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浮気癖のある彼氏を邪魔します

ジャマーのジャマー2

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 瞬釼。

 これは読んで字のごとく素早く剣を振るうことができる異能。どれくらい速いかというと、斬られても気づけないぐらい。下手したら音速いってるんじゃないかって思ってる。私が入れ替わるより速く斬れるため、まぁ敵対したら間違いなく殺される天敵。木の棒でもコンクリート切断出来るから多分手でもいける。本物の化け物。

「褒めるなってリーナ! 俺が最強だからって!」
「心読むな後自画自賛すんな変態」
「俺は変態じゃない!」

 ま、今のところは善き友達……いや変態友達? ……いやいの友? だから危険が及ぶことは無いと思うけど。

「あのー……」

 私達に放っておかれたアランが声を出す。あ、忘れてた。私とロイドは縮こまって静かにこちらを見ているアランに向き直る。

「あ、ごめんアラン。もういいよ」

 そう言うと、アランの表情は途端に明るくなり……。

「今日はね」
「……はい」

 途端に暗くなった。

 重い足でとぼとぼと外へ出て行く。猫背で俯くアランは、なんだかよく分からないけど哀愁漂うお父さんみたいに感じた。

「あんま虐めんなよリーナ。アランは女が命なんだから。そろそろ死んじゃうぜ」
「死なないでしょまた明日も他の子の部屋に行くみたいだし」

 私は既にアランの浮気情報を入手していた。これだけやられて懲りないアランもアランだが、私も似たような人間かもしれないとたまに思う。

「さっすがの情報収集能力。俺も」
「来るな邪魔だから」
 
 私が吐き捨てるように言うと、ロイドは私の背中をバンバンと複数回叩いた。

 かなり本気で。

 滅茶苦茶痛くて涙出てくる。

「ミスって俺と場所入れ替えたことあるからってひどいぜ!」

 流石に限界だからロイドと場所入れ替えて逆に蹴り喰らわす。全く効いて無いようでケロッとしてるのがかなり腹立たしい……。

「……あんた許婚いるだろう?」

 ロイドには可愛くて誰にでも分け隔てない本物の淑女の許婚が存在する。自分で言うのもなんだけど、私なんかとつるんでいるよりそっちにいったほうが百倍有意義なのだ。

「あいつはおしとやか清楚ちゃんだからこういう俗物的遊びには突き合わせられないんだ」

 笑うロイド。私は全力で拒絶の目を向けた。

「これはクズを浄化する高貴な遊びだクソ野郎……言葉を慎め……よ?」
「遊びは否定しないのか……」

 そんなこんなで今日が終わる。
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