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異世界転移
ラファとメフィス
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私の名前はメフィス。
大天使サタン様のメイド長として仕えている。
メイド長は表向きであって、裏では大天使の座を狙う天使達の暗殺を主な仕事としていた。今日も暗殺の件でサタン様に呼ばれた。
「メフィスよ。天使位階第一位のコカビエルを亡き者にしてこい」
私は聞いた言葉に目を開く。
「コカビエル様は、サタン様と同格の強さをお持ちのこと。私ごときでは不可能でございます」
サタン様は聞く耳を持たず、すぐさま私に命じる。
「黙れ。失敗をするとわかっているな。話は終わりだ」
サタン様から見れば元々、暗殺者のために小さい時から拾われた私の命など、そこらの草と同列の扱いだ。私には助けてくれる仲間もいない、逃げる場所もない。結局、死ぬ覚悟をし、私はコカビエル様暗殺を遂行するのだった。
『光魔法:聖なる手』
私の手から20本の腕を操り、周りの天使を襲う。
コカビエル暗殺は失敗した。コカビエル様の直属の天使100体から逃走中であったが、もはや逃げ場はない。正面から向かい打つように戦闘態勢を取る。
「『悪魔の天使』よ。今日がお前の最後だ」
『悪魔の天使』とは私のことだ。サタン様の元で暗殺者として活躍した結果、天使界で私のことを『悪魔の天使』と呼ぶ。使うスキルが闇魔法に近いという事で名づけられた。
全方向から『光魔法:光の矢』が降り注ぐ。
既に囲まれていたみたいだ。一本の強力な矢が無数に放たれる。直撃すると塵も残さず消えるだろう。
最後の力で『光魔法:天国への扉』を発動した。私を囲むように魔法陣が発動し、光の渦が、私を埋め尽くすように現れる。
光の渦がすべての矢を飲み込み再び、今度は天使達に向かい放出される。
渦が閉じた時には、光の粒子が幻想的な景色を作り上げていた。
(もう、誰も生き残っていないだろう)
安堵した瞬間に、絶望が目の前に現れた。
「コカビエル様・・・・・・」
「『悪魔の天使』よ。もはや私達と同列の強さだろう。だがここまでだ」
コカビエルが、聖剣を構える。
(ここが私の最後か。メイドとして普通の生活送りたかったな・・・・・・)
その時、私の足元から召喚魔法が現れる。
(ああ、大事にしてくれるご主人様でありますように)
「お兄様!」
ここは大閻魔ミカエル様が住む、冥界の首都にある王城の一室。私は代々、ミカエル様に仕える血筋で現在メイド長をしているラファである。上に兄がおり、兄はミカエル様が統治する国の騎士団長である。
「ただいま、ラファ。何度も言うがここでは、騎士団長と呼べと言っているだろ?」
私は兄のことをとても慕っていた。
たぶん国の皆が慕っているだろう。兄は誰よりも剣を磨き、魔法を極めている。
私も常日頃、兄と鍛錬を行い、戦闘技術を身に付けている。
主を守るメイドは、強くてはならないと前メイド長の母が生きている間に口うるさく言っていた。
「お二人とも探しましたよ。メイド長と騎士団長様、ミカエル様がお呼びです」
ミカエル様の兄であるカブリエル様である。
私はカブリエル様のことは苦手だ。
ミカエル様は他国と協力し平和を望むことに比べ、冥界統一を目指しているカブリエル様。
「わかりました。ラファ行くぞ」
兄に連れられ、ミカエル様の元に行く。
カブリエルは私達が横を過ぎた時に、不敵な笑みを浮かべでいた。
私達、兄妹は所見の間に入る。
王座に座っているミカエル様に膝をつく。
周りには国の重鎮達が集まっている。
(こんなに集まることは珍しい。何が始まるのだろうか)
「騎士団長よ。お前に他国のスパイ疑惑がかかっておる」
その言葉に私は反応する。
「お、お言葉ですがミカエル様。兄はそのような事は行っていません」
兄は膝をついたまま黙っている。
騎士団長のスパイ疑惑という事で、人が集まっているのか。友好的であった者たちからは、信じられないといった表情をしていた。
「この国の不穏分子は排除あるのみですね」
カブリエルが横に黒ローブを包んだ者を連れて、王座の間に現れた。
「お前の入室は許可した覚えはないぞ?」
ミカエル様が威圧を込めてカブリエル様に問う。
「まあ、そうでしょう。ですが私には貴方たちに用があるのですよ。そのために騎士団長のスパイ疑惑をリークし、国の重鎮達にも集まってもらったのです。あなた方が平和を望まれるのは私の邪魔なので、ここで死んで頂きたい」
その声と同時に行動を移したのは一人。兄であった。
腰の『冥剣:シュバルツ』を抜き、カブリエルに切りかかるが、横にいた黒ローブがカブリエルの前に立ち剣を腕で受け止めた。衝撃で王座に突風が吹き、床と壁にヒビが入る。
(なっ。兄の剣を腕で受け止めるなんて)
黒ローブが頭のフードをとると、その正体はノーライフキングだった。
国を2つ落としたことで、厄災級の知識あるモンスターとされている。
兄がその骸骨の顔をした、ノーライフキングに慌てた様子で声をかける。
「ばかな。貴様は封印していたはず」
「この国に封印されて、どれだけたったでしょうか。やっと私の封印は解かれたのですよ。封印を解かれたカブリエル様は力を望むというではないでしょうか。手助けするのが当たり前だと思いませんか?」
言い終わると同時にノーライフキングの手から魔法陣が展開される。
『闇魔法:闇線』
ダークレーザーは私も使える魔法だったが規模が違いすぎる。
兄とミカエル様が、『闇魔法:闇の盾』を展開し、防ごうとするが威力に押し負け、ダメージを負ってしまう。
「ラファ、足手まといだ。逃げろ」
「ラファよ。今まで我のために尽くしてくれて感謝する。逃げ切って生き伸びてくれ」
悔しいが、言い返せる力もないため、ここにいても邪魔だと判断し、涙を見せる前に近くの窓を飛び出す。その瞬間に城を消し去るほどの闇魔法が放たれた。
(ああ、間に合わない。私も巻き込まれてしまう、カブリエル様・・・・・・お兄様・・・・・・)
あなた方を守れるほどの強さが私にあったら――
そしてラファは闇魔法が届く前に召喚魔法に包まれた。
大天使サタン様のメイド長として仕えている。
メイド長は表向きであって、裏では大天使の座を狙う天使達の暗殺を主な仕事としていた。今日も暗殺の件でサタン様に呼ばれた。
「メフィスよ。天使位階第一位のコカビエルを亡き者にしてこい」
私は聞いた言葉に目を開く。
「コカビエル様は、サタン様と同格の強さをお持ちのこと。私ごときでは不可能でございます」
サタン様は聞く耳を持たず、すぐさま私に命じる。
「黙れ。失敗をするとわかっているな。話は終わりだ」
サタン様から見れば元々、暗殺者のために小さい時から拾われた私の命など、そこらの草と同列の扱いだ。私には助けてくれる仲間もいない、逃げる場所もない。結局、死ぬ覚悟をし、私はコカビエル様暗殺を遂行するのだった。
『光魔法:聖なる手』
私の手から20本の腕を操り、周りの天使を襲う。
コカビエル暗殺は失敗した。コカビエル様の直属の天使100体から逃走中であったが、もはや逃げ場はない。正面から向かい打つように戦闘態勢を取る。
「『悪魔の天使』よ。今日がお前の最後だ」
『悪魔の天使』とは私のことだ。サタン様の元で暗殺者として活躍した結果、天使界で私のことを『悪魔の天使』と呼ぶ。使うスキルが闇魔法に近いという事で名づけられた。
全方向から『光魔法:光の矢』が降り注ぐ。
既に囲まれていたみたいだ。一本の強力な矢が無数に放たれる。直撃すると塵も残さず消えるだろう。
最後の力で『光魔法:天国への扉』を発動した。私を囲むように魔法陣が発動し、光の渦が、私を埋め尽くすように現れる。
光の渦がすべての矢を飲み込み再び、今度は天使達に向かい放出される。
渦が閉じた時には、光の粒子が幻想的な景色を作り上げていた。
(もう、誰も生き残っていないだろう)
安堵した瞬間に、絶望が目の前に現れた。
「コカビエル様・・・・・・」
「『悪魔の天使』よ。もはや私達と同列の強さだろう。だがここまでだ」
コカビエルが、聖剣を構える。
(ここが私の最後か。メイドとして普通の生活送りたかったな・・・・・・)
その時、私の足元から召喚魔法が現れる。
(ああ、大事にしてくれるご主人様でありますように)
「お兄様!」
ここは大閻魔ミカエル様が住む、冥界の首都にある王城の一室。私は代々、ミカエル様に仕える血筋で現在メイド長をしているラファである。上に兄がおり、兄はミカエル様が統治する国の騎士団長である。
「ただいま、ラファ。何度も言うがここでは、騎士団長と呼べと言っているだろ?」
私は兄のことをとても慕っていた。
たぶん国の皆が慕っているだろう。兄は誰よりも剣を磨き、魔法を極めている。
私も常日頃、兄と鍛錬を行い、戦闘技術を身に付けている。
主を守るメイドは、強くてはならないと前メイド長の母が生きている間に口うるさく言っていた。
「お二人とも探しましたよ。メイド長と騎士団長様、ミカエル様がお呼びです」
ミカエル様の兄であるカブリエル様である。
私はカブリエル様のことは苦手だ。
ミカエル様は他国と協力し平和を望むことに比べ、冥界統一を目指しているカブリエル様。
「わかりました。ラファ行くぞ」
兄に連れられ、ミカエル様の元に行く。
カブリエルは私達が横を過ぎた時に、不敵な笑みを浮かべでいた。
私達、兄妹は所見の間に入る。
王座に座っているミカエル様に膝をつく。
周りには国の重鎮達が集まっている。
(こんなに集まることは珍しい。何が始まるのだろうか)
「騎士団長よ。お前に他国のスパイ疑惑がかかっておる」
その言葉に私は反応する。
「お、お言葉ですがミカエル様。兄はそのような事は行っていません」
兄は膝をついたまま黙っている。
騎士団長のスパイ疑惑という事で、人が集まっているのか。友好的であった者たちからは、信じられないといった表情をしていた。
「この国の不穏分子は排除あるのみですね」
カブリエルが横に黒ローブを包んだ者を連れて、王座の間に現れた。
「お前の入室は許可した覚えはないぞ?」
ミカエル様が威圧を込めてカブリエル様に問う。
「まあ、そうでしょう。ですが私には貴方たちに用があるのですよ。そのために騎士団長のスパイ疑惑をリークし、国の重鎮達にも集まってもらったのです。あなた方が平和を望まれるのは私の邪魔なので、ここで死んで頂きたい」
その声と同時に行動を移したのは一人。兄であった。
腰の『冥剣:シュバルツ』を抜き、カブリエルに切りかかるが、横にいた黒ローブがカブリエルの前に立ち剣を腕で受け止めた。衝撃で王座に突風が吹き、床と壁にヒビが入る。
(なっ。兄の剣を腕で受け止めるなんて)
黒ローブが頭のフードをとると、その正体はノーライフキングだった。
国を2つ落としたことで、厄災級の知識あるモンスターとされている。
兄がその骸骨の顔をした、ノーライフキングに慌てた様子で声をかける。
「ばかな。貴様は封印していたはず」
「この国に封印されて、どれだけたったでしょうか。やっと私の封印は解かれたのですよ。封印を解かれたカブリエル様は力を望むというではないでしょうか。手助けするのが当たり前だと思いませんか?」
言い終わると同時にノーライフキングの手から魔法陣が展開される。
『闇魔法:闇線』
ダークレーザーは私も使える魔法だったが規模が違いすぎる。
兄とミカエル様が、『闇魔法:闇の盾』を展開し、防ごうとするが威力に押し負け、ダメージを負ってしまう。
「ラファ、足手まといだ。逃げろ」
「ラファよ。今まで我のために尽くしてくれて感謝する。逃げ切って生き伸びてくれ」
悔しいが、言い返せる力もないため、ここにいても邪魔だと判断し、涙を見せる前に近くの窓を飛び出す。その瞬間に城を消し去るほどの闇魔法が放たれた。
(ああ、間に合わない。私も巻き込まれてしまう、カブリエル様・・・・・・お兄様・・・・・・)
あなた方を守れるほどの強さが私にあったら――
そしてラファは闇魔法が届く前に召喚魔法に包まれた。
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