23 / 48
第23話 妹
しおりを挟む
*ひみくんの挑戦の話
3年生のクラスには比見くんという子がいて、普段からおとなしい子なのだがわりとガンコで、自分の意見を曲げないような子だった。
ある時、みんなで音楽の授業のために教室移動をしていると、突然ひみくんが壁にぶつかって大きくこけてしまった。おでこが赤くなっていて、念のため保健室で休むことになったのだが、障害物が何もないところで急にぶつかったので、みんな不思議に思っていた。
あとになって分かったことなのだが、ひみくんは目をつむって歩く練習というのをやっており、これは小学生がよくやる自転車に手放しで乗るようなもので、特に意味はないのだが、自分の限界に挑戦するために行ったものだった。
先生からこってりとしぼられはしたのだが、しばらくたつとまた同じことをやって怒られていたので少しあきれつつも、こりずに挑戦するのは見習うべきだなとも思ったりしていた。
*チョコボールの話
幼少期というのは不思議な能力を備えていることがあるもので、『前世の記憶』があるだとか、『動物と話ができる』だとか不思議な話を聞くことがある。ぼくにもその経験があり、チョコボールの箱を目をつむって見てみると、当たりの箱のくちばしの形になる部分が光って見えるというものだった。これはいわゆる『透視』というもので、古来では『千里眼』という遠くの景色や過去、未来が見えるというものの一種であった。
ある時、母と妹とスーパーへ買い物に出掛けた時、100円くらいならお菓子を買っていいと言ってもらい、例の透視をやってチョコボールを2箱選んだら、『銀のエンゼル』が2つ出てきた。母は凄く驚いていたが、ぼくは中が当たっていることは知っていたので、別に凄いことだとは思っていなかった。
この『銀のエンゼル』を5枚集めるか、1000箱に1枚入っていると言われる『金のエンゼル』を1枚手に入れると、『おもちゃの缶詰』と呼ばれるグッズと交換してくれるのだ。ぼくはこういう形でエンゼルを集めていたので、『銀のエンゼル』を最大14枚持っていた。大人になってからは自然と使えなくなった能力だが、7歳までは神の子と言われるように、幼少期には霊的な力が残っているものなのだろう。
他にも二つに折れるアメリカの黒い猫のキャラクターが描かれたガムの当たりクジが連続で4回出たことがあったり(これは透視を使っていなかったので、単に当たりが出やすかったのかも)、と子供の頃は不思議な出来事がたくさん起こっていた。
*妹の話
ぼくの妹は小学校1年生からぼくが習っていたところとは違うところで、ピアノを習い始めてずっと続けていた。そのお陰か、小さい頃からかなり記憶力がよく、特に『固有名詞』をよく覚えているのが印象的だった。ピアノで左脳、水泳で右脳が鍛えられるので、小学生の習い事としてはこの2つは定番と言ってよく、これらをやっていた妹は常に学校の成績はトップクラスだった。
また、歳が3つ離れていたので腕力ではぼくに勝てなかったり、ぶたビックと呼んで泣かせてしまっていたりもした。凄く忍耐強いタイプで一度決めた予定はめんどうでもさっさとこなして行くような子だった。鳥が好きだったので、『日本野鳥の会』に登録して父と一緒によくバードウォッチングに行っていた。ぼくはこの頃は兄貴風を吹かせていたので、遊ぶ時に何かと口出ししたりしていた。
*テトリスの話
小学校3年生の時(1996年)に『テトリスjr』という携帯ゲーム機が発売された。当時は発売日に、その爆発的な人気から長蛇の列ができ、ぼくと妹も母に連れて行ってもらって、家電量販店の入口に並んで貯めていたお小遣いで買って帰ったことがあった。
その日から毎日のようにやっていたのだが、次の視力検査で視力が0.7まで落ちてしまい、そのことで父に取り上げられてしまった。結局それから一度もやらず終いなのだが、ゲームが始まる時に流れる『コロブチカ』というロシア民謡は今でも耳に焼き付いている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ただいま作者の崗本は『賞レース中にて書籍化のチャンス』に直面しております!!
下記サイト(Note創作大賞2023)にて各話♡ハートボタンを押して頂けたら幸いです。
スクロールして行くと下部に次の話のリンクがあります。所要時間5分ほどです。
一人一人の応援が力になります。よろしくお願い致します!!
https://note.com/aquarius12/n/n0bf94361816e
3年生のクラスには比見くんという子がいて、普段からおとなしい子なのだがわりとガンコで、自分の意見を曲げないような子だった。
ある時、みんなで音楽の授業のために教室移動をしていると、突然ひみくんが壁にぶつかって大きくこけてしまった。おでこが赤くなっていて、念のため保健室で休むことになったのだが、障害物が何もないところで急にぶつかったので、みんな不思議に思っていた。
あとになって分かったことなのだが、ひみくんは目をつむって歩く練習というのをやっており、これは小学生がよくやる自転車に手放しで乗るようなもので、特に意味はないのだが、自分の限界に挑戦するために行ったものだった。
先生からこってりとしぼられはしたのだが、しばらくたつとまた同じことをやって怒られていたので少しあきれつつも、こりずに挑戦するのは見習うべきだなとも思ったりしていた。
*チョコボールの話
幼少期というのは不思議な能力を備えていることがあるもので、『前世の記憶』があるだとか、『動物と話ができる』だとか不思議な話を聞くことがある。ぼくにもその経験があり、チョコボールの箱を目をつむって見てみると、当たりの箱のくちばしの形になる部分が光って見えるというものだった。これはいわゆる『透視』というもので、古来では『千里眼』という遠くの景色や過去、未来が見えるというものの一種であった。
ある時、母と妹とスーパーへ買い物に出掛けた時、100円くらいならお菓子を買っていいと言ってもらい、例の透視をやってチョコボールを2箱選んだら、『銀のエンゼル』が2つ出てきた。母は凄く驚いていたが、ぼくは中が当たっていることは知っていたので、別に凄いことだとは思っていなかった。
この『銀のエンゼル』を5枚集めるか、1000箱に1枚入っていると言われる『金のエンゼル』を1枚手に入れると、『おもちゃの缶詰』と呼ばれるグッズと交換してくれるのだ。ぼくはこういう形でエンゼルを集めていたので、『銀のエンゼル』を最大14枚持っていた。大人になってからは自然と使えなくなった能力だが、7歳までは神の子と言われるように、幼少期には霊的な力が残っているものなのだろう。
他にも二つに折れるアメリカの黒い猫のキャラクターが描かれたガムの当たりクジが連続で4回出たことがあったり(これは透視を使っていなかったので、単に当たりが出やすかったのかも)、と子供の頃は不思議な出来事がたくさん起こっていた。
*妹の話
ぼくの妹は小学校1年生からぼくが習っていたところとは違うところで、ピアノを習い始めてずっと続けていた。そのお陰か、小さい頃からかなり記憶力がよく、特に『固有名詞』をよく覚えているのが印象的だった。ピアノで左脳、水泳で右脳が鍛えられるので、小学生の習い事としてはこの2つは定番と言ってよく、これらをやっていた妹は常に学校の成績はトップクラスだった。
また、歳が3つ離れていたので腕力ではぼくに勝てなかったり、ぶたビックと呼んで泣かせてしまっていたりもした。凄く忍耐強いタイプで一度決めた予定はめんどうでもさっさとこなして行くような子だった。鳥が好きだったので、『日本野鳥の会』に登録して父と一緒によくバードウォッチングに行っていた。ぼくはこの頃は兄貴風を吹かせていたので、遊ぶ時に何かと口出ししたりしていた。
*テトリスの話
小学校3年生の時(1996年)に『テトリスjr』という携帯ゲーム機が発売された。当時は発売日に、その爆発的な人気から長蛇の列ができ、ぼくと妹も母に連れて行ってもらって、家電量販店の入口に並んで貯めていたお小遣いで買って帰ったことがあった。
その日から毎日のようにやっていたのだが、次の視力検査で視力が0.7まで落ちてしまい、そのことで父に取り上げられてしまった。結局それから一度もやらず終いなのだが、ゲームが始まる時に流れる『コロブチカ』というロシア民謡は今でも耳に焼き付いている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ただいま作者の崗本は『賞レース中にて書籍化のチャンス』に直面しております!!
下記サイト(Note創作大賞2023)にて各話♡ハートボタンを押して頂けたら幸いです。
スクロールして行くと下部に次の話のリンクがあります。所要時間5分ほどです。
一人一人の応援が力になります。よろしくお願い致します!!
https://note.com/aquarius12/n/n0bf94361816e
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

釣りガールレッドブルマ(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
高校2年生の美咲は釣りが好きで、磯釣りでは、大会ユニホームのレーシングブルマをはいていく。ブルーブルマとホワイトブルマーと出会い、釣りを楽しんでいたある日、海の魔を狩る戦士になったのだ。海魔を人知れず退治していくが、弱点は自分の履いているブルマだった。レッドブルマを履いている時だけ、力を発揮出きるのだ!
絆の輪舞曲〜ロンド〜
Ⅶ.a
児童書・童話
キャラクター構成
主人公:水谷 陽太(みずたに ようた)
- 年齢:30歳
- 職業:小説家
- 性格:おっとりしていて感受性豊かだが、少々抜けているところもある。
- 背景:幼少期に両親を失い、叔母の家で育つ。小説家としては成功しているが、人付き合いが苦手。
ヒロイン:白石 瑠奈(しらいし るな)
- 年齢:28歳
- 職業:刑事
- 性格:強気で頭の回転が速いが、情に厚く家族思い。
- 背景:警察一家に生まれ育ち、父親の影響で刑事の道を選ぶ。兄が失踪しており、その謎を追っている。
親友:鈴木 健太(すずき けんた)
- 年齢:30歳
- 職業:弁護士
- 性格:冷静で理知的だが、友人思いの一面も持つ。
- 背景:大学時代から陽太の親友。過去に大きな挫折を経験し、そこから立ち直った経緯がある。
謎の人物:黒崎 直人(くろさき なおと)
- 年齢:35歳
- 職業:実業家
- 性格:冷酷で謎めいているが、実は深い孤独を抱えている。
- 背景:成功した実業家だが、その裏には多くの謎と秘密が隠されている。瑠奈の兄の失踪にも関与している可能性がある。
水谷陽太は、小説家としての成功を手にしながらも、幼少期のトラウマと向き合う日々を送っていた。そんな彼の前に現れたのは、刑事の白石瑠奈。瑠奈は失踪した兄の行方を追う中で、陽太の小説に隠された手がかりに気付く。二人は次第に友情と信頼を深め、共に真相を探り始める。
一方で、陽太の親友で弁護士の鈴木健太もまた、過去の挫折から立ち直り、二人をサポートする。しかし、彼らの前には冷酷な実業家、黒崎直人が立ちはだかる。黒崎は自身の目的のために、様々な手段を駆使して二人を翻弄する。
サスペンスフルな展開の中で明かされる真実、そしてそれぞれの絆が試される瞬間。笑いあり、涙ありの壮大なサクセスストーリーが、読者を待っている。絆と運命に導かれた物語、「絆の輪舞曲(ロンド)」で、あなたも彼らの冒険に参加してみませんか?
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
児童小説をどうぞ
小木田十(おぎたみつる)
児童書・童話
児童小説のコーナーです。大人も楽しめるよ。 / 小木田十(おぎたみつる)フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。
お仕事はテストエンジニア!?
とらじゃむ
経済・企業
乙女ゲームの個人開発で生計を立てていた早乙女美月。
だが個人開発で食っていくことに限界を感じていた。
意を決して就活、お祈りの荒らしを潜り抜けようやく開発者に……と思ったらテストエンジニア!?
聞いたこともない職種に回されてしまった美月は……!
異色のITシステム開発現場の生々しい奮闘ストーリー!
イブの夜に、ひとりきり
みこと。
児童書・童話
ニコラス少年は、クリスマスの夜にひとりおうちでお留守番。"毎年こうだ。みんなクリスマス・イブは楽しい日だって言うけれど、僕にはそう思えないな!"
家族が出かけてしまって取り残された少年の、将来の夢とは?
低年齢層向け、ほのぼのほっこりしたお話です。
※ノベルアップ+様にも私の別名、チーム ホワイトミルクで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる