足が不自由な令嬢、ドジはいらないと捨てられたのであなたの足を貰います

復讐完遂

　ミルシーはロドリックのスケジュールを把握していたため、数日後に彼が帰ってくるのを待ち望んでいた。彼女の心は期待と興奮でいっぱいだった。ようやくその日が訪れ、ロドリックの姿が遠くに見えた瞬間、ミルシーの心拍は高鳴る。

　ロドリックが近づくと、彼女は思わず心の中で叫んだ。

「あなたが欲しい」と囁くように言うと、ロドリックは少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔を見せて「まぁ、部屋で待ってろ」と返答し、屋敷へと入っていった。

　その後、ミルシーは自分の部屋で待つ間、紅茶を淹れる準備をした。彼女はフラスコの中からアリシアが渡した薬を取り出し、静かに紅茶に混ぜ込む。心の中でほくそ笑みながら、「これでロドリックは自分のものになる」と確信した。

　しばらくして、部屋の扉が開かれ、ロドリックが入ってきた。

「会えなくて寂しかったよ、ミルシー」と言いながら、彼は優しい眼差しで彼女を見つめ、軽くキスをした。

　ミルシーはその瞬間の喜びを噛み締め、内心で緊張しながら言った。

「これ、新しい茶葉を使ってみたんです。飲んでいただけませんか？」

　ロドリックはその提案に対して微笑み、「もちろんだ」と言って紅茶を口に運んだ。

　紅茶を飲んだロドリックは、ミルシーを優しくベッドに押し倒した。彼の瞳には愛情がこもり、その瞬間、二人の間に流れる空気は熱を帯びていた。ロドリックは微笑みながら、彼女を見つめる。

「可愛いね、ミルシー」と、彼は柔らかな声で囁く。

　その言葉を聞いたミルシーは、心の奥底にあった期待が高まった。彼女は、ロドリックが自分を心から求めているのだと勘違いし、身体が熱くなるのを感じながら、彼を激しく求めた。

「私も、あなたを……」

　彼女の心は興奮に満ち、これでロドリックは完全に自分のものになったと確信した。愛し合う瞬間が、彼女の全てを満たしていく。

　二人は身を寄せ合い、甘く、激しく愛し合った。ロドリックの手はミルシーの背中を撫で、彼女の髪を優しくかき上げた。ミルシーは彼の肌に触れ、彼の心臓の鼓動を感じながら、ますます彼に引き込まれていく。

　しかし、突如として、ロドリックが苦しそうにうめき声をあげた。その声に驚いたミルシーは、彼の異変に気づくと同時に、心の中に不安が広がった。ロドリックはベッドから床に落ち、彼女の目の前で無力に横たわってしまった。

「ロドリック様！」と叫び、彼女は慌てて彼の元に駆け寄った。身体が動かず、床に倒れた彼の姿を見て、ミルシーは何が起こったのか理解できずに立ち尽くす。彼女の心は、愛し合った瞬間の甘さから一瞬で冷やされ、恐怖が押し寄せてきた。

　床に倒れたロドリックの脚を見たミルシーは、彼の皮膚が異常なほどに変色していることに気づいた。紫色に変わった脚が痛々しく、彼は苦しそうに顔を歪めていた。心の奥底で不安が膨れ上がる。

「ロドリック様！」と、彼の元に駆け寄り、手を伸ばすが、彼はその手を拒むように顔を背けた。

「医者を呼ばなきゃ……！」

　ミルシーは慌てて屋敷を飛び出し、医者を探し回る。心の中で、何か悪いことが起こっているという確信が募っていく。医者が到着するまでの間、彼女は震える手で自分の頬を叩き、混乱する思考を整理しようとした。

　数日後、ロドリックは動かない脚を抱えながら、呆然とした表情で医者の言葉を聞いていた。

「申し訳ありませんが、ロドリック様の脚はもう二度と動かないでしょう……」

　その言葉が、彼の心を深い絶望に落とし込む。ロドリックは無力感に包まれ、「このアバズレ、何を飲ませた！？」とミルシーに向かって怒鳴った。彼の声には憎悪と失望が滲んでいた。

　ミルシーはその言葉に心が折れ、泣き崩れた。

「どういうことなの……」

　彼女は呟くように言い、手を震わせながら顔を覆った。彼女の心には、後悔と罪悪感が渦巻いていた。

　一方その頃、アリシアは静かな公園の中を歩いていた。車椅子も無しに、自分の足で歩くことができる喜びに満ちていた。彼女は周囲の景色を見渡しながら、微笑みを浮かべる。

「計画成功……」

　彼女は小さく呟き、その言葉を胸に刻んだ。彼女の復讐は完遂され、ロドリックは彼女の望む通りの運命を歩んでいる。

　アリシアはゆっくりと公園の中を歩き続け、その足取りは力強く、確信に満ちていた。彼女の心の中には、復讐を果たした満足感が広がり、周囲の人々に微笑みを向けることさえできる余裕があった。