそのまま寝入ってから何もなく馬車は進み、昼休憩を取る。
商人達が休憩する広場があり、そこでイスとテーブルを『空間魔法:収納』から取り出す。スープの鍋に皿とスプーンも。『空間魔法:収納』は、入れた時の状態で保存されるため、スープは温かいままだ。料理や食器は、『はじまりの町』で少し手に入れて、イスとテーブルは昨日泊まった宿屋から借りてきた。容量についてだが、同じスキルを使えるメフィスとラファ曰く、家の大きさになると入らないが限界を感じたことはないと言っていた。
「ユリト有能すぎやなー。もうパーティいいから一緒にいてほしいわ」
遠慮なくスープを食べながらそんなことを言う詩音に、俺達は苦笑いだった。
ご飯を食べながら、詩音にパーティーについても聞いてみた。冒険者ギルドでリーダーになる人が申請することで登録される。転移者同士は、『メニュー』からも行える。ドロップはリーダーかランダムに設定できるらしい。転移者とこの世界の住人が組むとドロップは『メニュー』のアイテム欄などに行かない。自分達で拾わないといけないと言っていた。
パーティーの一番のメリットは補助系のスキルを受けれることだった。攻撃上昇などの魔法・スキルはパーティーを組まないと効果がないらしい。
(中々、ややこしい世界だな)
「てかユリトのユニークスキル『召喚』って言ってはったけど、『メイド召喚』なん?」
御者が馬車の整備をして、こっちの死角になっている事を確認する。
「なわけあるかよ。メフィス、ラファ見せてやれ」
「「いいのですか」」
「かまわん、詩音驚くなよ」
それと同時に、メフィスとラファは隠していた部分を可視化する。
メフィスの背中から身長を超える、白い翼が現れる。ちなみにメイド服は破れない。羽の説明をされたが理解できなかった。そういうものらしいということで。
ラファは、腰の部分から黒い羽根に頭から角が生える。ラファも同様のため、メイド服は破れない。
詩音が口をパクパクしていた。
面白い顔をしているが俺も最初見た時同じ顔をしていると考えたら笑えなかった。
今は日が昇る少し前である。
昨日はあの後、すぐに冒険者ギルドに行き手続きを済まし、宿に戻って休んだ。
商業都市『リエン』は、王都から半日ほどかかるため朝早くの出発となった。
詩音が野宿をするのが嫌だからだ。そこについては賛成だ。
「おはようさん、馬車はもう準備できてるから、すぐ出発や」
馬車と御者は詩音が、商人ギルドから手配していた。
初老の男性が御者台から会釈をする。
そして4人が馬車に座り、出発する。俺の向かいに詩音が座り、横にメフィスでその正面にラファが座った。王都から『リエン』の道は、商人達がよく使う道のため整備されていて揺れも少ない。盗賊やモンスターの出現情報も0ではないがそこまで出ないらしい。
「急な依頼なのに受けてくれて、ありがとな」
「気にするな。だが、そこまで急いでいる理由を聞いていいか」
詩音は悩む顔をし、それからゆっくりと口を開く。
「うちらはな、叶えたい願いがあるんや。あんたも聞いてるやろ、魔王討伐の報酬を。だがな、待っているだけやあかんのんや。うちらには時間がないんや」
「願いの内容は聞かない。で詩音達は何年以内だ?」
その質問に詩音は驚く。まさか自分達と同じ条件であるとは思っていなかったのだろう。
「3年や。魔王討伐にどれだけかかるかわからへんけど、日本にいた時と違い希望があるならうちらは3年間全力で魔王討伐に向け動く覚悟や」
「そう「なあ」」
俺の返事にかぶせるように、詩音が口を開く。
「ユリトさぁ、うちらの『フロマージュ』とパーティー組もうや!それだけ強いし、メフィスとラファいれて、パーティー上限の6人や!ちょうどいいやろ?」
メフィスとラファが困った顔をして、俺に顔を向ける。
詩音の境遇に同情の気持ちが生まれるが称号のせいで組めないからだ。
「詩音、すまない俺は称号のせいで組めない。後、メフィスとラファは俺のスキル扱いだからパーティーを組んでいるわけではないんだ」
詩音は悲しそうな顔をしたがすぐさま腕で隠し、「そっかー」っとだけ呟いて話は終わりといった感じで横に向き、馬車にもたれかかる。
詩音がそのまま寝入ってから何もなく馬車は進み、昼休憩を取る。
商人達が休憩する広場があり、そこでイスとテーブルを『空間魔法:収納』から取り出す。スープの鍋に皿とスプーンも。『空間魔法:収納』は、入れた時の状態で保存されるため、スープは温かいままだ。料理や食器は、『はじまりの町』で少し手に入れて、イスとテーブルは昨日泊まった宿屋から借りてきた。容量についてだが、同じスキルを使えるメフィスとラファ曰く、家の大きさになると入らないが限界を感じたことはないと言っていた。
「ユリト有能すぎやなー。もうパーティいいから一緒にいてほしいわ」
遠慮なくスープを食べながらそんなことを言う詩音に、俺達は苦笑いだった。
ご飯を食べながら、詩音にパーティーについても聞いてみた。冒険者ギルドでリーダーになる人が申請することで登録される。転移者同士は、『メニュー』からも行える。ドロップはリーダーかランダムに設定できるらしい。転移者とこの世界の住人が組むとドロップは『メニュー』のアイテム欄などに行かない。自分達で拾わないといけないと言っていた。
パーティーの一番のメリットは補助系のスキルを受けれることだった。攻撃上昇などの魔法・スキルはパーティーを組まないと効果がないらしい。
(中々、ややこしい世界だな)
「てかユリトのユニークスキル『召喚』って言ってはったけど、『メイド召喚』なん?」
御者が馬車の整備をして、こっちの死角になっている事を確認する。
「なわけあるかよ。メフィス、ラファ見せてやれ」
「「いいのですか」」
「かまわん、詩音驚くなよ」
それと同時に、メフィスとラファは隠していた部分を可視化する。
メフィスの背中から身長を超える、白い翼が現れる。ちなみにメイド服は破れない。羽の説明をされたが理解できなかった。そういうものらしいということで。
ラファは、腰の部分から黒い羽根に頭から角が生える。ラファも同様のため、メイド服は破れない。
詩音が口をパクパクしていた。
面白い顔をしているが俺も最初見た時同じ顔をしていると考えたら笑えなかった。
0
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる