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第39話 不協和音
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バランサーズは昴と瑞希が練習に参加しておらず、連絡も取れない状況であった。
そして友助は保の説得があり、昴が居ないAFC開催中だけ練習に参加していたのだが、そんな状況でモチベーションが上がるはずもなかった。そんな中、キャプテンである保は、苦境を打破するために皆に発破を掛ける。
「よ~し、みんな。次のソウルフラーズ戦は、絶対に落とせない試合だからな!」
「「お~!!」」
「気合い入れて行くぞ!!」
だが、それを聞いた蓮は、よろよろとその場にへたりこんでしまった。
「もうムリだよ。友助が累積退場で、昴さんは行方不明。次の試合は予報で雨」
「弱気になるな!正念場でこそ、チームの真価が問われるんだ」
「え~でも、僕の所為じゃないですし。それになんで最終戦がチャンピオンズとなんだよ。ベストメンバーでも勝てるか分かんないってのに、もう棄権したいよ~」
「バカ言うな!勝てば東海大会に行けるんだし、何より相手に失礼だ。最後までやってみないと分かんねーだろ。根性みせろよ!」
それから練習が終わって皆で話をしていると、保の携帯にメールが入った。
そのメールを見て、保が顔色を変えて皆に報告する。
「今、昴から連絡があって、練習に参加したいって」
「昴さん!やっと戻ってきてくれるんですね!」
複雑な心境だが喜びが勝っているような蓮の言葉を余所に、友助は既に冷めてしまっていたようだ。
「じゃ、俺はこれで退団ってことで」
「待て待て。お互いが謝れば済む話だろ?」
「俺は絶対に謝んないですよ。向こうが悪いんだし」
「う~ん、それはそうだな。けど、昴が謝って来るかもしれないだろ」
「あの人、謝ったりするんですか?」
「――しないな」
「じゃ、退団ってことで」
「まあそう言うなよ。何か方法を考えるからよ」
それから保は少しの間思考を巡らせたが、いいアイデアが浮かばないようだった。
「あの僕、家が三島に近いんですけどーー」
「!!。けど、次の対戦相手だぞ?」
「まあそうですけど、練習に参加させてもらえるよう頼んでみてもらえないですか?」
「ソウルフラーズ。ニコラスかーー」
「友達なんですよね?ニコラスさんて、どんな人なんですか?」
「ん?ロシア人でよ。身長2mくらいあって氷山のような奴なんだ」
「外国の方ならフレンドリーに接してくれるんじゃないですか。こんな時ですし」
「そうだな。ちょっと電話掛けてみるよ。けど期待すんなよ土台無茶な話なんだし」
「はい、よろしくお願いします」
保が電話を掛けると、久々なこともあって、少々会話が長引いたようであった。
「悪りい、長くなったな」
「で、どうだったんですか?」
「いいってよ。まったく、お人好しだなアイツは」
それから2日後、友助は教わった場所へと足を運びそこに居た凍郷という名の選手にニコラスを呼んでもらって挨拶をすることにした。
「あれ?この人なんですか?」
「そうだよ、ニコラス。自分で呼んだんだろ?」
「ニコラスさんって日本人なんですか?なんか聞いてた人と違うようなーー」
「ああ、ニコラスってのはあだ名でさ。苗字が凝(こらす)だから、そう呼ばれてんだよ」
「そうだったんですね!すみません、ロシア人って聞いてたもんだから」
それを聞いて、チーム内で小さな笑いが起った。
「そういうことか。福祖の奴、いい加減なこと言いやがって」
それから一緒に練習をして、凝は穏やかだが、芯のしっかりとした人物であるといった印象であった。話を進めるうちに、自ずと昴の話題となった。
「スゲエよな、あいつのーー『ジンガ』」
「えっ!?あれってそんな名前あるんですか?」
「そうだよ。なんだ、お前のチームの奴らは知らなかったのか?」
「そうだったんですね。僕らアレ、ふらふらフェイントって呼んでました」
「はははは。お前らホントおもしれえな」
友助はなんだか、ソウルフラーズの雰囲気に馴染んできてしまったようだ。
「あーあ。もう一層のこと、ソウルフラーズに入っちゃおうかな」
「はははは。ウチはいいけど、お前んとこのチームはそれで納得しねえだろ」
「どうかな。俺、入ってまだ一年経ってないですし、案外その方が丸く収まるかもしれないっすよ」
「何言ってんだよ。チームメイトってのは、そんな簡単に変えられるようなもんじゃねえだろ?絆ってもんがあるじゃねえか」
「絆――か」
「なに家出少女みたいな顔してんだよ、仲間だろ。そろそろチームに戻ってやれよ」
保から事情を聞いていたのだろう、凝はそれとなく諭してくれた。だが当の友助は、結局試合の日までチームに戻ろうとはせず、ソウルフラーズの練習に参加し続けた。
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「よ~し、みんな。次のソウルフラーズ戦は、絶対に落とせない試合だからな!」
「「お~!!」」
「気合い入れて行くぞ!!」
だが、それを聞いた蓮は、よろよろとその場にへたりこんでしまった。
「もうムリだよ。友助が累積退場で、昴さんは行方不明。次の試合は予報で雨」
「弱気になるな!正念場でこそ、チームの真価が問われるんだ」
「え~でも、僕の所為じゃないですし。それになんで最終戦がチャンピオンズとなんだよ。ベストメンバーでも勝てるか分かんないってのに、もう棄権したいよ~」
「バカ言うな!勝てば東海大会に行けるんだし、何より相手に失礼だ。最後までやってみないと分かんねーだろ。根性みせろよ!」
それから練習が終わって皆で話をしていると、保の携帯にメールが入った。
そのメールを見て、保が顔色を変えて皆に報告する。
「今、昴から連絡があって、練習に参加したいって」
「昴さん!やっと戻ってきてくれるんですね!」
複雑な心境だが喜びが勝っているような蓮の言葉を余所に、友助は既に冷めてしまっていたようだ。
「じゃ、俺はこれで退団ってことで」
「待て待て。お互いが謝れば済む話だろ?」
「俺は絶対に謝んないですよ。向こうが悪いんだし」
「う~ん、それはそうだな。けど、昴が謝って来るかもしれないだろ」
「あの人、謝ったりするんですか?」
「――しないな」
「じゃ、退団ってことで」
「まあそう言うなよ。何か方法を考えるからよ」
それから保は少しの間思考を巡らせたが、いいアイデアが浮かばないようだった。
「あの僕、家が三島に近いんですけどーー」
「!!。けど、次の対戦相手だぞ?」
「まあそうですけど、練習に参加させてもらえるよう頼んでみてもらえないですか?」
「ソウルフラーズ。ニコラスかーー」
「友達なんですよね?ニコラスさんて、どんな人なんですか?」
「ん?ロシア人でよ。身長2mくらいあって氷山のような奴なんだ」
「外国の方ならフレンドリーに接してくれるんじゃないですか。こんな時ですし」
「そうだな。ちょっと電話掛けてみるよ。けど期待すんなよ土台無茶な話なんだし」
「はい、よろしくお願いします」
保が電話を掛けると、久々なこともあって、少々会話が長引いたようであった。
「悪りい、長くなったな」
「で、どうだったんですか?」
「いいってよ。まったく、お人好しだなアイツは」
それから2日後、友助は教わった場所へと足を運びそこに居た凍郷という名の選手にニコラスを呼んでもらって挨拶をすることにした。
「あれ?この人なんですか?」
「そうだよ、ニコラス。自分で呼んだんだろ?」
「ニコラスさんって日本人なんですか?なんか聞いてた人と違うようなーー」
「ああ、ニコラスってのはあだ名でさ。苗字が凝(こらす)だから、そう呼ばれてんだよ」
「そうだったんですね!すみません、ロシア人って聞いてたもんだから」
それを聞いて、チーム内で小さな笑いが起った。
「そういうことか。福祖の奴、いい加減なこと言いやがって」
それから一緒に練習をして、凝は穏やかだが、芯のしっかりとした人物であるといった印象であった。話を進めるうちに、自ずと昴の話題となった。
「スゲエよな、あいつのーー『ジンガ』」
「えっ!?あれってそんな名前あるんですか?」
「そうだよ。なんだ、お前のチームの奴らは知らなかったのか?」
「そうだったんですね。僕らアレ、ふらふらフェイントって呼んでました」
「はははは。お前らホントおもしれえな」
友助はなんだか、ソウルフラーズの雰囲気に馴染んできてしまったようだ。
「あーあ。もう一層のこと、ソウルフラーズに入っちゃおうかな」
「はははは。ウチはいいけど、お前んとこのチームはそれで納得しねえだろ」
「どうかな。俺、入ってまだ一年経ってないですし、案外その方が丸く収まるかもしれないっすよ」
「何言ってんだよ。チームメイトってのは、そんな簡単に変えられるようなもんじゃねえだろ?絆ってもんがあるじゃねえか」
「絆――か」
「なに家出少女みたいな顔してんだよ、仲間だろ。そろそろチームに戻ってやれよ」
保から事情を聞いていたのだろう、凝はそれとなく諭してくれた。だが当の友助は、結局試合の日までチームに戻ろうとはせず、ソウルフラーズの練習に参加し続けた。
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